俺の名前は『諏訪 四郎』。
一応長男で一人っ子なのだが『四郎』とは是如何に?
ごく普通の家庭に生まれて、ごく普通の人生を送って、精々髪の毛が金髪という以外に何の特徴もないごく普通の容姿を持つ、元気だけが取り得の彼女いない歴=年齢という、大学入学を機に“一人暮らし”という名の自由を手に入れたばかりの19歳の男だ。ちなみに例に漏れず童貞で、性欲は愛用のエロ本でチャチャッと手早く処理してしまっているというところまで何ら特徴はない。
まあ、ラノベとかアニメだとよくあるだろ?
実は特殊能力を持っているだの、特殊な武術を身に付けているだの、果てはどこかの英雄の生まれ変わりで世界の運命を握った存在だの、ちょっと想像するだけで頭が痛くなりそうな裏設定。そんなもの、俺にはないよ。
髪だって金髪だけど、これは好きなロックバンドのメンバーの髪型を真似たくて小まめに美容院で染めているだけで、どこをどう探しても俺自身の設定に普通以上のものは見当たらない。
見当たらないんだけどなぁ…。
「若君、如何致した」
爽やかな朝を迎えて、いつもの朝勃ちをトイレで素早く処理して、一人暮らしだからフルチンのままでも良いや♪ってトイレのドアを開けたら、俺の目の前ですごくセクシーな格好をした忍者が、何故か俺に傅いているんだよ。
しかも俺のことを若君とか呼んでさ。
「………えっと、俺のこと?」
「左様でゴザル」
「何で、俺が若君?」
「若君は若君でゴザル。某(それがし)は命を賭けて若君に御仕えする使命を受けて、不躾でゴザったがこうして押し掛けた次第。某がお側に御仕えする以上、あらゆる危険や困難から若君を御守りする所存にゴザル」
……………さっぱり、わからない。
俺、“落第忍者乱太郎”の愛読者だから言えるんだけどさ……忍者、いやこの場合は“くのいち”だよね。そもそも忍者がこんな肌色一杯の目立つ格好で良い訳なのか?こんなの敵、がいればという仮定だけど、敵に見付かったら即捕まって、エロゲーとかアダルトビデオとかにありがちな拷問とか尋問と証した安っぽいシチュエーションプレイが絶対待っているよね?
まさかコスプレ趣味のちょっとアレな人?
「若君、それは誤解でゴザル。某は“くのいち”ではゴザらん。某は魔界忍者“クノイチ”でゴザル故、闇に生き闇に死する人外の者でゴザル。この装束も我ら淫香流忍術の正装でゴザれば、このように肌の露出の多きデザインになるのも仕方なきこと」
「さりげなく俺の心を読まないで欲しいな。むしろ俺が聞きたいのはそういうことじゃなくっていうか不法侵入だろいやいやそれよりも、ちょっとドア閉めさせてくれ!!いい加減手で隠し続けるのはそろそろ限界なんだ!!!」
片手で股間を隠しつつ、俺はトイレのドアを再び閉じようとした。
だって傅いている彼女の凶悪な谷間が否応なしに目に入って、スッキリ処理したはずのチンコがウズウズと疼き出して、もう一度隆々と超元気にバキバキにそびえ立ちたいと欲望が叫び続けている。
まったく、こんな狂暴なオッパイは童貞には目の毒だ。
早くドアを閉めて、もう一度スッキリしておかないと正直ヤバい。
ガシッ
「そんな勿体無きお言葉。若君の御宝刀を拝見出来て、某は至極幸福の極みでゴザル。ささ、どうぞ遠慮なさらず、若君の逞しい御宝刀を今一度某の前に突き出し、某の不法侵入に対する御仕置きを是非ッ!」(ハァーッ、ハァーッ、ハーッ)
「く、来るな、や、やめろぉぉぉぉぉぉーーーーッ!!!」
物凄い力でトイレのドアを掴んで閉めさせまいとする自称クノイチ。
目は俺の隠された股間を凝視し、一体どんな鍛え方をすればそうなるのかわからないが、俺がいくら引っ張っても彼女が掴んでいるドアはピクリとも動かない。ちょっと前までやってた引越し屋のバイトでそこそこ筋力は付いたと思っていたのに、俺の自信をあっさりと打ち砕く不法侵入者の尋常じゃない腕力に俺は戦慄を覚えていた。
このままでは………奪われるッ…!
「まあまあ若君、まずは御近付きの印に若君厳選のエッチな本を某が耳元でウェイスパー気味に朗読しながら、淫香流忍術一門切っての腕前と言われている手コキにて骨抜きにして差し上げませう。御安心めされよ、文字通り某の手に掛かればもう他の女には見向きも出来なくなります故♪」(フヒーッ、フヒーッ)
「指をワキワキさせんな馬鹿ぁぁぁぁーッ!!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
………という出来事が起こったのが1週間前。
今はすっかり落ち着いたもので、あのクノイチ“焔”さんも最初の2日間以降はあまり俺にちょっかいを出すことはなく、あの性的な意味で獲物を狙う肉食獣のような執拗な挑発も今は鳴りを潜めている。
よくある話だけど、どうやら俺の一族っていうのは代々彼女たち
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