小屋の窓から冷たい風が駆け抜けていく。
緊迫した空気の中で、オレ達はどちらが先に動くかを待っていた。
ふと、小さな葉が窓から入ってきた。
その葉は、緊迫した真ん中へと落ちていった。
葉が地面に落ちた瞬間。
「はあっ!!」
オレは刀を水平に構えて胴へとなぎ払いを放った。
ガキンッ!!
セラは紙一重で、なぎ払いを受け止めた。
初撃を止められたからには、必ず反撃が来るはず。
オレは一気に彼女の間合いの外まで下がった。
予想通り、彼女は反撃をするために踏み込んできた。
彼女のなで斬りが何発も打ち込まれてくる。
オレはその斬撃の全てを受け止めた。
けれども、
(人ではないことを知っていたけど、まさかここまでの破壊力を持つとはな)
斬撃の嵐を耐え切ることはできたが、腕が痺れてくるほどの破壊力だ。
何度も受け止められるものではない。
長期戦になればこちらが圧倒的に不利になる。
(さて・・・どうしたものか)
「戦いの最中に考え事するとは、よほどの余裕なのだろうな」
「何・・・ッ!!??」
その直後、まるで巨大な丸太がわき腹に食い込むように、何かが直撃した。
オレはその衝撃に耐えられず、壁へと飛ばされていく。
勢いよく壁に当たったが、壁がもろかったのか、ミシミシという音を鳴らしながら、砕け散ってしまった。
(いったい何が起こった??)
オレは崩れた体勢を整えながら、先ほどの衝撃の正体を探した。
けれども、いくら見渡してもそれらしきものが見つからない。
オレはふと、彼女のほうを向いた。
(・・・そうか、そういうことだったのか)
「ん、どうした??そんなに私の尻尾が気になるか」
つい今さっきの衝撃の原因は彼女の尻尾だった。
そのせいで、肋骨2本近く折れてしまっている。
「まったく、やってくれるね」
「何だ、別に剣だけの戦いではないのだから、反則も何もないだろう」
「別に、反則なんて言うつもりなんてないよ。ただ・・・・」
オレはすばやく彼女の懐に入り込み、腹部に掌底を放った。
彼女もまた、オレと同じように壁に穴を開けながら吹き飛んでいく。
「オレもまた、使わせてもらうだけさ」
「ふふふ・・・人間風情が、やってくれるな」
「人間様をなめんなよ」
瓦礫の中からゆらゆらと立ち上がって、剣を構えながら走ってくる。
オレは片手で刀を構えながら、彼女の攻撃を待ち受ける。
それからの記憶は曖昧になっている。
激しい打ち合いを繰り返し、お互いを吹き飛ばしあいながら戦い続けた。
始めにあった小屋も今では、ただの瓦礫となっている。
二人とも体はボロボロとなり、いつ倒れてもおかしくはない状態となっていた。
それでも、オレ達は戦うことをやめなかった。
激しい戦いに身を置く事に、一種の心地良ささえ感じられるくらいにこの戦いを楽しんでいた。
「ここまで気持ちが高ぶるのは、今までなかったな」
「そりゃどうも。オレもここまで張り合いのある戦いは、生まれて初めてだ」
けれど、祖父との殺伐とした修行に比べれば、天国のような戦いだよ。
あのときのじいさん、確実に殺しにかかってくるからなあ。
それでも、負けまいと戦ってきたオレに拍手したくなるね。
勝ったことはないけど。
まあ、そのおかげで、オレと肩を並べてくれる人なんていなくなったけどな・・・
そんなことを考えていると、目の前が少しずつ靄がかかってきた。
(ああ、もう限界か)
長々と戦ってきたこの戦いに、体が終わりを求めてきた。
それは、彼女も同じのようだ。
彼女もまた、体がフラフラとよろめきながらも剣を構えている。
おそらく次で最後になるだろう。
「そろそろ、終わりにしますか」
「そうだな」
オレ達は武器を構えて走り出す。
最後の一撃を託して。
「「うおおおおおおおおおお!!!!」」
雄たけびを上げながら、最後の一撃を振りかざす。
「お熱いところ悪いけど、止めさせて貰うわ」
キィンッ!!!!
鋭い金属音が響き渡る。
けれども、その音は彼女の剣ではなかった。
それを理解するのに時間がかかった。
目を凝らしてみると、オレ達の間に、夫婦と思われる二人が、斬撃を受け止めていた。
「な・・・ぜ・・・」
オレの意識はそのまま暗い闇に堕ちていった。
裕也VSセラ
『魔王城訓練場跡地』にて、突然の乱入者により試合中断。
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