「xljnogh、aqsodfbigfnjkzaopnberio!」
力強い声が響いて行く。
辺りを埋め尽くすのは、太陽の光を受け武骨に輝く鎧。
それを身に纏うのは、鍛え抜かれた歴戦の騎士達。
とか、かっこつけて言ってみたりする。
私は、きらきらの白い鎧とか神聖なものらしい剣とか諸々を装備して騎士団の集会みたいなものに出席していた。
これから私達は魔物の軍と戦うのだ。
と言っても、本格的な出発は明日で、私が行くのはもうちょっと先らしいけど。
今はミルアレスさんが大勢の騎士達の前で何か喋っている。
なんと彼女はこの騎士団の団長なんだとか。
前の団長がやられちゃっての団長らしいけど、私団長に稽古付けて貰ってたんだぁ。
その割には全然身に付かなかったけど…ははは…。
「fhzwpgcbnqjksfji!!」
きっと、騎士団の人達を奮い立たせてると思うんだけど、いかんせん言葉がわからないとなんだかなぁ…。
エヴィさんに『勇者様からもお言葉を頂きたいと思っております』って言われちゃったし…。正直気が重いよ…。
それにしても、シュハさんとか、センメロさんとかもピシっとしてる
いつもにこにこ顔と気だるそうな顔なのに。
グレオさんはいつもと相変わらずと言った感じ。怖い。
皆なんやかんやお屋敷の中で会うことが多いんだけど、リィンさんとはなんとトイレの場所を教えて貰った日から一度も見ていない。
エヴィさんに聞いてみたけど、姿が見えないのが普通らしい。忍者?
「勇者様」
「ふぇ!?」
考え事してたからいきなりエヴィさんに話しかけられてびっくりする。
「是非、勇者様からもなにかお言葉を」
見ると、沢山いる騎士の人達が全員私を見ている。
「あ……」
凄く恥ずかしい。へんな声も出しちゃってたし…。
「pxdwnoij」
「『こちらに来て』と言っています」
ミルアレスさんが自分が立っていた場所(ちょっとした台みたいな所)から私に譲る様に降りてきた。
本当になんか言わないとだめなのかなぁ…。
怖気づく私を見透かしたようにエヴィさんが私の手を取った。
「大丈夫です。勇者様を必要としている彼らに、声を掛けてあげてください。私が伝えます」
ううう…。しょうがない。やるか。
カチャカチャと音を立てながら台の上に登った。
なるべく自身満々な感じを心がけて顔を上げると、その場に居る全員が私を見ていた。
正面から皆をみると、皆どこかしら疲れた様な目をしている。ずっと戦って来ていたんだから疲れもたまってるよね…。
でも、疲れてはいるけれど、強い目だった。ぎらぎらと光って見える。
きっと、勇者の私に期待しているんだ。
そう考えたら、身体の中をぞくぞくっとしたものが駆け抜けた。
全身に鳥肌が立って、なんだろう。悪い気分じゃない。
応えなくちゃ。
なにか、なにか良い言葉は無いかな…。
あ、そうだ。
「わ、私は、勇者としてここに来た」
「皆の事は大体聞いている」
「自らの為に、皆の為にしているのに、周りからは悪く言われ、苦しい時もあったと思う!」
「辛い経験だって!悲しい思いだってしたことだろう!親しい友達とかをなくした人もいると思う!それでも!」
「何かを成す為には犠牲が必要だ!!」
「犠牲を払わない限り、人は前へ進まない!歴史を作ることは出来ない!」
「この腐敗しきった世界を見ろ!!誰かが変えなきゃいかンのだ!」
「君達はそれを成そうとしている!たとえ、それが悪事と呼ばれることでも!!」
「でも!!騎士の皆、君達は独りじゃない!」
「君達には仲間がいる!命を賭して戦ってくれる仲間がいる!」
「私もその仲間の一人だ!!!」
そう言いきって、腰に下げていた剣を抜き、上に掲げた(←カッコ良くない?)。
それと同時にエヴィさんの通訳も終わり、目の前からは、大量の声が飛んでくる。
言葉はわからないけど、非難の感じじゃない。みんなが賛同してくれたんだ!
身体中がしびれる。すごい。
皆の雄叫びがびりびりと私を震わせて、それで、えっと、きもちがいい。
ぞくぞくが止まらず、私は暫くその余韻に浸っていた。
……
「今日はお疲れ様です」
「え?あ、うん。ありがと…」
私は何となくまだ皆の声が耳に残っててふわふわしている。
「まったく素晴らしいお言葉でしたね」
おお、エヴィさんに褒めて貰った。けど…
「いやぁ、あれ、私が考えたんじゃないんだよ」
私は頭をかきながら恥ずかしそうに言った。
「そうなのですか?」
「うん。えっと…―――」
確か…あ、れ?
―すっごく面白いんだ!
えっと
―ここのセリフが凄い良くって
え?
―すごいかっこいいし
あ…確か…
―おーい、きいてる?おねえちy「勇者様!」
「ふぇ!?」
おおう、またびっくりしたよ。
「今日はもうお休み
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