クロアが小屋に戻ると、サラは就寝した後だった。彼女は寝付くのが異常に早いのだ。
コートをハンガーにかけ外で軽く水浴びをした後に彼もベッドへと入った。
「(……寝たか。)」
クロアが寝息を立て始めた事でサラが床に敷いてあった毛布から身を起こす。
そして僅かな月明かりを頼りにクロアの顔を覗き込む。そして……
「……っ……」
自らの秘所に指を伸ばしてこすり始めた。
その顔は紅潮し、行きが荒くなっている。
「ぁ……は……(私は……私は……!)」
彼女が早めに寝付くのには理由がある。
サラが早めに寝付くとクロアがやることは自己鍛錬か寝るかしかなくなる。
そして寝入ったクロアを見ながら自慰にふけるというのがサラの習慣になっていた。
無論この事をクロアは知らない。
「っ……んっ……!(クロアの……指……もっと触って欲しい……)」
可能な限り水音が立たないように指を往復させ、胸に手を這わせる。
指が敏感な所に触れる度、素肌を撫で上げる度に気分が昂っていく。
「ぅく……クロア……(完膚なきまでに打ちのめして欲しい……彼のモノで突き上げられたい……犯されたい……!)」
ベッドの裏側、目立たない所に手を伸ばしてお目当てのものを掴みとる。張り型だ。
以前ベッドの裏の板をくり抜いて隠し収納スペースを作り、以来そこへ隠し持っているのだ。
それを膣口へあてがい、奥へと押し込んでいく。張り型は苦もなく中へと沈んでいった。
シャツの裾を口に加えて胸を露出させ、直に手で揉みながら貼り型を動かして快感を貪っていく。
「っ……!ぅ……ぁ……!(もっと欲しい……!精を中に出されたい……!クロアの子が欲しい……!)」
最初にクロアに出会った時、彼は想い人の死神であった。
次は、あがきながらも強くなろうとする弟子。この頃からであろうか、彼女がクロアに惹かれていったのは。
次はライバル。大剣を振るい、二丁の魔導拳銃を使って敗北寸前まで追い込む彼には戦慄を覚えると共に強い情念を感じるようになった。
しかし、彼とは結ばれる事は叶わない。
サラは一度、彼を押し倒したことがある。しかし、彼の反応は拒絶だった。
彼が魔物との行為に強い抵抗を持っている。それを知っているにも関わらず押し倒してしまった事に彼女は自分が許せなくなった。
それ以来彼女はクロアに対する感情を押し殺し、本能を理性で無理矢理抑えつけ、昂る精神を自ら慰める事でごまかしていた。
「……ぃく……っ(クロア、クロア、くろあぁ……!)」
そして彼女は静かに絶頂を迎える。全身がビクビクと跳ね、ポタポタと秘裂から愛液を零し、彼の顔を見つめながら多幸感に包まれていく。
彼女は使い終わった張り型を手ぬぐいで拭いて隠しスペースへ仕舞うと、ふらつく足で戸棚の中にある精気補給用の錠剤を取り出して飲み込んだ。
これで暫くは本能に支配されずに済む。このような生活を彼女は5年近くも続けていた。
「(いつまで……持つか……?)」
しかし、その周期もここの所かなりの頻度で訪れるようになっていた。恐らく、限界は近い。
「(何か考えておかねば……)」
外の井戸で軽く汚れを落とし、部屋の中へと戻って彼女は眠りについた。
翌日。
情報が入るのを待つ為に冒険者ギルドへと行こうとして、クロアがその歩みを止めた。
いや、止められたと言ったほうがよいだろうか。
殆ど突っ込んでくるようなスピードでミリアが彼の前へと降り立ったのだ。
後ろのサラも目を白黒させている。
「どうしたよ、朝のジョギングって訳でもないだろうに。」
「余裕があるのは……はぁ……はぁ……今のうちだけよ。」
彼女はそう言うと、羊皮紙の巻紙を突き出してきた。
それを受け取って中身を見るうちにクロアの表情がみるみるうちに凶暴な笑みへと変化していく。
「……ようやく……ようやくかよぉ……。全く、随分と待たせやがって……待っていやがれ……皆殺しにしてやるからよぉ……はははは……」
「……クロア?」
サラが不審そうに彼の肩越しに羊皮紙の内容を見て、息を飲んだ。
『Killing Child計画』
『精液に魔物の魔力を燃やし尽くす効果を持たせた特殊生物兵器
数種類の呪縛で体型および気性を低年齢に固定
量産化計画
グランバルト地方ガルムト教会』
それは、紛れも無くアレクの筆跡だった。
所々に赤黒い染みがあるのは彼の血液だろう。長い年月を経て羊皮紙自体もかなり劣化しているが、判読するのには十分だった。
「そうか……アレクの奴は任務を果たしていたのだな。」
クロアは街へ向かって駆け出そうとしたが、ミリアが彼の肩を掴んで制止した。
「待ちなさい。いきなり乗り込むのは自殺行為よ。
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4 5]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録