家の嫁さんについてA

 夫1「おお、こっちこっちだ!」

 夫2「はい!今行きます」

 イラツシャイマセ!ゴチュウモンハナンデショウカ?
 
 夫2「コーヒーをお願いします」

 カシコマリマシタ。マスター、オーダーハイリマス。コーヒー1ツデス。

 夫2「それで話って何ですか?」

 夫1「ああ。実はな、その・・・効果的なダイエット方法って知ってるか?」

 夫2「ダイエットですか?・・・・あ〜、やっぱりアレですか?」

 夫1「・・・・ああ、そうなんだよ。妻がさ、おいしい料理が出来ましたって言いながらさ、テーブルに並べてくるんだよ」

 夫2「判りますよ。オレもそうでしたから。あの頃は本当に辛かったから」

 夫1「本当にな、こんな体になってからつくづく実感したよ。アレは一つの所謂メシテロだよ。毎日毎日家に帰るとさ、妻がさ、満面の笑みで出迎えてくれるんだ。それでさ、手を引かれてさ、部屋に入るとさ、テーブルの上にさ、所狭しと沢山の料理が並べられているんだよ」

 夫2「新婚の家で新妻が料理を用意して愛しの夫を待っているんですからね。そんな風にされていたら、たとえ疲れ果てていても直ぐに笑顔になってアマエマクルに決まってるんだよな。抱き着いてその胸に頬ずりしまくるに決まってるよな」

 夫1「そういや、お前んとこも家と同じホルスタウロスだったよな。あの山脈に挟まれて揉みしだき、思うさま埋もれていたいと世の男性が必ず一度は思うよな・・・ま、一部例外は居るみたいだけどな」

 夫2「本当にな。あの大山脈に魅力を感じないなんて如何かしてるよ、人生の全てを損しているとしか思えないよな」

 オマタセシマシタ!コーヒーデス、ドウゾ!!!(ガチャン!)

 夫1「な、何だ?あの店員は・・・無愛想どころか乱暴だな」

 夫2「ほっとけよ。所詮胸も小さいし、背も低いお子様なことでしかアピールできないからヤいてるんだよ。そっとしておいてやれ」

 ウワ~~~ン!!!!ニイサマ~~~~~!!!!!!(バン!ダダダダ!)

 夫1「あれ?出ていっちゃったよ。店員なのに」

 夫2「大丈夫なのかな?この店の店員あのバフォメット一人だけなのにな?」

 夫1「ま、大丈夫なんだろ。それよりもこっちの方が問題なんだよ!そのおかげでさ、こうなっちゃったんだよ。見てくれよ、この身体をよ!!!」

 夫2「ほう、見事に腹が出ているな。それも立派な三段腹には成っていないが、完璧な太鼓腹だな。叩いたらいい音がしそうだな」

 夫1「・・・叩かなくていいよ。別の意味でいい音が出たから。それでさ、直ぐに効果の出るダイエット方法があるか知らないか?出来れば薬とか使わずに、それこそ2,3日でこの腹が目立たなくなる方法とかさ」

 夫2「ムチャ言うなよ!食事を制限したり、そのメニューを考えたり、身体を動かす運動メニューを組んでとか、長期的に取り組まないと無理に決まってるだろ。最低でも半年は取り組まないといけないぞ」

 夫1「そこをなんとかさ!頼むよ!!!家の嫁さんの笑顔を思うとさ、とてもじゃないけど言えないんだよ」

 夫2「そうだよな、愛情のたっぷり篭った料理の食べ過ぎで腹が出てきてるなんて言えないもんな・・・・」

 夫1「そうなんだよ。最近医者にも言われているんだよ。『太り過ぎで体重が不味いです、血糖値も正常値の5倍出ています。他にも色々と不味い値が出ていますので、このままですと体質改善のために強制入院してもらいますよ』って言われてるんだ」

 夫2「しかしな、こればっかりはな」

 ダツタラワタシタチガナントカシマショウカ?

 夫1・2「「ん?」」

 横から聞こえてきた声に二人が顔を向けると腕組みをして仁王立ちしている店のエプロンを身に着けた男性達が横に立っていた。額には青筋を浮かべ、こめかみを弾くつかせ、顔を赤くしており、その背中には怒りの焔を背負い体中から正しく『俺達は怒っているんだぞ!』オーラを身に纏っていた。

 その姿に二人は慌てて逃げ出そうとして周りを見て固まってしまった。

 とんがり帽子に黒い服を着た魔女達が店の中のいたる所に陣取っていた。皆怒りに怒りまくっており、中には目を血走らせている魔女や、火球を何十個も浮かべている魔女もいた。

 因みにバフォメットは自分の兄様に泣きついて抱っ子しながらヨシヨシと頭を撫でながらあやされていた。

 チョウドイイバショガアリマスヨ。パンデモニウムナラサイテキデスヨ
 
 ワタシタチマジョガセキニンヲモツテオノゾミドオリヤセサセテアゲマスネ

 夫1・2「アハハハ・・・お手柔らかにお願いします」

 こうして二人は無事痩せました。

                       

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