ドタドタと病院内の廊下を走る、走っているとナースに。
「廊下は走らないでください!」
「ごめんなさい」
注意されるが尚走る、柏崎陽斗。
そしてナースステーションで言われた病室に勢いよく扉を開ける。
「大河!!」
勢いよく開けた扉の先を見ると介護用のベッドで座る男の娘がいた。
そしてこちらに気づいたのかゆっくりと振り向く"男の娘"は陽斗の弟みたいな存在。
柏崎大河。
ゆっくりと近づいて肩を持つ。
「大丈夫か?痛いところはあるか?」
「・・・」
答えようとしないそれどころか陽斗を見つめる。
「ど、どうかしたか?ひょっとして痛かったか?」
肩を持つのをやめる、するとゆっくりと口を開ける大河。
「あ・・・あの」
ようやく口を開いた弟しかし。
「貴方は・・・誰ですか?僕のこと・・・知ってる人ですか?」
兄嫁の弟、大河は「記憶喪失」になっていた。
@
一度病院を出て頭を冷やし、落ち着いた所で携帯を出して電話をする。
発信先は自分の兄貴しかし一向に出る気配がしない
「・・・頼むから出てくれよ」
留守電に鳴るたびにかけ直す。
何度も、何度も、何度も・・・。
「・・・くそ」
何度も出ないので諦めて携帯をしまい、ため息を吐いて病院に入る。
(なんでこんな時に出ないんだよ・・・)
苛立ちながら大河の担当医がいる部屋へ行く。
「失礼します」
「やぁ君が・・・えっと柏崎大河君の・・・」
「兄です、といっても本当の兄じゃあありません、俺は大河の義理の兄になります」
「?義理のお兄さん・・・ご家族は?」
「・・・実は」
担当医に自分と義弟である大河の家族事情を話す。
それは5年前の事。
陽斗の兄、零路と大河の姉である光利を紹介した。
当時陽斗と両親は驚きが隠せなかった。
しかし光利と零路は真剣に交際してることを両親に言った、そして陽斗の父は言った。
「いい人を見つけたな」
こうして両親に祝福されその数日後に光利のご両親と顔を合わせその時に大河と出会った。
そして翌年に結婚式を挙げて零路と光利は見事にゴールした。
しかし去年思わぬ悲劇が起きた。
当時陽斗は高校の修学旅行へ、大河は中学の林間学校があり家にいないことをいいことに両方の親は温泉旅行へ行にいっていた。
だがその乗ったバスが山道の道路から転落、陽斗と大河の親は帰らぬ人となった。
葬式を上げてその日から兄嫁達と一緒に暮らしがはじまった。
ところが陽斗の兄が突然海外転勤を命じられて嫁も付いて行くことになりそのあとは兄と弟二人だけで暮らしている。
「そうだったのか・・・すまん言いたくないことを聞いて」
「い、いえそれで先生弟の記憶は・・・戻りますか?」
聞き辛いことだが微かな望みを持ち担当医に聞く。
「それは・・・難しいところですね、戻るかもしれませんし二度と戻らないかもしれない」
「そ・・そんな」
担当医に肩を持って願うように揺さぶる。
「先生!俺にできることはありますか!?俺なんでもしますから!!」
「お、落ち着いてください・・・わ、私の話を聞いて下さい」
担当医の声で我に返り揺さぶるのをやめる。
そしてその場に倒れるように座る。
「はぁはぁ・・・いいですかまずは大河君の回復を待ちましょう、まずは回復を最優先です」
「はい、先生・・・取り乱してごめんなさい」
陽斗は納得して今日はおとなしく家に帰るのであった。
@
翌日学校を終えて家に一度戻り弟の部屋に行き弟の着替えを持ち直ぐに病院へ行く。
「大河、今日は着替えを持ってきたぞ」
「あ・・・昨日の人」
「昨日の人・・・そうだな、大河からしたら俺は昨日の人・・・だもんな」
腕を握り真剣な顔で弟を見つめる。
「俺は柏崎陽斗、君の兄貴だ・・・まぁ兄貴っといっても本当の兄弟じゃないけど」
?という顔をする大河。
きっと言っている意味がわからないというのが明白だ。
「兄なのに、兄じゃないって・・・どういう意味?」
首をかしげというかける弟。
その姿はとても可愛く見えた。
「それは・・・今は話せない、今話したらきっと混乱すると思うし」
「う・・・うん」
「だからさ、今は自分のことより体の回復に専念しろ・・・いいな?」
「・・・わかりました、ごめんなさい陽斗さん」
「気にすんなじゃあ今日は帰るな、明日また来るからな」
立ち上がり、「じゃあな」っと言って病室を出る陽斗であった。
@
深夜ふと目が覚めた大河。
眠れずに、ふと室内に設置している蛍光灯をつける。
「はぁ〜・・・眠れない」
本でも読もうかなっと思ったがナースが来たら面倒なのでやめた。
そして色々と考えてふと自分の兄、陽斗の顔が脳裏によぎる。
「陽斗・・・兄さん・・・」
兄の名をつ
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