俺たちはその部隊が発見されたところに行きながら、現状を確認していた。
詳しく話を聞くとどうやら東にある山を越えてきたらしい。
その山は険しく越えるのは困難なため警戒していなかった。
そのため山裾に広がる森を抜けてくるまで発見できなかったようだ。
「敵の数はどのくらいだ。」
「発見されたのは50人くらいですが、斥候部隊かもしれません。」
「いったい何が目的だ?」
レミリアが言ったことは俺も納得していないところだ。
つい1週間くらい前に大規模な侵攻作戦を失敗したばかりなのだ。
そんな短期間では十分な兵員やそれのための食料など用意できないだろう。
挙句こんなに早く侵攻してきても、メリットなどない。
そんな意味のない侵攻など教団の馬鹿どもが許すとは思えんが…。
そう考えていると前方から新たなハーピーがこちらに飛んできている。
「団長〜!」
「どうした?何かあったのか?」
「いえ、それがですね〜。」
困惑したようにこちらを見ていた。彼女が告げた内容に俺たちは驚いた。
「発見した人間たちのことなんですが。こちらに投降したいと言ってきまして…。」
『はぁ!!』
とりあえずそのまま東門に向かうと彼らの足元にはいくつかの武器が転がっていた。
すでに武装解除させられているようだった。
レミリアが進み出ると呼応するように彼らの中から一人の男が進み出てきた。
その男は大きい体つきをしており、その体には大小さまざまな傷を持っていた。
また片目は見えないのか眼帯をして隠していた。この男に俺は見覚えがあった。
「お前が投降したいと言ってきた者たちのリーダーか?」
「はい。ロイと言いま「ロイじゃないか。」す。」
俺がそう声をかけると彼はこちらを見た。見開いた目にどんどん涙が溜まっていく。
「旦那!生きてたんですねぇ!おれぁ、信じてましたよ!」
「心配かけたようだな。お前がいるという事は連れてきたのは…。」
俺は彼に近づきながら、彼の背後にいる人たちを見渡した。
思った通り、その中には見知った顔がたくさんいた。
「何だ、アキラ。知り合いか?」
「ああ。俺の知り合いで教団第1軍救護部隊にいたロイだ。
後ろにいるのは同じ部隊にいた者とその家族だと思うが。」
彼らはある山間にある村の出身だ。1年くらい前に起こった飢饉で食料が足りなくなった。
彼らは生きるために盗賊まがいのことをせざるを得なかった。
それが発覚し、俺とじいさん率いる教団第1軍が派遣された。
当然大した抵抗もできず鎮圧された彼らの事情を聞いたじいさんがある提案を持ちかけた。
今回のことを許す代わりに彼らの知識を貸してほしいという提案だった。
住む場所と食事も保証してくれるという事を聞き、彼らは満場一致で頷いた。
そして彼らは村で得た薬草の知識を生かして救護部隊に編成されることになった。
そんな彼らの事情をかいつまんでレミリアに話すと彼女は不思議に思ったのだろう。
レミリアは首をかしげながら彼らを見て、聞いた。
「ではなぜその部隊がここに来ている?」
「はぁ。それについては事情がありまして。」
とレミリアに答えると俺の方を見てきた。そしてその理由を話し始めた。
「ハインツ様が引退したのはご存知ですか。」
「ああ、じいさんから引退することは聞いていた。」
「その来た後任者がひどい奴で……ダウル卿の息子をご存知ですか?」
「……よく知っている。ボロンドのことか?」
ロイが言ったダウル卿の息子の名はボロンド・ダウル。
ダウル卿の一人息子であり、甘やかされて育ったせいか傍若無人な振る舞いをする奴だ。
特に貴族でなければ人ではないと考えている貴族至上主義を掲げていた。
そのせいでよく街で住民と争いを起こして、父親であるダウル卿を困らしていた。
あいつとは教団の騎士学校での同期であり、よく俺に突っかかってきたことを覚えている。
確か3年前にとある事件を起こしてあいつは騎士学校を退学になったはずだが。
「ええ。そいつがハインツ様の後任になりまして…。
俺たちのことを知って「そんな罪人は騎士団にはいらん」と言ったらしく…。
俺たちを処刑しようと動き始めたんで、家族引き連れて逃げてきたんです。」
「あいつは変わってないようだな…。じいさんは後任を指名しなかったのか?」
引退すると言っていたじいさんが残った者のことを考えないという事はあり得ない。
そう考えて聞いてみると予想通りロイは頷いた。
「誰かはわかりませんが、指名していたようです。
ダウル卿の息子が来たという事は無視されたのでしょう。」
「教団の馬鹿どもがやりそうなことだ。それで?」
「反魔物国家に逃げてもどちらにしてもいずれ引き渡されると考えましたので、
どうせなら新魔物国家に逃げればかくまってくれるのではと考えたんです。
教団に見つからないようにあの山を越える
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