姉ちゃんがこの家に来てから大体2週間が過ぎた。
父さんと母さんは元から彼女がこの家にいたと完全に思い込まされているから仕方が無いし、周囲の反応もそれが当然と思っているのだから始末に終えない。
結局僕が取れる判断というのは、『諦めてしまう』事だった。
そして何よりも変わったのは僕の彼女に対する態度……というか、接し方だ。
なにせ彼女が美人であることを知っているという事を隠しながら生活をしなければならないからだ。
もしも本当の姿が見えていることがバレてしまえば……彼女は僕を彼女のいた世界へと連れて行ってしまうだろう。事実上の神隠しである、
そうなれば両親も心配を通り越して寝込んでしまうかもしれないし、その心労が高じて会社でミスを連発……最終的にクビ。母さんも父さんも路頭に迷うなんて事になりかねないかもしれない。考え過ぎかもしれないけど。
「だから僕は今日もこうして平静を保つ訓練をしているのです」
僕が見ているのは海外の女の人の裸がいっぱい写っている……いわゆる海外ポルノのサイトだ。
これを見てなるべく下のほうが元気にならないように頑張る、というのが僕の今のところの課題だ。
この家の平和は僕の下半身にかかっていると言っても過言ではない。頑張れ僕。頑張れ息子。あ、頑張らなくていいのか。
「あ、もうこんな時間だ……」
時計を見るともうすぐ11時を回ろうという時間だった。そろそろお風呂に入らないと。
ブラウザを閉じてパソコンの電源を落とし(姉ちゃんに見られでもしたら大変だからだ。使えるとは思えないけど)、下の階へと向かう。
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姉ちゃんを買い物に連れて行くと。
「あ!イチゴ味のプッチー!」
それを持ってきて僕に見せて上目遣いで……
「ね、これ買って……」
必ずイチゴ味のお菓子をねだってくる。
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「お風呂、お風呂〜っと」
自分のバスタオルを持って脱衣所の扉を開ける。ノックはしないのかって?
自分の家の風呂場を開ける時にノックをする人なんていないでしょ。だって開けても父さんか母さんぐらいしかいないんだから。
「あら」
「あ」
……中には抜群のモデル体型のサキュバスがバスタオルで体を拭いていた。
彼女は夕方を過ぎると人の姿からこの姿に変わる、というのがしばらく観察して分かったことだ。
……じゃなくて。
「うん、ごめん」
間髪入れずにドアを閉める。
何だかその場にいると大変なことになりそうだったので急いで自分の部屋へと駆け上がっていった。
「はぁ……はぁ……はぁ……!」
自分の部屋の鍵を閉めて荒い息を吐く。
下を見ると、息子がガチガチになるまでに元気になっていた。いやはや……あの人の裸は想像以上に破壊力が高い。
「……一回出そ」
僕は電源を落としたパソコンをもう一度立ち上げ、Dドライブの中の収集品フォルダを開く。
中に入っているのは今までに集めに集めたお宝の数々。
ロリ系から熟女系、はたまた海外物までを網羅した今までの収集活動の結晶達だ。
ちなみにかなり雑食系。
「これ……だね」
開いたのは妹物が詰め込まれたファイル群。
なぜ今の今まで姉ちゃんの裸を見て立っていたのに妹物かって?
姉ちゃんが乱入してきて姉系のをおかずにしていたら明らかに『姿バレてます』と宣言しているような物だ。同様に海外物もNG。だから、妹物。
さぁいざ抜かん!……ゴロいいけど言って失敗したかも。
「な〜に見てんの!♪」
「うぉぉぁぁぁあああ!?」
思わずらしくない悲鳴を上げてしまった……。相変わらずこの人の登場の仕方は唐突だ。
「てか鍵!鍵は!?」
「ふっふっふ……おねーちゃんは魔法が使えるのでーす♪」
しまった、この人(人外)はリアルで魔法が使えるのだった。鍵なんてあって無きが如しじゃないか。
というかこの人は本当にそんな理由で納得すると思っているのだろうか。
「魔法なら仕方が無いね」
「そうそう、しかたがなーい」
納得するしかないじゃないか。
「ふ〜ん……エッチな物見てたんだぁ♪もしかしてお姉ちゃんの裸で欲情しちゃったのかな〜?このヘンタイ
#9829;」
「いや、よく見なよ。見て欲しくないけど。全部妹物だよ」
開いたフォルダの中にはずらりとまたフォルダが並んでいる。
そのタイトルには
『妹ぱらだいす!』
『お兄ちゃんと一緒』
など、人には恥ずかしくてまず見せられないようなものがところ狭しと並んでいる。ちなみに全て二次元。
「なんというか……ご愁傷様?」
「見るなぁ!そんな目で僕を見るなぁ!」
あぁ、いたたまれなさすぎる。何が悲しくて赤の他
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