※クロスオーバー回につき魔物娘が全く出てきません。ご了承下さいませ。
〜ギルド宿舎 アルテア自室〜
「〜♪」
クエストが終わり、自室に帰ってきた俺は鼻歌交じりに鵺のメンテナンスをしていた。
例え自動修復装置による内部のメンテナンスが自動で行われても外装は自分で拭くしかない。
なによりこれをやらないとラプラスがへそを曲げる。まったく、厄介なAIですこと。
『内部のメンテナンスは完了しました。リンク途絶の兵器以外はオールグリーンです。』
「あいよ、ごくろうさん。こっちももうすぐ……っと。終わったぜ。」
拭き終わった強化プラスチック製の外装が黒く鈍い光を放つ。
メンテナンス用のボロ布をベッド脇の収納スペースへと収めると、ベッドに鵺を立てかけて自身も横になった。
「ふぃ〜……あとは飯食って水浴びして寝るだけだな。」
こう文明レベルが低いと夜間に明かりを点けるのは非常に金がかかり、そうなると本を読むためにも照明代(ロウソク、ランタンなど。高級品では光を放つ魔石)がかかる。
決して金銭的に余裕があるとは言えない現状ではそんな贅沢ができるわけもなく、サーモスキャンはNV(ナイトビジョン)代わりには使えない、結局夕食後は簡易シャワーによる水浴びしかすることがない。
まぁ疲れているし夜遅くまで何かで遊んでいようとも思わないのだが。
「……んあ?」
夕食までの短い時間に仮眠でも取ろうかと思った時である。
視界の隅にダイアログが表示された。内容は、
《ゲスト入室。シミュレーター使用中。》
《ゲストネーム:Laki》
どうやら人の頭の中でドンパチやっているらしい。
こんなことができる奴は一人ぐらいしか思い当たらない……。
「あぁ……あのちびっ子マッドサイエンティストか……」
おそらく今入っているラキって奴が実験体にされているんだろうな。
脳チップの中枢への道はICEでしっかりガードしてあるし、侵入を試みれば警告も出てくるが……
「人の頭の中で勝手にゴチャゴチャやられるのは気に食わないな。」
『加勢しますか?』
確かにこの状況をさっさと終わらせるにはそれが一番手っ取り早いだろう。
今頭の中で行われているシミュレーターをさっさと終わらせ、飯を食ってシャワーを浴びて、寝る。大体のスケジュールを決めると没入プロセスを開始した。
「よし、食後の前の運動だ。十分腹空かせておきますか!」
『実際に体を動かす訳ではないでしょうに。』
<DIVE>
〜アルテア脳チップ 電脳空間〜
電脳空間内へと入ると、そこは既に戦場だった。
岩と砂だらけの大地。所々に枯れ木が立っている。
そんな中、一人の男が光学ブレード付きのハンドガンで20体程の異形と渡り合っていた。
「あぁ、クソ!エスタめ、戻ったらおぼえてやがれ!」
異形の形状は人間大程度。滑らかで生物的なフォルムに甲虫の外骨格のような足を持ち、サメのように尖った鼻面をしている。
何より目を引くのがその腕から生えている2本の鋭利な刃だ。あんなものをまともに食らったら腕一本持って行かれる程度では済まないだろう。
「なんだぁ……ありゃ……」
『不明。データベースに無い未知の生物です。』
彼は囲まれながらも上手く攻撃を躱しているが、流石に多勢に無勢らしく苦戦している。
この大群を相手にするのであれば一人より二人のほうが効率はいいだろう。
「マイクロミサイルだ。」
『了解。マイクロミサイル展開。』
男の周囲に群がる異形を一体ずつロックオンしていく。
爆風に巻き込まれないように細心の注意を払い、発射。12発のミサイルがそれぞれ離れた場所にいる異形に命中し、爆炎を上げる。
あるものは最大の武器である爪を両方とも吹き飛ばされ、あるものは頭を吹き飛ばされて地へと倒れ伏す。
足をもがれて機動性を失ったものもいれば、胴体をまるごと吹き飛ばされたものもいた。
「っ!?なんだぁ!?」
「よう、随分と苦戦しているな?加勢は必要かい?」
異形の注意はこちらへ向いたようだ。
男の注意もこちらへ向いたが、元から接触を図るつもりだったので問題ない。
「あんたが……エスタの言っていた被験者か。助けてくれるのか?」
「俺としても勝手に頭の中でドンパチされるのは気に入らないんでね。さっさとこいつらを片付けようぜ?」
俺と男が話している間にも異形は金属を裂くような耳障りな声を立てて威嚇している。
俺が援護射撃を行って道を開けてやると、男はこちらへと駆け寄ってきた。
共に銃口を異形へと向ける。
「全く……バカみたいな火力だな。異形者をまとめて葬るなんてG.A.Wでもなきゃできない芸当だぞ。」
「そっちこそ、あれだけの数に囲まれて掠り傷一つ無しかい。俺だったら今頃八つ裂きだ。」
互いの長所に感心しつつも、警
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録