召喚は唐突に行われ私は拒否権を持ち合わせていない



―おきて

―おきて

う、ん?

―おきてください

ぇう…いまなんじ…?

―おきてください

ううぅ…。…今日は日曜なんだから、もう少し寝させてよ…

―おきてください

しつっこいなぁ…。まだ眠いんだって…。

―あなたには『しめい』があります

んん?……名前は、志咲蒼菜だよ…アオナじゃないよ、ソウナだよ…。

―?……『うじ』と『な』をさす『しめい』ではありません。あなたがやらなくてはいけないせきむです

やらないといけない事…?

―そうです

ああ、そっか。洗濯と、それから…―





「………?」
私は目を閉じたままいつも枕元の定位置に置いているケータイに手を伸ばし、探し、ケータイを掴めずに仕方なく目を開けて混乱した。
「あれ……ここ…どこ?」
おっきい部屋の真ん中に、私は居た。
世界史の教科書で見た様な柱が高い天井を支えていて、なんだかどこかの神殿みたい。
視線を下に向けると、固くて白い床には円とか、弧とか、なんかぐちゃぐちゃした物とかが私を取り囲むように青い線で沢山書いてある。なんだろこれ。

「vrgsh!jfiobsdofigj!」
いきなり音がして、音のした方を見た。
「ldpxbigd、akhcmetzlqit?」
音の正体は何処かのお姫様みたいなドレスを着た、長い金髪の女の子の声だった。何を言ってるのか全然わからないけれど。どこの言葉だろ?
「…はい?」
多語尾が上がってるから疑問形で私に何か聞いてきていると思うのだけど、何を言っているのか全然わからない。しょうがないから小首をかしげる。
「!」
どうやら女の子は何かに気付いたらしい。

―申し訳ありません。言葉が通じなかったようで…―

「きゃっ!」
急にとてつもない大きさの声がして吃驚した。あ、でも何を言ってるかわかる。

―貴女の目の前に居る私が、貴女の頭に直接テレパシーで話しかけています。慣れるまで時間がかかるかと思いますが…―

女の子が私ににこやかな笑顔を向けつつ、手振りで自分が『私』と言う事を表している。
何を言ってるかはわかったけど、ちょっと良く意味がわからない。テレパシーってどこのファンタジー?ちょっと怖いんだけど。

―いきなりで混乱されるのは無理もない事だとは思いますが、どうかご理解ください。テレパシー自体は怖い物ではありません―

どうかご理解ください、って言われても…。それに何も喋ってないのに会話になってる気がする。
ああ、これ夢か。たしか明晰夢…だったかな?自分で夢だーってわかって、しかも夢の内容を変えられるって言う。

―夢などではありません。現実です―

現実です、って言われても…。面倒な夢だ。また寝ようかな。目が覚めるかもだし。

―え!?ちょ、ちょっと…―

「おやすみなさい…」
レアな明晰夢だけど、面倒だし明日に備えてもう寝よう…。









「………?」
私は目を閉じたままいつも枕元の定位置に置いているケータイに手を伸ばし、探し、ケータイを掴めずに仕方なく目を開けて混乱した。
「ふぁああぁぁ……ここ…どこ?」
おっきい部屋の真ん中に、私は居た。
世界史の教科書で見た様な柱が高い天井を支えていて、どこかの神殿みたい。
視線を下に向けると、固くて白い床には円とか、弧とか、なんかぐちゃぐちゃした物とかが私を取り囲む青い線で沢山書いてある。なんだろこれ。
……あれ?なんか既視感がひどいんだけど…。

「お目覚めになられましたか?」
やっぱり、さっき見た女の子がいる。
「私の声は先程調整しましたので、違和感無く聞こえていると思いますが如何でしょうか」
まぁ、大音量スピーカーではなくなったし、普通に話しかけている様に聞こえるけど…。
「あと、思考の流出も抑えましたので、貴女の考えが私に漏れることも無くなりました」
無くなりました、って言われても…。はぁ、としか言いようがない。
「はぁ」
取り敢えず言ってみた。
「ご理解頂けたようで何よりです」
いやいやいや、違うよ。理解してないよ。
「そ、そう言う意味じゃ…」
「私はエヴィセルアリャート・エディエラと申します。貴女のお名前をお聞かせ願えませんか?」
無視ですね、はい。
「……えっと、志咲、蒼菜」
取り敢えず、答えておくことにした。
「ソウナ・シザキ様ですね。では、改めまして」
エ、エビセ…なんとかさん(さん、と言うよりちゃん?)がコホン、と一度咳払いをして、片膝をついて…あれ?ひざまづくってもしやこの事を言うんじゃ?

「ようこそ、御出でくださいました。我らが救い主、勇者ソウナ様」

…え?
「いや、あの…いきなり勇者、って言われても…」
誰しもがきっと困惑するだろう。
「私ただの高校生だし帰宅部だし…お父さんもしがないサラリーマンだよ?」
しかし、
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