おかーさんデーモン

悲しくて、寂しくて、切なくて、心細くて、ぼくはずっと泣いていた。
そんなぼくを優しく抱きしめてくれて、よしよしと頭を撫でてくれた。
ぼくはそれがとても嬉しくて、ずっとこのままで居たくて。ただ甘えていた。


そして、なんでも願いを叶えてあげる。と言ってくれた。
そしてぼくは、わがままを言うようにお願いした。







「ぼくのおかあさんになってください」



それがぼくが覚えている一番幼いころの記憶。


僕と彼女の契約。




僕は悪魔と契約したのだ。










*  *  *












僕の名前は高橋達也。花の高校1年生。マザコンです!


自分で言うのもなんですが品行方正清廉潔白文武両道のイケメンだと思っています。
あとマザコンです!マザコンがなければ完璧って良く言われます!
中学時代はサッカー部でエースとして全国大会までチームを連れて行き活躍しました。
更に生徒会長も受け持ち先生方からの覚えもよく、成績でもトップを維持し続けました。
進学に関しても地域トップクラスの進学校に奨学金免除で入学出来ました!
偉大なる母の息子として当然の事です!少しでも母の負担にならないように努力した結果です。
何処へ行っても恥ずかしくない母の息子として存在するために僕は完璧を目指しました。

母の事を僕が語ると友人がガチで引いていくので余り語りはしません。
なんででしょうね?語れと言われたら一日中喋り尽くす自信があるのですが。
でもその影響か女の子にあまり告白されないので僕としてはラッキーですね!
いえ、女の子を傷つけたいという気持ちはありません。本当です。
ですが世界の人には三種類居るんですよ?男性、女性、母。ほら。三種類。
というわけなので僕は女性からの告白を受け取ることは信仰上出来ないことなのです。



母は偉大です。
僕を10年もの間、愛情を絶やさず育ててくれて僕は本当に感謝しています。
如何に母からの愛情を返すことが出来るか、僕は常に考えています。
家計的に厳しいので僕は学業に関しては手を抜かず有利働くよう徹底してやりました。
生徒会長の業務は漫画などで語られるようなもの程忙しく無いので部活動と平行できました。
そんな忙しい中学時代を、たったひとつの目的のために僕は精力的に活動していたのです。








「ただいま、母さん」
僕は母と二人暮らししているアパートに帰宅します。
部活動や、母から買い物を頼まれていない限り僕は寄り道もせず帰宅します。
パタパタとエプロン姿の母が玄関口に近いキッチンから現れました。


「おかえりなさいたーくん」
僕はこの声を聞いて、ああ、母が居る世界に僕は帰ってこれたんだなと思いました。
その声は僕の耳から入り心の穴に澄み渡るように埋まっていき僕の欠けていた魂を修復しました。
母は僕のことをたーくんと呼んで居ます。母以外に絶対に呼ばせはしません。


「今日はね、たーくん。大事な話があるの」
母はその黒い翼をぱたぱたと動かしながら神妙な顔をしていいました。
僕の母の名前はエルフィール。デーモンという種族らしいです。
魔法的な何かで僕以外には日本人に見えるらしいですが青い肌で明らかに人間ではありません。


僕と母の間に血の繋がりはありません。


ついにこの時が来てしまいました。
僕は母、エルフィールと幼少の頃、悪魔の契約を結びました。
もう既に10年も立ちました。むしろ待たせてしまったくらいなのです。


契約に従い、僕は悪魔である彼女に全てを捧げねばなりません。


母は契約のことに関しては触れません。
僕もこの幸せを壊してしまいそうで触れる勇気がありませんでした。
だから僕は図書室や図書館で悪魔に関する書物で勉強し、要求されているものを想像しました。

多分、悪魔の契約ですから、魂だと思います。

怖くはありません。僕はいつでも母に魂を捧げる準備はできています。
そうです、僕はそのために生きていました。
僕に幸せを与えてくれた母に対し僕が捧げられるものは、最高のものじゃなきゃいけません。
この命で出来る限り最高の存在になることを目指しました。全ては捧げるためなのです。


「わかったよ母さん。いや、エルフィールさん。今までありがとうございました」
「ん?どうしたのたーくん、畏まったように」
「契約のことでしょう?僕は母さんに魂を捧げなきゃならないんじゃ?」
「えっ、なんの話?」
「えっ」


あれ!?違った!


「たーくん。お母さんは引っ越しの話をしようかと思ってたんだけど・・・」


痛恨のミス!なんてこった勘違い!


「たーくん。そこに正座しなさい」
「はい」

今から僕怒られます。

「契約の話なんだけど、なんでたーくんが今から魂を捧げなきゃならな
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