ぽかぽか、ぽかぽか…いいてんき。
ふわふわ、ふわふわ…いいきもち。
わたしはしあわせ?
…きっと、しあわせ。
しあわせさがして、わたしはすすむ。
わたしはしあわせ、でもたりない。
なにがたりない?わからない。
しあわせさがして、わたしはすすむ。
いつかみつける、わたしのしあわせ。
…いつかみつかる?わたしのしあわせ。
きょうはいつもとちょっとちがった。
きのうとも、おとといとも、そのずっとずうっとまえのひともちがった。
いままでわたしはひとりだった。
しあわせだけれどひとりだった。
きょうはいつもとちょっとちがった。
きょうのわたしはひとりじゃなかった。
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「…今日はこれくらいにしておくか」
湿原に埋もれた剣を引き抜き、背負った籠に放り込む。
籠の中には十数本の武器が収められているが、どれもこれも刃が欠けている。
ここは街から少し離れた場所にある湿原だ。
俺は教団からの依頼でこの地で廃棄された武器を回収していた。
かつて…旧世代の魔王の時代に戦争があった。
俺が拾い集めているのはその時代のものらしい。
ちなみに、教団からは『死んだ者達を差別しない』と、両軍の武器を半々の割合で回収するように言われている。
以前、適当に拾ったものを持ち帰ったら小一時間説教をくらった。
…俺、信者じゃないんだけどな。
こうして集められた武器は教団本部に送られてそこで供養されるらしい。
この地に忘れられた武器達は、永い時を経てようやく主のもとへ逝くことができるというわけだ。
そう思うと感慨深い気持ちになる…
…と、もう十分集めたんだから続きはまた今度でいいか。
さて、お腹も空いたし、さっさと帰るとすr「うわああぁぁぁぁああぁぁぁあっッ!」
転んだ。おもいっきり転んだ。
膝まで伸びた草のせいで見えなかったがぬかるみに足を取られたらしい。
畜生、今日はツイてない。
『くすくす、くすくす』
笑い声が聞こえる、ああ笑うがいいさ。
こんなに派手に転べば誰だって笑うものさ、転んだのが俺じゃなきゃ俺だって笑ってやったさ。
…ん?笑い声?
今日、俺は一人で来たはずだ。いったい誰が笑ってるんだ。
声の主を捜して辺りを見回す。
『くすくす、くすくす』
一人の少女が笑っていた。
とたんに自分の醜態が恥ずかしくなる。
「あ〜、ねえ君。こんなところで何してるんだい」
立ちあがった俺は、醜態を誤魔化すように声をかける。
「ん〜、わたしは〜さがしているの〜」
笑い声は相変わらず口の端からこぼれてくるが、少女は俺の問いに答えてくれた。
「探している?何か落し物でもしたのか?」
問いかけると少女はフルフルと首を横に振る。
「さがしものは〜みつからないの〜。きのうも〜おとといも〜ずっとずうっとみつからないの〜」
「ずっと?君は今までこの湿原にずっといたの?」
「〜?」
少女は問いに首をかしげる。
ひょっとすると記憶障害か何かだろうか?しゃべり方も妙にゆったりしているし何だかそんな気がしてきた。
「君、自分のことは話せるかい。いったい君は何者なんだい?」
少女はまだ首をかしげている。
こんな状態の女の子を放っておくわけにはいかないか…
「俺、今から街に帰るところなんだ。君も一緒においでよ」
そう言って俺は少女の手を取った。
ぬる…
触覚が不思議な感触をとらえる。
少女の手は粘質の液に濡れていた。
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『いったい君は何者なんだい?』
そんなこと、かんがえたことなんてなかった。
わたしはだぁれ?わからない。
しあわせばかりさがしてた。
じぶんのことなんてかんがえたこともなかった。
わたしはだぁれ?だれだろう。
それをきめたら、わたしはしあわせになれるのかな?
じゃあきめよう。いまきめよう。
わたしはきょうから…
「わたしは〜あなたの〜およめさん〜」
やっとみつけた、わたしのしあわせ。
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「わたしは〜あなたの〜およめさん〜」
草に隠れた少女の下半身が視界に映る。
人のそれとはかけ離れた姿を
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