〜???〜
「………………ぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!」
俺はアルテア=ブレイナー。男。その他不明。
以上説明終わり……というわけには行かないのだろうな、コレは。
現在絶賛落下中。なぜこんな場所にいるのか、なぜ落下しているのか全く不明。理解不能。というかこの状況を一瞬で理解できる奴がいたらお目にかかりたい。先程の絶叫からこのモノローグまで約0.5秒。おまけに言うなら地面まであと約300メートル。
「って無駄なこと考えている場合じゃねぇ!」
溺れる者は藁をもつかむと言うが自由落下中の人間も藁を掴もうとするらしい。バタバタと手を振り回すと右手に何かが触れる。
「一体何……ゲッ!?」
勢い良く叫ぼうとしたが掴んだ物を見て言葉を失う。
黒くてデカくて黒光りするナニか(Gにあらず)
「なんじゃこりゃぁ……」
地面激突まで残り200m。
「せめてパラシュートをつかめれば良かったんだがなぁ……」
しみじみとしている場合じゃない。手持ちの物で何とかするしかと腹をくくったその時。
物体の後部のレンズらしきものからウィンドウがせり出した。
「いきなり出されても操作できるかっての!」
『了解。現状に最適な兵装を選択します。』
『体勢を整え、兵装を使用してください。』
ウィンドウにCGで発射体勢が描かれる。
「しっかり脇に固定して下に向けて撃ってくださいってか?」
今は頼れるものが他に無い。指示に従ったほうがいいだろう。
「これで助からなかったら化けてでるぜぇ……出ても怖がりそうもないけどよ」
残り100m。愚痴を吐きつつ先端を地面に向け、引き金を引く。途端に光が溢れ出した。
光源は自分が現在進行形で構えているそれの先端。病的なまでに白い炎の奔流が地面へ向けて巨大な火柱を形成している。
その放射――というより噴射によって軟着陸する形になったのはいいのだが、足元から奇妙な音がする。まるで中華鍋で野菜を炒めたような……。
「あっつ!足元あっつ!」
辺りにはゴムを焼いたような異臭が立ち込めていた。
それもそのはず、先程の火炎放射のようなもので熱せられた地面は真っ黒を通り越して微妙に赤くなっており、その熱が靴の底を焼いていたのだから。
「やれやれ……酷い目にあった」
ため息混じりにまだ無事な地面に避難する。さきほど熱せられた地面は今現在冷えて固まっており、どこかツルツルした見た目になっていた。ちなみに靴の底もツルツルになっていた。
「ここは一体何処だ?それにこれは……」
手元に視線を落とすとさきほど手にしていた物体が目に入る。
一言で表すならそれは長大でゴツい銃のような物だった。
しかし、ただの銃より巨大なそれはさまざまな装備でゴテゴテになっていた。
通常こういった兵装には金属製の杭は付いていないし、明らかに弾倉ではないであろう部品もくっついている。というよりそれが普通では無いのは先ほどの火炎放射で判明している。
「……わからん」
目の前の明らかに普通ではない兵器の事は置いておこう。それより自分の事だ。
アルテア=ブレイナー。それはわかる。自分の名前を忘れることはそうそう無いだろう。
しかし……
「……わからん(汗)」
それ以外の事が思い出せない。
話すこともできるし、食事の方法もわかる。トイレも一人でできれば手も触れずにズボンを脱ぐ変態技能も……
「ちょっと待て、流石にそれはおかしいだろ!」
「ん〜?」
先程から下半身を襲う清涼感の正体は足元の水色っぽい少女の仕業らしい。いつの間に。
「君は一体何をしているのでせうか?」
「ん〜……ごはん♪」
会話になっていない。
「とりあえず離してズボンを返して話を聞いて相互理解を図ってもらえるとひっじょ〜にありがたいのだけれどどうかな〜?」
「や♪」
並べ立てた言葉を一文字のもとに拒否しやがった。
「ちょ、マジで離せ!そしてズボン返せ!」
このままだといろいろとヤバイ。具体的には何と言えないがいろいろヤバイ気がする。
「えい♪」トランクスまで脱がされた。ナニが外気に晒されて涼しい、気持ちいい。ではなくて。
「いやああああ!?犯される!?」
おおよそ男が発する悲鳴ではないのは分かっている。しかし他にどう言いようがある?
「いただきま〜」
そして手に持っているものに意識が向く。これを使えば目の前の危険はとりあえず木っ端微塵にできる。しかし……
「はむ♪」「あふぅ」
その危険は自分のナニに覆いかぶさっているわけで……それを木っ端微塵にするということは自分の物も巻き添えでミンチになるわけで。
「(女を撃つ撃たないの前に自分を撃ちたくねえ!)」
「ん……ちゅぷ……くちゅ……」
否応なしに高ぶる俺、気を良くしてさらに激しさを増す水色の少女。
「(何か自分の身と目の前の彼女を傷つけずに離脱する方法は……)」
「じゅるるるる
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