あれからさらに一週間が経過した。
さすがに本調子とは言えないがいつまでも寝ている訳にはいかない。
それに暇だったし…。
そんな訳で俺は学園長室改め町長室の椅子に座っている。
相変わらず、未処理の書類が山のようにそびえている。
いくつかサクラの字でサインしていたり、サクラの裁可で処理がなされていたが、それでも全然減っていない。
一体どういう仕組みで増えていっているのか、俺がわからない。
いつも通りアヌビス、アスティアと共に溜まった書類を片付けていく。
「申し訳ありません。病床から起き上がったばかりだというのに…。」
「気にするな。形だけとは言え、町の長になってしまったんだから仕方がない。」
アヌビスが申し訳なさそうに顔を暗くする。
あまり沈まれても可哀想になるので、彼女の手を引き寄せ頭を撫でる。
「…サクラばかりに任せてもいられんからな。あいつは戦自体は初めてだから、まだまだ教本の域を出ない布陣。お前にしても、戦は初めて。あまり無理をするな。こういうのは経験者を扱き使え。わかったか、アヌビス。」
「………。」
アヌビスが普段なら良い返事を聞かせてくれるのにそっぽを向いて、口を尖らせる。
何があった…?
「ロウガ、また忘れてるぞ。」
笑いを堪えるようにアスティアは言った。
「何を?」
「フフッ…、アヌビス、だよ。何て呼べば良かったかな?」
「……あ。」
つい、いつもの呼び方で呼んでしまう。
「10年これで呼んでいたからなぁ…。悪い、ネフィー。」
「…はい♪」
やれやれ、いくつになっても女とは面倒な生き物だな。
「フフフ…。私も君のことはネフィーと呼ぼうかな。」
「はい、アスティアさんにもそう呼んでほしいです♪」
「じゃあ、君は私のことをお義姉さんと呼ぶんだよ。」
「え、あ、そのぉ〜…。お…お…お義姉様……。」
「バブッゥ!!!!」
飲んだお茶を噴き出した。
その言い方だと、何か色々とランクアップしてしまったような気がする。
「行儀が悪いぞ。そもそも、ロウガが素直にネフィーと関係を持っていたら、彼女はもっと素直に私のことをお義姉様と呼んでくれたものを…。」
「あ…あの〜。」
困り顔のアヌビ…、いやネフィーが真っ赤になって俺たちを見ている。
「うん、やっぱり君は可愛いな。」
「いやいやいや、そういう問題じゃなくてな。俺はずっとアスティア、お前一筋で来たんだぞ。そうそう他の女を簡単に抱けると思うなよ…。」
「そうかい?私は家族が増えるのは一向に構わないんだけどね。そういえば…、君はまだネフィーを抱いていないんだったね…。よし、今日はフラン軒で飲んだら、そのままルゥの店に行こう。三人で。」
「待て待て待て、とりあえず落ち着け!アスティア、お前最近強引だぞ!?」
「私が二人目を産めないからね。ロウガの子供をたくさん抱きたい、それだけだよ。それなら若くて、私も心を許せて、すごく信用の置けるネフィーだったらロウガの……、二人目の妻でも良いかなって思った訳さ。」
ネフィーは真っ赤になって俯いてしまっている。
確かにいつだったか、二人目が欲しいとアスティアが言ったことがあったが、まだ諦めていなかったのか…。
まぁ、そんな気はしていたし…、アスティアの望む通りにしてやりたい。
だがアスティアを愛しているし、彼女のことを考えるだけで戦闘態勢に入れる俺ではあるが、あそこまでネフィーに言われてしまっては俺もその想いを無下に出来なかった…。
歳を取っても、男とは悲しい生き物だな…、ほんと…。
「あ、あの…。私の初めてって…、そんなアブノーマルで始まるんですか?」
「大丈夫、私がやさしくリードしてあげるよ。」
「うぇ…、そ、その…。お…、お願いします…。」
「………か、可愛いなぁ、もう!」
消え入りそうな声でネフィーが俯いてしまったので、アスティアが彼女を抱きしめて頭を撫でる。
…アスティアってこんなキャラだったっけ?
…いや、こんなヤツだった。
思い出すな…、マイアが生まれた頃…。
確かこんな感じに可愛がっていたなぁ…。
俺もそうだったけど。
コンコン…
「どーぞー。」
ドアを開けて入ってきたのはサクラだった。
「失礼します。」
「どうした、童貞。また誰かに自慰でも見られたか?」
「違いますよ!確かにまだ童貞ですけど、そんなことで来たんじゃないんです!」
真っ赤になって反論するサクラ。
…いい加減、童貞捨てれば良いのに。
せっかくマイアとの時間作ってやってるのに二人ときたら、何をやっているかと思えば、修練に次ぐ修練…。そうじゃない時は眠っている…。ま…、寝てる時はマイアがサクラを抱き枕にして寝ているから、醒めている訳ではなさそうだが…。
孫は…、遠そうだな。
「で、何を慌てているんだ。」
「慌てさせてるのはロウガさんじゃないですか!ロウガさんにお客さんで
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