十四話〜巨大ロボットが戦闘すると街が破壊されるけど誰が修復してんだ?〜

〜モイライ冒険者ギルド支部〜

俺が入院してから2日後。

「冒険者達よ!私は帰ってきた!」
怪我が治癒した俺はギルドの扉をくぐっていた。

「あ、おにいちゃんおかえりなさい!」
「おかえり〜」
幼女二人が俺に駆け寄ってくる。

<こいつはまた騒がしくなるな。>
<でもいつもの朝の漫才が無きゃイマイチ調子がでないよね〜。>
<あいつには悪いけど、また俺達の朝の活力剤になってもらいますか。>

こいつらは同じギルドのメンバー。好き勝手なこと言いやがって。
というか当たり前のように俺の渾身のボケは空振りしていた。
『知らないのだから当然です』
ですよねー。

「随分賑やかな場所ね。退屈しなさそう」
同じく怪我の治ったチャルニがギルドの中に入ってくる。

「うわ!ほんとうに来た!」
天敵でも見たかのような反応をするニータ。

「おねえちゃんもおかえりなさい……じゃなくていらっしゃい!」
素直に歓迎してくれるアニスちゃん。

「ようこそ、モイライ冒険者ギルド支部へ。歓迎するわ」
ミリアさんがチャルニを歓迎する。

「そういやギルドへの紹介って俺でも大丈夫なのかな?俺のランクってどうなってる?」
ギルドの登録は紹介が必要なのだった。そして肝心の俺は自分のランクを知らない。

「ギルド員のランクはその人がどれだけ有名になったかで決まるのよ」
えらく適当な基準だな。

「そういう意味では貴方はまず問題ないわね」
「俺ってそんなに名前知られてたっけ?」
あまり自覚がない。

「リーエル商会倉庫のビーストマスター、世間を騒がせる殺人鬼の討伐、秘薬『流れ星』開発の立役者、冒険者ギルドの漫才師、そして先日の大通りのメテオストライカー。意外に貴方の名前を知る人は多いのよ?」
冒険者ギルドの漫才師は明らかに方向性が違うだろ。

「と言うか大通りのメテオストライカーって何だ?」
「貴方この間物凄い勢いで大通りに突っ込んで長い距離を破壊して行ったでしょう?」
「うげ……確かにそんな事もあったような……」
嫌な汗が流れる。また借金の危機だろうか……。

「その時に貴方の通り道に運悪くこの町で盗みを働いた怪盗がいてね、貴方に撥ねられた彼女はあえなくノックアウト。犯人逮捕にご協力有難う、ってね。♪」
「ということはお咎めなし……?」
「えぇ、大通りを破壊した事に関してはお咎めなしよ」
「ホッ……」
あぁ……心臓に悪い。

「でもその大通りの補修工事の手伝いの依頼が来ているわ。罪悪感があるなら受けておいたほうがいいかもしれないわね♪」
「……ヤラセテイタダキマス、ハイ」
断れるわけがねぇだろうが。



〜クエスト開始〜
―土木工事の手伝い―
『この間のメテオストライカー事件で大通りのど真ん中が抉れてしまった。                
修復のための人夫が足りないので是非力を貸していただきたい。                    
                                        モイライ行政区公共事業委員会』
「なぁ」
「はい?なんでしょう?」
俺はカウンターにちょこんと座っている受付嬢に疑問をぶつける。

「何でお前はいつの間にか魔女になっているんだ?」
そう、いつもの受付嬢は顔立ちや髪型の面影を残したまま幼女化していた。
さらにウィッチハットと魔女っ子服(俺命名)まで着用済みだ。

「よくぞ聞いてくれました!」
テーブルに手を付いてこちらに身を乗り出してくる。顔が近い。

「最近私思うわけですよ。本来ギルドの看板娘といえば受付に座っている私なのではないかと」
「ほう、それで?」

彼女は人差し指を振りながら力説する。
「でも最近はアニスちゃんやニータちゃんやエルファ様がちょこちょこと動きまわって皆の視線を集めているんですよ!」
「それが何故魔女化に繋がる?」
「小さい=可愛い=看板娘という構図が私の中でビビビーっと閃いたんですよ」
なぜそうなる。

「そこで私はエルファ様に頼んで魔女にしてもらいました」
「理論が飛躍しすぎだ」
「小さくなった私はその可愛さで皆の視線を独り占め!これで私の看板娘計画はバッチリって寸法です!」
「なぜそこで大人の魅力の方へ走らない。ロリコン人口よりはノーマルの奴らのほうが明らかに多いだろ」
「でも幼女ですよ!?チマっとしてるんですよ!?可愛いんですよ!?」
「そのぶっ飛んだ考えをどうにかしろ。あと暑苦しい」
「どうかしたの?」

言い合っているのに気づき、チャルニが近寄ってくる。
歩くたびに前方に付いている二つのメロンがユサユサと揺れている。

「しまったあああああ!?幼女化したら私のバインバインが無くなっちゃうじゃないですかあああああああああ!?」
言うほど無かっただろう、お前。




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