*はるか昔の記実*終わりの始まり*

これは昔の話だったかもしれない。

我が国の歴史はとても深く変化してきました。
その昔には旧魔物時代という時代もある程です。

その時代では魔物は魔の者らしく振る舞い
弱肉強食による殺戮と略奪を行っていました。

人々は魔物を忌み嫌っていたが
人外の存在に人間が適うはずもなかったのです。

人々はとても不安な日々を過ごしていたが
稀にこの世界の神様 - 主神様 - の加護を受けた者

すなわち神に選ばれた人間が現れ
神聖な力で魔物を退けてくれたそうです。

神に選ばれ加護を受けた人間を - 勇者 - とし
人々は称え、それを後世に語り継ぐ事にしました。

後世に語り継ぐと共に世界には
勇者の資質を持つ人間が増えたのです。

そして、ある勇者と魔族の中の異端者が
その時代の魔王を討ち取ったという話です。

それから世界は、変化を始めました。

魔族の異端者といわれた1人の淫魔が
魔族の王の座に着いたところから変わりました。

殺戮は愛好へ、略奪は援助へ
醜悪な魔物は艶美な魔物娘へと移りました。

それから魔物は人々へ友好な存在となり
人間の中でも魔物を受け入れる動きもあったのです。

ですが、根付いた不安と不審、絶望は消えず
それでも神にすがりつく人間たちがいたのです。

彼らが作りだしたのが神を信仰する組織
魔の者を悪と断定し処断する - 教団 - を。

今の世界の国と人間は2つに分類されます。

魔物に心を許し共存を決意した親魔物派。
魔物を受け入れられず拒絶する反魔物派。

これは、この世界を。

人間が魔物に振り回される世界を
ひっくり返そうと考えた1人の学生の計略です。



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教団国家の一つでもある教都。

この国には少しの信仰者と騎士団があり
そこまで広くはないが豊かな国だと言えます。

その周辺には貧しくも身を寄せ暮らす人間
スラム街を必死に生きる人々も存在しています。

教団はそういった所からであっても
勇者の資質を持った人間を勧誘しに向かいます。

むしろ、そういう屑の掃き溜めの様な場所に
才能を秘めた人間が紛れ込む事があるのです。

特別希少な人材ではあるが現在教都には
その変わり種が10人かそれ以上はいるのです。

そして、今日もここに1人の青年が。



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"はぁ。。。今日も食べ物は無い…か。"

スラムの汚れた路地裏で青年が肩を落とす
病的に白い肌、黒い瞳、黒い髪の毛。

その日も - アデル - は空腹に負けていました。

"くそッ。。これじゃあ本当に死ぬぞ…?
僕は…。僕は。このまま終わるのだろうか…。

だったら、なおさら此処の人達と同じには…。。
同じに…。。なりたく…ない。。」

アデルはこの最低最悪な状況にあっても
決して誰かに迷惑をかける事をしなかったのです。

「せめて、仕事があれば…なぁ…。。"

スラムの世界で出来る事は限られてしまう
スリ、盗み、運び、騙し、脅し、詐欺、暴力

アデルはそれらを全て断っている
ここへは売られてきたといいますのに。

彼が何処の生まれでどういう家族構成か
知る由もなければ、知る機会もないでしょう。

"僕は。また明日。生きられるかな。。"



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がしゃりがしゃりと音が聞こえる。

鉄の擦れ合う音がたくさん聞こえる
おそらく騎士様たちが来たのでしょう。

「あいつか?」

「おそらくな」

「確認する」

「特徴は」

「白い肌」

「黒い髪の毛」

「そして」

「黒い…瞳」

「おそらく…あたりたな」

腹が減った…。もう今日は動けない。
明日、朝一番で水溜まりの水でも口に入れよう。

何か…話し声が聞こえるきがするな。

でも、いいや。。

「よし、運ぶぞ」

「「「はッ!!了解!!!」」」



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今、僕はきっと夢を見ている。

僕は何かの研究施設らしき所で実験されている。

「大司教、上手く出来そうですよ」

「・・・。それはなにより。」

僕を近くで見つめる2人と
その後ろで見学している10人の人影。

「みなさん、彼が■■ですよ」

「皆、拍手を」

僕は何かの実験を施されてしまい
その何かはよくわからずも成功したようだ。

辺りからはパチパチパチと乾いた音が響く。



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"ここね。ようやく入れたわ
なんて厄介な魔術をかけているのかしら"

教都において、あってはならない存在
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