翌朝(というより夜)、オレはギルドへと足を向けていた。
起きてすぐに、机の上にセラからの手紙が置かれていることに気づいた。
手紙には簡潔に『仕事がある、ギルド本部に来い』と書かれていた。
早速の仕事に、若干不安も感じるが...
(まあ、それほどに人手が足りていないのか)
それに、人手が足りていないというのなら、収入もそこそこ見込めそうだ。
オレは少し疑問に思いながら、ギルドへと向かった。
「ふむ、予定時刻よりも30分早いが、みんなそろったことだ、話を始めようか」
ギルドに足を踏み入れると、あのときの黒騎士が話しを始めだした。
あの時には気づかなかったが、首の留め金を見るかぎりデュラハンだろう。
(みんなっていうことは、他にメンバーがいるってことだよな)
ギルド内には片手で数えられるほどの人(?)しか座っていなかった。
オレが確認しようとしたとき、近くの席から声をかけられた。
「早く来るとはいい心がけだな、裕也」
入ってすぐの長椅子に座っているセラ。
戦っているときの服装とは違って、今日はゆったりとした服装となっている。
Tシャツ1枚に短パン姿。
服の上からでもわかる胸の二つの果実。
緑色の鱗が外の光に照らされ、艶めかしく光る。
その姿は、艶やかというには力強く、剣士というには美しすぎた。
(今までこんな美女に会ったことはないな)
こんな女性が町中歩いていたら、誰でも振り替えるだろう。
もちろん、オレもその例外ではないが。
目線を上に上げると、彼女と目が合った。
「どうした、何か用か??」
「いや、何でもない」
オレはとっさに目線をそらした。
目が合ったその時、言い表せない何かが体を支配した。
たかが目が合っただけ。
それだけのはずなのに、なぜか鼓動が早くなる。
こんなこと生まれて初めてだ。
心の中で何かもやもやしたものがまとわりついてくる。
(くそっ、一体何なんだ)
オレは彼女にまた目を合わさないように、長椅子に座った。
前に立っていたデュラハンは、オレが座ったと当時に話しを始めだした。
「まず、裕也にはジパングへと向かってもらう。
そこで、とある事件の調査をしてほしい」
「とある事件??」
「そうか、あの事件を知らないか。
...まあ、無理もないか。
ジパングで15年前に起きた無差別殺人のことだ」
15年前か、随分昔の事件だな。
ちょうどオレが2歳の頃か。
今さっきのもやもやが、別の黒い感情へと変わっていく。
2歳の頃のことは、あまり思い出したくないな。
ちょうど両親が事故で亡くなった時だ。
二人がオレを連れて旅行に行っていた最中に事故に遭った。
事故に遭う直前、父さん母さんはオレをかばって死んだ、と祖父から教えてくれた。
オレ自身、その時のことをよく覚えてはいない。
祖父に事件のことを聞くと、いつも悲しそうな表情でオレに、
『いつか必ずわかる時が来る。それまでの辛抱じゃ』
と、話していた。
いつも豪快な笑い声をあげる祖父が、この話題になると決まってそんな表情をしていたことをよく覚えている。
オレにとって一番古い記憶といわれたら、迷わずこのことだろう。
その頃からだった。
祖父がオレに剣術を教え始めたのは。
小さな時から習わせるものではなかったが、両親がいないことを引きずらせて生活させていくよりもずっといいと思ったのだろう。
今になってはよい経験だと思う。
たぶん、あの時剣術を始めていなかったら、今頃ひん曲がった性格になっていただろう。
「裕也、どうした」
感傷にふけっているオレの肩をセラはそっと揺らした。
はっ、と顔を上げると、全員がこちらを向いていた。
「それで、依頼を受けるのか??」
デュラハンは依頼の承諾を催促してきた。
どうやら、オレが感傷にふけっている間に話しは進んでいたようだ。
依頼の内容は前半で理解できたから、問題はなさそうだ。
承諾の一言を伝え、準備するために部屋に戻ろうとしたとき。
「ああ、ちなみに今回のメンバーはセラとそこにいるジャックだ」
ジャック??
オレは振り向いてその男をみた。
あの顔は見覚えがある、というよりも忘れられない。
「おう、よろしくな裕也」
筋肉ムキムキの男が笑顔でにじり寄ってきた。
オレの頭の中で、とある記憶がよみがえってくる。
忘れようにも忘れられないあの記憶、そしてあの言葉。
『やらないか』
(スーパーイケメンヴォイス)
ゾクッ...
背筋の凍る思いをしながらも、オレはその場から逃げなかった。
いつものオレだったら、とっくの前に逃げ出している。
けれども、これはお仕事なのだ。
仕方が無いことだ、と割り切らないといけない。
そう、割り切らないと...
「ほう、あ
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