「はぁ…… これからどうしよう?」
私、天夜かぐやは人目を忍ぶように城下の路地裏に身を隠していた。
……今更言っても仕方がないけど、王様をぶっ飛ばしたのは流石に問題だった。
今のところ追手はないけど、近い将来に罪人として手配されるのは間違いないでしょうね。
幸いこの世界の情報伝達の手段は現代日本ほど発達している様子はなさそうだし、私の顔を知る人も今はまだいないだろうけど……………
「……この格好じゃ、流石に目立つわね」
現在、私が着ている服は学校の制服だ。
こちらの世界に来るきっかけは何だったのか………
そこらへんの記憶は曖昧だが、こうして制服を着ているということは登校から下校するまでの間に召喚されたんだろう。
……いや、今問題になっているはそこじゃあない。
問題なのはこの制服が物凄く目立つということだ。
追われている身としてはコレはよろしくない。
となると、どこかで衣服を調達する必要があるんだけど……………
「……こっちで日本円って使えるのかな?」
衣服が欲しいなら買えばいい。
そう思って確認した財布の中身は、当然のことだが日本円だった。
……ここって日本じゃないよね? だったら無理だろうな〜
そうなると、なんとかしてこっちのお金を入手しないとダメね。
このままじゃ生活すらままならない。
「ここがRPGの世界だっていうんなら、モンスターを倒せばお金が手に入るのかな?」
そんなことを考えてみる。 ……ただ、アレはあくまでゲーム内でのことだしなぁ。
正直、モンスターが人間のお金を持っているとは思えない。
だってモンスターお金使わないでしょ? ならさ、お金を持つ理由がないじゃん。
ひょっとしたら肉や毛皮とかを売るってことも出来るかも知んないけど、なにが売れるのかわかんないし………
「ん〜、どうしよっかなぁ〜」
私は何か名案でもないかなと頭を悩ませていた。
―――――そんな時だ。
「おいおい嬢ちゃん、こんな所になんの用だい?
もしかしてよぉ〜、"かくれんぼ" でもしてんのかい?」
「え? ………あんた達、誰よ?」
声を掛けられて振り向くと、そこには三人の男が立っていた。
男達の身形はお世辞にも清潔とは言えないような薄汚れた格好だ。
私は男達を無視して路地の奥へと行こうとするが―――――
「へへへ…… まぁ待てよ、お嬢ちゃん」
―――男の一人に回り込まれた。
左手にチビ、右手にデブ、正面にヒゲが陣取る。
気が付くと、私は壁を背にして男達に囲まれていた。
「おいコラ糞女!アニキから逃げようなんてふざけてんじゃねェぞ!」
「に、逃げちゃだめなんだな」
「おいオメェら、あんま苛めんじゃねぇぞ」
チビとデブが私に詰め寄るのをヒゲ(アニキ)が制する。
……もしかして、厄介なのに目を付けられた?
「なぁ嬢ちゃん。 "かくれんぼ" してんならよぉ、俺達も混ぜてくれねぇか?
鬼は俺達がやってやるからよぉ〜」
「……お生憎様、そんな幼稚な遊びはとっくの昔に卒業したわ。
そんなに "かくれんぼ" がしたいなら幼稚園の先生にでもなったらどうかしら?」
「へへ、そりゃあ無理だな。 俺の面はガキの世話には向いてねぇ」
「そう、だったら園児として入園したらどう?」
「いやいや、俺達は嬢ちゃんと遊びたいのさ。 ……だからよぉ、お嬢ちゃん」
ヒゲの男が合図をすると、チビとデブが腰に差したナイフを抜き放つ。
「俺達と "大人の遊び" をしようじゃねぇか」
「おい糞女、怪我したくなかったら抵抗すんじゃねェぞ」
「ふひひ。 は、はやくひん剥いてやるんだな」
……もしかして、コイツら私の体が目的?
え?お金とかじゃなくて?
「ふ、ふざけんじゃないわよッ! 誰があんた達なんかに初めてを奪わせるもんですか!!!」
貞操の危機に対して、私は咄嗟に身構える。
私の純潔をこんな浮浪者に奪われてたまるか!
「へへ、聞いたかオメェら、このお嬢ちゃんは初めてだそうだ。 へへへ、嬉しいじゃねぇか」
「ケッ、どうせアニキが先にヤるんだろ。 俺達には関係ぇねえじゃねェか」
「そ、そんなことないんだな。 き、気持ちの問題なんだな」
男達は薄ら笑いを浮かべながら、私の方へとにじり寄る。
「……やめときなさいよ。 私に触れると火傷じゃ済まないわよ」
「へへへ、強がるなよ嬢ちゃん。 余計なことすっとせっかくの綺麗な肌が傷だらけになるぜぇ」
「うっさい! あんた達こそ怪我しないうちにどっか行きなさいよ!」
「怪我ぁ?そんな心配は必要ねぇな。嬢ちゃんの細い腕じゃあ抵抗するだけ無駄ってもんだぜ」
これ以上話しても無駄なようね。
……だったら、思いっきり抵抗させてもらおうじゃないの。
「喜びなさいあんた達、これが私の………記念すべき初エンカウントよ」
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