第六章 「Battle of Plains」

次の日、ディスペラツィオネにいたダークプリーストが大怪我を負って帰ってきた。
彼女からもたらされたのはディスペラツィオネを中心とした大規模な侵攻があるという事。
そしてディスペラツィオネにいた他の魔物たちは全員殺されたという事だった。
その報告を聞いたレミリアたちは緊急事態宣言を街に発令し、事態の真偽を確認するために偵察部隊をディスペラツィオネ方面に派遣した。報告を待つ間に非戦闘者を他の都市に転位させて、来るべき戦いの準備を整えていく。

ダークプリーストが帰ってきてから12時間後,こちら方面に進軍してくる大部隊を発見。
それを発見したカラステングは即座にスペランザの司令部に報告。
報告を受け取ったスペランザも即座に周囲の親魔物国家、そして魔王城に援軍を要請した。

ダークプリーストが帰ってきて24時間後……
現在俺たちはスペランザの5階にある大部屋に集まっていた。
騎士団長レミリア、俺を含む副団長たち。また魔術部隊長であるバフォメットのイリィ、飛行部隊長であるドラゴンのサフィラ、技術部隊長のサリーなどこの都市の中心的な魔物たちが集まっている。これらの魔術部隊、飛行部隊、技術部隊はレミリアが率いる騎士団と違い、有事が起こった際に以前退役(結婚)した者たちを集めた部隊である。
魔術部隊はバフォメット、魔女、ダークプリーストなどの魔術に特化した部隊だ。
飛行部隊はドラゴン、ハーピー種、サキュバス種などで構成され、偵察部隊も兼ねている。
技術部隊はサイクロプス、ドワーフ、アラクネ、ジャアントアントなどがおり、現地での陣地設営、武器の修理、罠の作成を行う。また怪力の魔物が多いため、場合によっては前線に出る時もある。また彼女たちの夫は妻のいる部隊に配置されている。

(悪い予感ほど当たってしまうものだな)
緊張感が満ちている部屋の中で俺はそんなことを考えていた。
「…サフィラ、カラステングの報告ではどのくらいいると言っていた?」
「今確認できるだけでも、5000人ほどだ。しかしこっちに向かいながらいまだ増え続けているようだから、最終的にはおそらく10000人くらいになるだろう。」
「私たちの戦力は約3500……。人数自体は半年前の戦いと一緒だが……。」
「だがあの時はダウル卿が率いていた。前の戦いはあてにできん。」
レミリアとサフィラの会話に俺は口を挟んだ。
そう、あの時指揮官だったダウル卿は慎重であるが故に戦争に向いてなかった。
「とにかく味方は多いに越したことはないのう…。レミリア、援軍の方はどうじゃ?」
「明日には近くの国からは約1000人が来る。魔王城から約3000人は来てくれる。
だがここは城から遠いからな。いつ到着するのかは今のところわからない。」
「……あと2日くらいかかると思うわ。」
見慣れぬ声が部屋の入り口から聞こえた。
そこにいたのは鮮やかな赤い目でこちらを見ている不思議な女性だ。
身長は俺と同じくらいで女性の中では長身な方だろう。
腰まで垂らしている白い髪を首辺りで編みこんで、先を紐で止めているようだ。
その綺麗な髪から出るように太く黒い角が生えていた。
また腰からは綺麗な白色の翼、そして先が鏃のようになっている尻尾が生えている。
その豊満な体を見せつけるように黒を基調とした露出が多い服で隠している。
その見た目はサキュバスのようだが、その体から発せられる気配はそれを否定している。
また俺はそれらとは別の不可解な感覚を感じていた……。これは………。

『あなた様は!!』
その場にいたレミリアたち魔物は驚きながら同じ言葉を発した。
「そんなに気遣う必要ないわよ。」
そう言うと彼女はこちらに向かって来ながら、その赤い目は俺の方をじっと見ていた。
「レミリアたちの反応を見れば、おおよその見当はつくが聞いておく。何者だ?」
俺が話しかけると彼女は嬉しそうに目を細める。
「そうね。あなたとは初めて会ったわね。私は魔王の娘であるリリムの一人のタチアナよ。今回は援軍の総司令としてきたわ。よろしくね、アキラ♪」
そう言って俺はタチアナと握手する。そして彼女の発した言葉で先ほどの不思議な感覚が増していくのが俺には感じられた。
「それでタチアナ様、2日というのは?」
「ええ、私は先に転移魔法で移動してきたんだけれど。他の人たちも魔法を駆使しながらここに向かっているから2日後にはここに着くはずよ。……えっと、あなたサフィラといったわね。敵はどのくらいで着きそうかしら?」
「このままのスピードで来るとすればだいたい3日後ぐらいかと…。」
「そう、じゃあ何とか間に合いそうね。レミリア、部隊の方はどう?」
「戦闘部隊についてはもう編成は終わっています。あとは武器と糧食の準備だけです。」
「あとは援軍のことだけという事ね…。では他のことを考えま
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