「……………………は?」
俺こと黒須 直哉(くろす なおや)が目を覚まして、まず第一声がそれだった。
えーと、ここはどこでしょうか?
石造りの真っ白で巨大な室内。
無駄に広い部屋の中央に描かれた円陣の上に俺はいた。
周囲を見回すと偉そうな人達に囲まれて、さらに偉そうなおっさんが巨大で豪華な椅子に座っているのが見えた。
つーか、アレって王様じゃね? うん、見たところそんな感じ。
あ、もしかしてお姫様とかもいるかな? ……残念、いないようだ。
「召喚されし者よ。 お主が勇者であるか?」
おお、王様(いや、多分だけど)が喋った。
なんか、偉そうだな。
見た目が王様すぎてコスプレにしか見えないんだけどね。
まぁ、しかしだ……
……………召喚?
なんぞそれ?
目が覚めたら『ふぁんたじぃ』な異世界に召喚(という名の拉致)されてました(笑)。
ひょっとしてコレはアレか? 規格外な低賃金で魔王倒してきんしゃ〜いってヤツか?
いやいや、俺って一般人ですから。
町の名前を旅人に教えるあの人達と同じ唯の人間ですよ。
つーか、アレって看板でいいよね。 絶対にいじめだよね。
さて、勇者なんて冗談じゃない、断固として辞退させていただきますよ。
可愛いお姫様がいたらやってもよかったんだけどねー。
……と、いうわけで。
「いえ、私は選定の使者にございます」
厄介事は他人に投げるのが基本だよね。
俺は一秒の迷いも躊躇も無く部屋の入り口で槍を携えて突っ立っていた兵士を指差して―――
「彼こそが勇者様であります」
そう言ってやりました。
うん。君だよ、君。 ほら、さっさとこっちに来なさい。
俺が指名した兵士は混乱した様子だったが、俺が確信を持って彼を指名することで周りの人は納得したようだ。
ねぇ君、なんか嬉しそうにしてるけどさ、確実にそれ厄介事だよ。 君、今から勇者様(笑)だよ。
俺なら貰った装備は売り飛ばして国外に逃亡するね。 魔王?知りませんよそんなこと。
一般人は静かに暮らしたいのですよ、ハイ。
まぁ、そんなこんなで俺を置き去りにして事態は進行する。
このまま俺のことも忘れてくれないかな。 いや、だって関わりたくないしね。
お、兵士さんが王様からなんか宝箱貰いましたよ。
ここからだと中身は見えないけど……
あ〜、微妙な表情だ。
あの中身って絶対に小銭だよね。
あれじゃあ魔王討伐の旅って言うよりも、むしろはじめてのおつかい(笑)だよね。
兵士さん、ドンマイ。
そうだよね〜、ぶっちゃけ勇者様(笑)よりも兵士のほうがいい装備だよね。
兵士さんかわいそー(他人事)。
つーか、何で王様そんなに偉そうなの? バカなの?
多分、こっちの苦労も知らないで『おお、ゆうしゃよ(以下略』って言うんだろうな。
もしも世の中が平和だったのなら、国を潰すのは魔王ではなく王様(バカ)の無能さだろう。
その時は『おお、こくおうよ。 くにをつぶしてしまうとはなさけない』って言ってやるとしよう。
「して、選定者よ。 お主はこれからどうするのだ?」
おっと、俺か。
いや、そんなの決まってるっしょ。
「私は元の世界へ帰るつもりです。
選定も済んだので、どうか私を元の世界へと帰してはいただけませんでしょうか?」
さ、これで何事も無く終わりそうだな。
まぁ、『ふぁんたじぃ』な世界を観光したい気持ちもありはするけど、これ以上王様(バカ)に関わりたくないしね。
あれ? 王様(バカ)のヤツ何でそんな申し訳なさそうな顔?
魔法とかでサッサと送り返せばいいだけでしょ?
足元の円陣がピカって光ったら俺の部屋じゃないの?
「選定者よ」
「はい、なんでしょうか?」
「お主をこの世界に呼び出したのは代々我が王家に伝わる召喚術によるものだ」
「そうですか。 でしたら早速ですが、私を元の世界へと帰してください」
「……選定者よ、もう一度言うぞ。 我が王家に伝わっているのは"召喚"術なのだ」
"召喚"術? なんで召喚を強調して言うのかな?
……嫌な予感しかしないのは気のせいですよね? ね?
なぁ、黙んなよ。 頼むから目をそらすなよ。
いや、まさかとは思うけどさ……
「もしかして…………… 帰れないとか?」
「うむ、許せ」
おい、ちょっと待てや。
許せじゃねええええええええええええええええええええええええええええええッッッッッ!!!
なに、このバカ(王様)! なんでバカの癖に偉そうなの?!
「して選定者よ。 お主には勇者の旅の手伝いを頼みたいのだが」
頼まれるわけねえええええええええええええええええええええええええええッッッッッ!!!
そんなこともわからないの?!
あ、勇者(一般兵)がこっちを見て手招きしてる。
いやいやいや、俺はお前の同類じゃないから。 そっち側の人間じ
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