―討伐クエスト―
達成難度B
ギストゥヴァル自警団より
依頼内容
・ミノタウロス一頭の討伐
南側の街道で最近ミノタウロスによる略奪行為が目立ってきている。
このミノタウロスの捕縛、撃退または殺害を依頼する。
契約金
・銀貨5枚
報奨金
・金貨2枚
「これを受けるぞ、ラン。」
日も落ち夜になり、酒場が活気づく頃、ウェイトレスのワーキャット達が忙しそうにあっちこっち飛び回っている中、
リザードマンの女性、アリムはパートナーにそう言った。
パートナーの男、ワイシャツに袴という奇妙な出で立ちのランと名乗る男性は、
「…お前これ正義感から受けるんじゃないよな?」
「…。」
「ちゃんとお金の為に受けるんだよな?」
「…。」
「人助けしようとかそういうボランティア精神で受けるんじゃないよな?」
「…。」
「なんとか言えよ!」
「ひ、人助けしたっていいではないか!」
「もうすぐ路銀も尽きるというのに人助けなんてしてる場合か!?」
「人助けもできてお金も手に入るし一石二鳥ではないか!」
「なんでそういうとこで無駄な正義感発揮するんだよ!?」
「!?無駄だと!?無駄と言ったのか!?」
「自分のこともままならないのに他人の事考えてる暇なんてないだろ!冷静に考えてみろ!」
「…お前がそんな冷たい奴だなんて思わなかった!」
「…なんだと…。」
「もういい!私一人でこの依頼を受ける!」
「おい!待て!」
仲の良いやりとりをするとアリムはさっさと酒場を後にしてしまった。
取り残されたランは、
「…全く!」
怒り心頭に発した様子で彼女の後を追うように酒場を後にした。
酔っ払いが跋扈する喧噪渦巻く荒くれ共の聖域で、
そんな二人を気に掛けるような者は一人もいなかった。
街の南門から続く街道にて、
一人のリザードマンが体育座りで獲物を待ち構えていた。
そこへ、
「こんなとこにいると風邪引きますよお嬢さん。」
ばさっと後ろから何かを頭にかけられる。
「何しに来た。」
鬱陶しい、と言わんばかりの不機嫌な声、めんどくさそうに掛けられたマントを手で払いのける。
「一人で暴走して勝手に突っ走るから尻ぬぐいをしに来たんだよ。」
その横に少し距離をおいて座る。
「お前なんかに助けられねばならんほど落ちぶれてはいない。」
ふてくされてそっぽを向く。
「そう言うな。今日は野宿なんだから。」
「!?」
「宿なんて取ってねーよ。」
「何故だ?」
「別件の依頼の契約金を払ったら宿代無くなっちまった。」
「別件?」
「これ。」
依頼書とランタンを手渡す。
―護衛クエスト―
達成難度C
商人キャラバン〈ヘルメス〉より
依頼内容
・南街道を通過し、関所までの護衛
南街道を通過するが、最近物騒な噂が絶えないので、腕の立つ者に護衛して欲しい。
護衛は国家共同関所まで、商品や人員に被害が及ぶ場合、報奨金から補償費を天引きさせてもらう。
契約金
・銀貨2枚
報奨金
・金貨1枚
「こんなもの…何故受けたんだ!」
「怒るなよ。もう喧嘩はごめんだ。」
「これを受けなければお前は宿に泊まれただろう!?」
「略奪行為ってのは、こういう金持ちを狙ってやるもんだろう?」
「!」
「この依頼を受ければ、そのミノタウロスも効率的に釣れるってだけさ。」
「…すまんな…私のために。」
「気にするな。」
「…なあ…そっちに行ってもいいか?」
「…。」
すすすっと近寄る。
掛けられたマントを二人で一緒に羽織る。
するとアリムがぎゅっとランに抱きついた。
「…あったかい…。」
「…。」
無言でぎゅっと抱き返す。
「…そのミノタウロスの依頼…少し気になることがある。」
「何だ?」
「お前ら魔物にとって金とはどういう意味を持つか。」
「む。難しい話は嫌いだ。」
意味深長な問いかけに機嫌を損ね、そっぽを向かれる。
困ったように苦笑して、
「そのミノタウロスに金が必要かって話さ。」
「んー。要るんじゃないのか?」
「何故?」
「食べ物とか、宿とか…。」
「そいつは旅をしてるのか?」
「むむ…。」
「この辺を縄張りにしてるなら金の使い道がないだろう?」
草木も野生生物も豊富にいるこの地域では、娯楽品を必要としない種族にとって金などただの金属の塊でしかないのだ。
「たしかに…。」
「なのに金品を略奪するってことは、その金の使い道があるからだ。」
「…。」
「そもそもミノタウロスは食う寝るセックス以外に興味がない種族だ。ま、変わり者がいてもおかしくはないけどな。」
「そうだな。」
「なら商人を襲って金を集めているのは不自然じゃないか?」
「むむむむむ…。」
「あはは…まぁ当人から聞き出せばいいか。」
「聞き出す?襲ってくるかもしれないのにか?」
「動け
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