10月3日 絶世の美女に告白されましたがテンションが上がりません

今日も耳障りな目覚まし時計のアラームを手探りで止める。
朝の気温も徐々に冷え込む中、段々と布団から抜け出しにくくなってくる季節なのだけれど……僕にはまた別に起きにくい理由がある。

「(はぁ……どうやって顔を合わせればいいんだろ)」

文化祭のあの日。姉ちゃんに告白されてからまともに顔を見ることができない。
恥ずかしさとか後ろめたさとかで頭の中がグチャ混ぜになってしまってどういう表情をすればいいのかわからないのだ。
自然一緒に居合わせても姉ちゃんから顔をそむける日々が続いている。
そのたびに姉ちゃんは寂しそうな顔をするので、ここ最近の僕の罪悪感は常に満杯状態だ。今ならダムを後悔で満タンにできそうである。

「ヴぁ〜……おきたくない〜……」

寝起きはいい方だと自負していたけれど、ここ最近の僕は布団から出るまで10分近く掛かっている。故に毎日通学が駆け足状態だ。

「このままじゃ……いけないよね」

このまま放置しては精神衛生上良くない。姉ちゃんの為にも、僕の為にも、この問題を早々に解決しなければ。

「……よし、っと!起きよう!」

顔を両手で叩いて気合を入れ、手早く着替えを済ませてリビングへ……

「……あ」
「っ!」

と、自室のドアを開けた瞬間に姉ちゃんと鉢合わせしてしまった。
いくらなんでもまだ心の準備が……

「もう…………」
「……え?」

なんだか姉ちゃんが僕と顔を合わせた瞬間ぶつぶつと呟いている。
髪で顔が隠れてどのような表情をしているのかがわからないので地味に怖い。

「もう、我慢できないよぉぉおおおおお!」
「う、うわぁ!?」

ほぼ反応できないような速度で抱きつかれて壁に押し付けられ、顔が姉ちゃんの胸で押しつぶされる。息が、できない。

「よう君成分略してようぶん補給〜!ぎゅぅぅぅううう♪」
「─────!─────!」

じたばたともがいてみるものの後ろは壁、さらに窒息による酸欠で抵抗力がガリガリと奪われていく。
姉ちゃんはというと触れ合っているだけでご機嫌なようで、僕の様子には一切気づいていない。
あぁ、人間いつかは死ぬとは思っていたけど僕の死因は姉ちゃんの胸による窒息死かぁ……。
締まらない死に方だけどこれはこれで役得……



「何で朝っぱらから失神していたの?」
「姉ちゃんに絞め落とされた」

そんな朝です。



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姉ちゃんは面白そうなものはなんでも真似をしようとする。

『あ〜れ〜、ご無体な〜』
「うわぁ……」

なんだか目を輝かせて帯を引っ張られてくるくると回る例のアレをテレビでみている。


─10分後─


「よう君よう君!」
「……一応やりたい事はわかるけど何をしたいかだけ聞いておくよ」
「引っ張って引っ張って!」
「……はぁ」

そこには細長くたたんだシーツを体に巻きつけた姉ちゃんが鼻息を荒くして立っていた。
駄々をこねられても面倒なので端っこを持って引っ張ってあげると、姉ちゃんは嬉しそうにくるくると回り始めた。

「あ〜れ〜♪」

くるくると回って……

─カンッ!─

「〜〜〜〜〜〜〜!」
「痛そうだね……」

調子に乗って回っていたら手の甲をタンスにぶつけて悶絶する姉ちゃんがいましたとさ

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ジリジリと未だにその勢いを残す夏の太陽光線が天空から降り注ぐ。
グラウンドには僕を含めた全校生徒がじっと自分達の出番を待ち、運びだされた椅子に座っている。
じっとりと肌を流れる汗を拭いながら耐えていると、隣に座った悪友晴彦が放つ悪態が聞こえてきた。

「あ“っづ……。何も予行演習でも炎天下での待機はしなくていいだろうに……」
「それも含めて予行演習なんだよ。どうせ本番でも同じ目に遭うんだったら今慣れておいた方が楽だと思うけど」
「どうせ楽なら本番一回で済ませてほしいぜ……。────あ“、スポドリ切れた」

物欲しそうな目で僕の水筒を見てきたので押し付けてやると嬉々として飲み始めた。

「一口百円」
「ぶふっ!ちょ、たけぇ!?」
「冗談だよ」

やれやれ、脳天気でいい事だ。こっちは突然の姉ちゃんの告白で頭の中をかき乱されてナーバスになっているって言うのに。

「なんだか元気が無さそうだな。何か悩みがあるならお兄さんにいってみなさい」

とはいえ、何だかんだで友人の変調に敏感なのがこいつだっけ。
どうせなのでお言葉に甘えさせてもらおう。

「女子から告白された」
「なん……だと……」

どうしてそうも衝撃を隠そうとしないのかね。

「どうしたんだい?肉食系男子」
「い
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