友達

「おはようございます、イルティネさん…って、もう行く気満々ですね」
コトラと笑いあった翌日。
私はいつもより早く起きて、ユニッセが来る前には既に出かける準備を終えていた。
と言ってもユニッセが来るのは昼に近くなった辺りなので、早く起きなくても準備は出来るのだけど、勝手に目が覚めてしまったのだ。
「なによ。悪い?」
昨日、コトラと話してから気分が良かった。
「いえ……ただ、嬉しくて」
嬉しいって…なにが?
私は眉をひそめた。
「イ、イルティネさんが…た、た楽しそうで」
ユニッセの目尻からぼろぼろと小さな粒になったスライムが幾つも生まれ、頬を伝って落ちて、床に広がった体の余りに吸収されてゆく。
つまり、突然泣きだした。
「え?えええええええ…?何??」
ユニッセはその場にへたり込んでしまった。何が起きているのか分からない。
少し迷って、ワンピースの裾を軽く縛ってユニッセの前に膝をつき顔を覗きこんだ。膝がユニッセの余りに浸り少し冷たい。
「な、なんで私が楽しそうだと泣くの」
「だ、だっで…ぇぐっ、イルひっく…イルティネ、さん、ひっ、いづもっ」
「私が、いつも?」
私がなんだと言うんだ。
「いつも、ひっ、ざみし、そう、でっ」
「……」
「は、はじめ、ぇぅ…て、へ、部屋、っに、はいった…っとき、…ひっく、まど、からっ…そと、みてて」
ユニッセは泣きやまない。
「それ、で…ぇぐ、それでっ…ひっく、それで……ワ、ワタ、シが、そばに、そばにいてあげようって…ひっ、おもってぇ…」
思い返すと、ユニッセは今まで三日と開けずに私の部屋に来ていた。
今でこそ話はしているが、ユニッセが私の部屋に来始めた頃、私は殆ど無視をしていた。
それでもユニッセは毎日の様に私の部屋へ来ては、旅の魔物から聞いたと言う話を勝手に喋り始めたり、清掃担当場所の皆の使い方が荒くてすぐ汚くなると愚痴を勝手に垂れていたり、何となくクッキーを焼いてみたが自分は固形物を食べられないことを思い出したとかで勝手に置いて行ったり、先輩召使いに怒られたとかで勝手に私の部屋に逃げ込んできたり、勝手ばかりだ。
「でもっ、もう…たのし、ぇぅう、そう、だから……ワタシは、もういなくてもっ、いなくてもいいんだっ…て、おもったら…うぇ…こんどは、ワタシがさみしくなってぇぇぇぇ」
ユニッセが嗚咽する。
また勝手な事を言っている。
「…ユニッセが居ないと、魔法陣が使えないじゃない」
力を入れるとめり込むので注意してユニッセの頭に手を乗せ、優しく言う。
「しょ、しょせん…えぐ、まほう、じん、の…ひっく、ためだけ…のそん、ざい」
何だこの面倒くせぇスライム。
「話を聞いて、答えてくれる誰かが居ないと、出かけても楽しくないのよ」
ユニッセの嗚咽が少し治まる。もうひと押し?
「……友達でしょ」
ユニッセが顔を上げる。私の手があほみたいな泣き顔にめり込んでしまった。
「私とユニッセは、そう言う仲じゃないの?」
顔が一瞬更にくしゃくしゃになり、ユニッセは体を崩しながら私に抱き付いた。
私は頭を残して全てユニッセに包まれてしまった。
「うわああぁぁぁぁああん!!」
「あ、ちょっ、……あー、まったく。…ほら、さっさと泣きやめー」
私はユニッセの体から腕を抜き出し、背中(と思われる場所)を軽く叩き続けた。









「あああぁぁぁぁぁん!」
ユニッセはまだ泣き続けている。
こいつの場合、涙が循環するから『枯れる』事は無いんだろうけど、いい加減長くないか?とうに一時間は過ぎていると思うのだが。
「ああぁぁぁぁぁん!うわあぁぁぁぁぁぁん!」
それにさっきからユニッセがもぞもぞ動いて身体がむずむずする。何かおかしくないか?
「うわああぁぁぁぁぁぁぁん!」
泣き声も怪しい。
「……ユニッセ…もう、泣いてなくない?」
「ぎくっ!う、うわぁぁぁぁぁぁんっ」
「おまえ嘘泣きしてたな!」
「ち、ちがいますよっ、誠心誠意泣いてますよ!」
「今泣いてないじゃない!」
「あ!しまった!」
「『しまった!』じゃないわよ。ほら、さっさと放しなさい」
ユニッセから離れようとするがユニッセは私を放さない。
「嫌です!もっとイルティネさんのぼでぃを堪能するんです!……そりゃ!」
「ひゃんっ!」
突然身体を快感が駆け抜け、力が抜ける。
「んんんっ!…ちょ、ユ、ユニッセなにしてるの!」
服と肌の間に入り込んだスライムが細かく振動し、私の胸を震わせる。
「何って、イルティネさんの感じる所を弄っているんですよっ、と」
ちょっとやめ…あ、先は駄目だって!
「ひゃあんっ」
な、なんでこんなに感じてるの私!
「ふふふ、『なんで?』って顔をしていますね?…実はワタシ、幾度となく寝ているイルティネさんに夜這いを繰り返し、イルティネさんの弱点は全て暴き出し、さらに感度
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