俺は腕の中でセティが泣き止むまでずっと待っていた。
まるでドラマのようなワンシーンだ。
こんなシーンが俺に訪れるとは想像したことがなかったが、自然に彼女を抱きしめることが出来た。
セティの温もりが伝わってきて、俺はそのままずっと抱きしめていたい気持ちになっていた。
そのまま、なにも考えずにセティの温度と匂いを味わい続ける時間が流れた。
温度は心地よくて、香りは本当にいい匂いで、このまま眠ってしまいそうな安心感を覚えた。
「・・・」
少しだけ俺から離れたセティは俺を見上げて、涙を少し流しながら、それでも優しく微笑んだ。
もう魔法の効果は切れてしまったらしい。セティは意思を直接伝えてこない。
だが、もう大丈夫なのだと俺は理解できた。
「うん。もうこのことで悩むことも、泣くこともしなくていいんだ。泣かせてごめんね」
俺は自然ともう一度セティを抱きしめた。自然と頭に手が伸び、その黒髪をさらさらと撫でた。
セティは髪を撫でる手を嫌がらず、俺の背中に自然と腕を回して抱き返してきてくれた。
俺は弱くセティを抱きしめただけだが、セティの腕の力は思ったより強かった。
結構強く抱きしめられ、とても嬉しそうに俺の胸元に顔を埋め、すりすりと甘えてきた。
その姿が愛しくて、セティのさらさらとした黒髪を手で撫でながら、彼女の好きなようにさせた。
セティは俺の感触を全身で味わって、俺の匂いを嗅いで感じて、俺が居ることを何度も確かめた。
それがとても嬉しそうで、とても幸せそうで、そんなセティを更に愛しく思った。
紅潮しながらセティは、俺に何か期待するかのように潤んだ瞳で見つめてきて、目を閉じた。
露骨な要求で少し苦笑してしまった。結構わがままな娘だな、とセティが更に愛しく見えてきた。
目をつぶるセティに対して俺は軽く、セティの唇に口吻をした。
「・・・ん・・・
hearts;」
キスは軽くで留めたが、セティの唇はぷりんとして柔らかく、とても甘い味を感じた。
キスをして目を開けたセティは少しの間夢見心地でとろんとしていた。
だがすぐに不機嫌になって頬を膨らませ、右手の人差し指を立てた後もう一回目を閉じた。
……もう一度という意味かな?やり直しを要求されるとは……
わがままなお姫様を扱うかの用に慎重にもう一度俺はセティに口づけをした。
甘い唇を今度はもっとしっかりと味わうように、もっと求めるように。
そうしていたらセティが俺の両頬に手をあてて接吻の主導権を強引に奪いに来た。
「・・・ん・・・ふぅ
hearts;・・・じゅる、ん・・・
hearts;」
セティは俺の口に自ら舌を入れ絡ませてきて、口の中を味わい尽くそうと貪り始めた。
俺も彼女の要求にすぐさま答え、互いに唾液の味を味わう濃厚なキスになった。
「・・・ぷはっ・・・れろ・・・ちゅる、んん・・・
hearts;」
息を吸うために口を離し、また直ぐにセティはキスをしてきた。
俺たちは何度もディープキスを繰り返し、最後に口を離したときは唾液の糸で橋ができた。
はーはーとセティは甘い吐息で俺を更に誘惑してくる。
「・・・
hearts;!
hearts;!
hearts;!」
セティはうっとりとした顔と目をしながら、それでも俺にぐいぐいと何かを要求してきた。
俺は彼女の要求が間違っていないことを確認する為に一言だけ聞いてみた。
「セティ、ベッドに行く?」
腕の中のお姫様は少し恥ずかしそうにうつむきながら顔を赤らめて、小さく頷いた。
俺はセティを甘やかしたくて仕方がなかった。だから。
「セティ、俺の首に手を回して。放さないでね?」
と言って、セティを抱き上げた。いわゆるお姫様抱っこだ。
初挑戦だけど意外と出来るもんだな、と思いながらセティを支えた。
セティは俺の行動に驚いたような顔をしたが、目をキラキラとさせながら俺を見つめていた。
俺は彼女を抱えながらベッドまで移動した。
ベッドルームは薄暗い魔法の光で照らされており、俺達のムードの演出に一役買っている。
移動途中に二回程セティから頬にキスをされた。更に降ろす時に唇を、数回奪われた。
セティはどうやらキスが大好きらしい。軽いキスをちゅっちゅと何度も繰り返してきた。
その顔は情欲が溢れ出て蕩けていて、俺だけしかその目には映っていない。
俺はセティをベッドに降ろして、軽くキスをして、そのまま雪崩れ込むように押し倒した。
いや、正確に言うと、セティが俺の背中に手を当てて引きこまれたというべきか……
言葉を交わす必要が無いくらい、セティは積極的だった。
「・・・あむ、んー
hearts;ちゅっ
hearts;んむ
hearts;」
俺はセティとベッドの中で抱き合いながら何度も軽い口づけを繰り返す。
セティの上に
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