第四十二話〜PUNNISHER〜

〜前回までのあらすじ〜

ジパングの出張から大陸へと帰ってきたアルテアとプリシラ。
彼らが馬車で帰る途中の街で、アルテアが指名手配されているのを目撃してしまう。
迷い家を通る事により人目を回避し、モイライのギルドへ帰ったアルテアはラプラスによって衝撃の事実を知る事になる。
『クローン』
アルテアはとある目的の為に純粋培養されたクローンだったのだ。
そのクローンのもう一人の生き残り、『アルター』によって今回の事件が引き起こされたのだ。
アルテアの冤罪が晴れて一息ついたのも束の間、シーフギルドのメンバーが息せき切って情報を持って来る。
夜魔の街ナハトにエンジェルが出現し、周囲の破壊・殺戮を行っているという。
この情報にアルテアとミリアは共にE-クリーチャーが現れたことに感付く。
標的は魔物……その制限により事情を知っているチャルニでさえもクエストへの参加が不可能になった。
孤立無援の中、果たしてアルテアは無事にエンジェルの暴走を止めることができるのであろうか。

「それでは本編どうぞ〜。」
『軽すぎませんか?』



〜クエスト開始〜
―地上に舞い降りた死告天使―
『話は聞いた通りよ。夜魔の街ナハトに天使が現れて住民の殺戮を行っているわ。         
確かに魔物化していない天使は魔物に対して強い嫌悪感を抱くものもいるけれど、今回は異常すぎるわ。おそらくは例のアレだと思う。                                     
彼女は魔物を優先的に狙っているから魔物のギルドメンバーは連れていけないと思ってちょうだい。それに相手は天使……例の物の影響で強化されていないとも限らないわ。            
おそらく人間の仲間がいた所で何も出来ない……犬死にさせる訳にはいかないの。         
非常に厳しい任務になるわ。失敗しても構わない。逃げてもいいから生きて帰ってきなさい。   
                    冒険者ギルド モイライ支部ギルドマスター ミリア=フレンブルク』



「がるるるるる……」
「え、え〜と……」

プリシラの隣で見かけないエンジェルがたじろいでいる。
プリシラはまさに噛みつかんという体勢で彼女を威嚇しており、彼女はそれから逃げる形で一歩一歩後退っていた。

「で、彼女は?」
「貴方がいない間にここで保護されて事務仕事を叩きこまれたエンジェルよ。名前はシェリア……だったわよね?」
「あ、はい。そうです……」

他にも見かけない顔が増えていると思ったらこいつの連れだったのか。

「知ってはいけない秘密を知ってしまった哀れな天使!教会の地下深くに幽閉されそうになったところを間一髪で助ける騎士二人!彼女はその二人を引き連れて逃避行に……!」

なんだかキマっちゃっているぞ、今日のミリアさん。
寸劇でもやっているかのように大げさな身振り手振りで状況を説明する。

「あ〜……もう行っていいか?」
「あら、もっと見て行かないの?」

あんたがそうやってボケている間にも被害者が増えている訳だが。

「キシャーーーーーー!」
「ひっ!?」
『もういろんな意味で人間やめてますね、彼女。』



〜夜魔の街 ナハト〜

旅の館の中は既にもぬけの殻だった。恐らく街からは大部分の人が避難したのだろう。
施設の外へ躍り出ると……

「まったく……あんな禍々しい天使があってたまるかよ……」

上空に天使が滞空していた。
ただし、図鑑のような愛らしい姿ではない。
姿形は同じでも肌の色が銀灰色へ変色し、背中からは水晶を連ねたような羽が三対地へと垂れ下がっている。
目は緑色に濁り、瞳が存在しない。

彼女は俺に視線を向けると、水晶の羽の内一本を高々と振り上げ、俺目がけて打ち下ろしてきた。

「ッぉぉぉぉぉおおおおおおおお!?」

慌てて右方向へと走り込む。
直前まで立っていた場所に羽が振り下ろされて土の飛沫が上がって俺の体を叩く。
衝撃で内臓がでんぐり返るような感覚を覚えたが、気合でねじ伏せる。

「な、なんとか躱し……」

そして、その羽がギチギチと不吉な音を立てる。

「オイオイ……まさか……!」
『危険。なぎ払いが来ます。回避行動を取ってください。』

俺の方へ向けて羽が前方から猛然と迫ってくる。

「ぬぁぁぁぁぁああああああ!」

うまく水晶の上へ飛び移って向こう側へと跳躍する。
背後の家屋が軒並みなぎ倒され、更地と化す。

「っ〜〜〜〜〜!こいつ、今までで一番無茶苦茶だ!障害物があろうがお構いなしかよ!」
『文句を言っている暇はありません。第二波接近。』

もう一枚の羽が軌道を変えて左から袈裟切りに俺へと叩きつけるコースを取る。
上手く掻い潜ってその羽根の向こう側へと飛び込む。
またも衝
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