第二十六話〜HEAD LESS〜

※地味な寝取られ(笑)要素あり。


〜冒険者ギルド ロビー〜

「首無し騎士?デュラハンじゃなくてか?」

俺は朝のギルドロビーでニータから噂話を聞く。こいつは何気に顔が広いので、いい情報源になったりする。

「うん、なんでも旧世代のデュラハンに近い容貌なんだって。でも纏っている雰囲気が何と言うか……異常にどす黒いなんて言われているよ。」

デュラハンならギルドのメンバーにも何人かいるが、そこまで危ない雰囲気を纏っている奴はいない。

「そいつが何か騒ぎでも起こしているのか?」
噂になるぐらいなら何かしでかしていそうだ。

「ところがね、そいつに出会った人って全員生還しているって話なんだ。話は通じないけど、いきなり剣を構えてくるんだって。それで戦ってそいつが勝ちそうになったら剣を収めて去っていくとか。」

特に命を奪う訳ではないのか。

「そいつに勝った奴は?」
「いないよ。なんでも剣も魔法も全然効かないんだって。ディスペルとかの解呪呪文も効かないから魔道障壁の類じゃないらしいけど。」

旧世代の容貌に物魔両耐性ね……。

「どう見てもアレだな。」
『間違いありませんね。』

俺らが一人納得しているとニータが手を差し出してきた。

「あぁ、情報料だな。ほら。」

俺はニータに銀貨を数枚と……。
「特別ボーナスだ。」
ある料理屋の割引券を渡す。

「ラクトキッチンの優待券!?これ殆ど手に入らないのに!」

乳製品メインの料理屋だ。ホルスタウロスが経営しているため、その味は格別だとか。

「さっきみたいな旧世代の魔物の情報があれば渡すよ。今はそれ一枚しか無いけどな。」

こいつはエサみたいなものだ。
これが手に入るならニータ、いや殆どのラージマウスは血眼になって情報を探すだろう。

「こうしちゃいられない!早く行かなきゃ!」

ニータは脱兎……ではなく脱鼠の如くギルドを飛び出して行った。
と、ズボンを引っ張る感触が。

「あに〜」

メイだった。メイは物欲しそうな目でこちらを見ている!

「ほれ。」

俺はズボンのポケットから飴を取り出すとメイに渡す。

「わ〜♪」

彼女は嬉しそうに飴を頬張ると俺の膝の上に座った。

『メイが仲間になりました。』
「もう既に仲間だろ。」



〜クエスト開始〜
―首無し騎士の正体―
『首無し騎士の噂についてはもう知っているわね?実はそいつはギルド内でも問題になっていて、近場のクエストを受けた冒険者がよく巻き込まれるのよ。命は奪われなくても戦った後はボロボロだからその日は仕事にならないの。__________________________
私としても頭が痛いし、例のアレの可能性もあるから調査して欲しいの。__________ 
あと、行くときは必ず誰かを連れていくこと。この間みたいに動けなくなったりしても知らないわよ?
_______________モイライ冒険者ギルド支部 ギルド長 ミリア=フレンブルク』

「ミリアさんってこの噂知っていたのか……。」
「ギルド内じゃ割と有名な話ですよ?知りませんでした?」
優待券無駄にしたかもしれん。

「よく出没する場所はモイライ近辺の草原ですね。でも現れる場所は一定ではなくて、森へ続く道だったり、別の町へ続く街道だったりと色々です。前兆があればいいのですが……」
「前兆……ね。」



「フィー、今は暇か?」

俺はギルドで暇を持て余していたらしいフェルシアに声を掛ける。

「む、今日は丁度よさそうな仕事が無かったからな。試合ならばいつでも受けるぞ?」
こいつはまだ俺と戦うつもりでいるらしい。

「試合といえば試合だが、相手は俺じゃない。一緒に来てほしいクエストがあるんだ。」

俺はクエストの内容をフィーに話す。

「(ここで共に行くと言えば好感度アップ……しかしもう一捻りが欲しい。)」

彼女は何かを考え込んでいる。

「例の騎士の話か。一度私も手合わせをしてみたいと思っていたのだ。だが……。」
「だが?何か条件があるのか?」
「うむ、クエストが終わったら……その、だな。どこかに一緒に出かけて欲しいのだ。」
これは……。
「デートか?」
「いや、そうではなくてだな、ええと……」

要領を得ない。いや、プライドの高いフィーの事だ。

「次のクエストに付き合って欲しいって事か?なら別に構わないぞ?」

助け舟を出す俺。うん、優しい。

「あ、あぁそうだ。何か大きなクエストを受けてみたいと思っていたところなんだ。(何を言っているんだ私は!そういう事ではないだろうが!)」

結局わたわたと何かを言いたそうだったが、付いて来てくれる事になった。



〜モイライ郊外 うたたねの草原〜

「なんだか結局デートっぽくなってないか?」

武器こそ携行しているものの、
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