あれから何日が過ぎたのか。もはや定かではない。
1時間や2時間という単位でない事は解る。だが外界から隔絶された地下室で、食事も入浴も就寝すらも無いまま長時間を過ごしているうちに、彼女の時間感覚は完全に狂わされていた。
「おほぉぉっ! 良いっ、それ良ぃぃ!! グチュグチュ掻き回されるの気持ち良いのぉ! セックスばっかりで頭おかしくなるぅぅ! ひぃぃぃぃぃイクイクぅぅ! んああぁぁぁぁっ!」
延々と繰り返される、人造触手との無味乾燥なまぐわい。 僅かなインターバルすら挟まれずダークスライムはガラス造りの張り型に犯され続けていた。
「凄い凄いぃ!! 触手がおまんこ出たり入ったりしてるぅ! 好きっ! これ好きぃぃ! もっとしてぇ、連続ピストンでよがらせてぇ!」
いかに好色な魔物といえども、過剰なまでの交わりに体がついていかないらしい。激しく突き入れられるペニスの奔流に何の抵抗もなく踊らされる様は、さながら糸の切れた操り人形のようだった。美味しそうに張り型をしゃぶりながら白目を剥き、顔いっぱいに歓喜の表情を浮かべている。精神に異常を来たしている事は誰の目にも明らかだった。
「もっといっぱい来てぇ、私のこと思いっきり犯してぇぇ! イクこと以外もう何も考えられない体にして欲しいのぉぉ! 体中たっぷりブチ込まれまれて失神するくらいにぃ!!」
淫語で興奮を高めながら、機械的に少女を犯す触手の群れを嬉々として迎え入れる。そこに下水道でコンラッドと相対した時の余裕や色香は何一つとして残っていない。
「んひぃぃぃぃ、ひひぃぃぃ! イクっ、イクっイクっイクぅぅぅ! イクの楽しいぃぃぃ!!」
絶頂を繰り返しては至高の喜びに喘ぎ狂う肉欲の宴。その光景は、古くから男の欲望に寄り添ってきたサキュバス族でさえも驚愕させるような光景だった。
このまま永遠に続くかと思われた、狂気の祭り。
しかし。
何よりもダークスライム自身が終わってくれるなと強く望んでいた筈のそれは、唐突に終焉を迎える事となった。
「……ん、はぁ……ん?」
絶頂の余韻にびくびくと打ち震えながら、ダークスライムは怪訝な顔で周囲を見回した。
つい先程まで激しくうねり暴れていた筈の触手が、実は最初からそういうオブジェだったのだと言われても納得してしまいそうになる程の鮮やかさで一斉にその動きを止めたのだ。
「……え……あれぇ? ちょっと、動いてよぉ」
体内に挿入されたまま制止した魔法生物に、ダークスライムは不満げな要求を投げ掛ける。全身が弛緩してしまっているせいで自ら動く事もままならないのだ。もっとも自由に動き回る事が出来たところで、先程までのような激しい行為には到底及ばなかっただろうが。
「ねぇ……ねぇってばぁ! やだよぉ、まだまだ全然、満足できてないのにぃ」
「ダンスパーティはそろそろお開きの時間ですよ、お嬢さん」
甘くとろけた少女の耳に、聞き覚えのある男声が飛び込んできた。
それを起点に、魔法生物が再び行動を開始する。とはいえ触手責めの続きを行う積もりはないらしい。ダークスライムの体から無慈悲に張り型を引き抜くと、彼らは苗床であったガラスの壁へするすると回帰していった。
「お楽しみ頂けたようで何よりです」
一気に空間面積を取り戻した室内。寝そべったまま名残惜しそうな顔をするダークスライムのすぐ傍に、相変わらず真っ白いスーツ姿を保ったコンラッドの姿があった。
「……おにい、さん……」
麻痺していた思考が徐々に現実を取り戻していく。
焦点の合わない瞳でぼんやりと見詰められたコンラッドは、笑顔で優雅に一礼してみせた。
「お疲れ様です。貴女のおかげで、研究は無事に終了しました」
「……え……?」
ダークスライムはぽかんと口を開いたまま、その言葉を反芻した。今更ながらこれは彼の研究だったのだと思い出す。もっとも彼女にとって、そんな事は既にどうでも良かったのだが。
しかし次の瞬間、魔術師が告げたのは彼女にとって最も望まぬ言葉だった。
「ご協力ありがとうございました。これで貴女は晴れて自由の身となります。流石に街中で解放する訳にはいきませんので、これより貴女を、魔界まで転送いたします」
「なっ……ちょ、ちょっと待ってよ!」
即ちそれは、あの甘美な責めが二度と味わえないという事だ。
なんとか身を起こし、少女はコンラッドに食ってかかる。だが狙ってそうしているのか、魔術師はダークスライムが手を伸ばしても僅かに届かないような場所に佇んでいた。縋るような視線を容赦なく振り払うかのように、その表情にはいかにも事務的な笑顔が張り付いている。
「……私っ! まだ全っ然! これっぽっちも満足してない!」
「……はい?」
意味が解らないというジェスチャーなのか、コンラッドがかくん
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