午後、少し気だるい時間の始まり。
おいしいお昼ご飯を食べて、良い具合になったお腹は眠りを求めている。
こればかりは…、いくら理性で駄目だとわかってても…、本能が逆らえない。
あ…、駄目だ。
今、寝てた。
駄目駄目、ハッカ飴舐めて乗り切らないと!
(コロコロコロコロ)
……うん、だいぶ目が覚めてきた。
えっと…、これは今後の行事予定案ですか。
えっと来月のクラス対抗スポーツ大会の予定表…。
……野球、ですか?
は?
教師も全員参加?
何を考えているんですか、発案者!
本当に誰なんですか…、発案者は……『ロウガ』………。
何て素敵な案なんでしょう。
これは無条件で採用ですね…。
よく考えれば、爽やかな汗をかく少年少女も見れるのですし。
………………………うふ♪
予算の件はこれで問題はないでしょう。
後はロウガさんの印鑑を頂いて…、ああ、こっちの件はこうじゃないの!
後でアスク先生に訂正してもらわないと…。
こっちは……、ちょっと予算が多いですね。
でもなかなか良い案なのでアキ先生と話し合って、少し検討してみましょう。
まだまだ、ハッカ飴舐めて頑張らないと…、あれ?
(すか、すか)
…なくなってしまいました、ね。
買い置きもないようですし、仕方ありません。
しかし、私の精神力を以ってすれば問題なく職務を遂行出来るでしょう。
さあ、次の書類を…。
ふむふむ…。
これは、いけませんねぇ…。
もう少し具体的な内容で出していただ……か……。
すー………、ハッ!?
いけないいけない!
少々、油断をしてしまいましたね。
暖かい日差しと満腹のお腹…、座り仕事の最大の敵ですね。
いけませんね、私もまだまだ……で………ハッ!
わ、私としたことが!
し…、仕事に集中しなけれ……。
しゅー……ちゅー………。
すー……、ハッ!?
まだ…、書類が…、残ってるのに…。
チェックして…、それで……、ロウガさ…んに……、持って…いか……。
すー…。
すー…。
すー…。
「おーい、アヌビス…?」
うにゅ…、ロウガひゃん?
「ハハ、アヌビスの寝顔か…。貴重なものを見れたな。」
はじゅかひいれすよ〜。
「ああ、すまんすまん。この書類を持っていけば良いんだな?」
あい〜、おねがいしましゅ〜。
「それじゃあ、これは頂いていくよ。風邪引くなよ。……クックック、ほら、俺の羽織を腹にかけてやるから。」
ありがほ〜ごじゃいましゅ〜。
あ〜、あったかい〜。
「じゃあな、おやすみ。」
はい〜。
すー……。
すー…。
……。
俺は教頭室の扉を閉め、扉の前に『多忙につき、骨休め』の札を置く。
そして、全速力で学園長室に駆け込み鍵をかける。
もう限界だった。
「アーッハッハッハッハッハッハ!!!あのアヌビスが、あのアヌビスが居眠り!!!しかも完全に糸目でよだ…!!涎まで垂らして!!!アーッハッハッハッハッハッハ、いいもんみたぜ!!!!駄目だ、横っ腹いてぇー!!!」
今度、からかっておこうと俺は心に決めるのであった。
―――――――――
何なんですか、今日は!
ロウガさんに寝顔は見られるし、ポカは次々するし…、こんなの私じゃない。
「あれ〜、アヌビス。もう放課後だよ〜?ダイジョブ?」
「ああ…、ルナ先生ですか…。ちょっと自己嫌悪してただけですよ…。」
職員室にある私の机の上に突っ伏していると、セイレーンのルナ先生が声をかけてきた。今日はもう帰るらしく、化粧がいつもより少し濃い。
「…これから、また合コンですか?好きですね…。」
「アタシだって、素敵な彼氏の一人や二人欲しいもん!これからの女はエネルギッシュにパワフルにいかなきゃダメだよ!アヌビスも一緒に行く?」
「私は…、遠慮しておきます。」
「だよね〜、アヌビスは学園長一筋だもんね〜。不倫願望も良いけど、そろそろ現実見詰めないと、マジでイキ遅れるよ?」
「な、何故それを!?」
何故、私がロウガさんが好きなのを知ってるんですか!?
ま、まさか…、セイレーンの魔力はそういう恋愛感情を見透かすのですか!?
「ねえ…、それ、マジで言ってるの?みんな知ってるよ。もしかして、隠してるつもりだったの?」
「完璧に隠してる、つもりでしたが…。」
「見てわかる行動ばかりだよ〜。わからないのは本人と学園長だけ、じゃないかな〜。商店街のおばちゃんなんかよく話題に上らせてるよ〜。」
「………!!」
不覚です。
私としたことが…、アヌビスとしてあってはならないことです。アヌビスはもっと知的でクールでなければいけないのに…。こんなことでは偉大なアヌビスの先達たちに笑われてしまいます。
『情けないぞ、ネフェルティータ!』(アヌビスの母)
ああ、星空に浮かぶ先達たちが…、檄を飛ばしてくれてる。
『大丈夫、私は二つの愛を持ってきた。』(アヌビス・ぞひー)
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