あ、お久し振りですニャ。
ウチ、オトモアイルーでネコマタのガチャですニャ。
今日もウチの相棒……、ううん、旦那さんの狼牙さんと一緒に水没林で狩りに来ていますニャ。
先日、アオアシラというかヒグマというか、とにかく初めてのおっきなターゲットを倒すことが出来て、自信を付けたり取り戻したりしたウチらコンビは、今日は水没林で、おっきな猪ことドスファンゴを狩りに……。
「おい、ガチャ。お前も剥ぎ取れ。今日は生肉でも構わんぞ。こいつの素材はポッケ村にいた時からゲップが出る程持っていたけどよ、たいして使う気にならなかったから、むしを生肉を剥ぎ取れ。姉さんから宅急便で届いた味噌で鍋にするぞ。」
…………狩りに来たんだけどニャー。
あ、今返り血でせっかくのユクモ装備を真っ赤に染め上げて、スプラッターでグロテスクな見た目のこのハンターさんが、狼牙っていうウチの旦那さんですニャ。
旦那さんってば、水没林に到着するなり、支給品も取らずにキャンプを飛び出しちゃって…。
もうちょっと初めて来た狩猟場なんだから、観光がてらに採掘ポイントを探してピッケルでカンカンしたり、素敵な風景眺めながらお弁当食べたり……ウ、ウチは旦那さんのお膝でお昼寝して、ウニャウニャしたり…♪
でも旦那さんってば、すっかりバーサーカーモードを発動しちゃって…。
「旦那さん、相変わらず仕事が早いニャー。」
「おう、これでも元G級ハンターだからな。」
……絶対、ウチの皮肉も通じてないニャ。
でも、旦那さんって元G級とか言ってるけど、よくピッケルは忘れるし、回復薬や食料を忘れたりするし、そもそも装備にまったく気を使わないから、モンスターにやられてキャンプ送りになることも多いニャ。
「旦那さん、装備作らニャいの?」
今だって、未強化のユクモ装備。
裸よりマシって程度の鼻紙装備だニャ。
「……いつかは作るさ。でも、デザインがなぁ。」
旦那さんの言う欲しいデザインって、どれもこれも派手なのニャ〜。
「ユクモも悪くはない…。だが、ラージャンのような傾いた着物を一度でも着てしまうと、普通のデザインでは物足りなくてなぁ…!あの金色の輝きが恋しい…。素材集めるのは、死ぬ程苦労したけどさ。」
ラージャンって……幻獣キリンを捕食するってあのラージャン…?
旦那さんはお姉さん以外の誰とも組まなかったって聞いてるし、お姉さんがいない時は一人で狩りをしていたということは………、やっぱり実力はあるみたいニャけど、普段の行動を見ていると、ウチ、あんまり信用出来ないニャ。
「ああ、そうだ。」
「ニャン?」
「言い忘れてたが、新しいオトモを雇うことにした。」
「ニャー!?」
突然何を言い出すニャ、このトーヘンボクは!
何!?
ウチの居場所に乱入ニャ!?
ここはいつからス(わん♪)Uの対戦台なったニャ!?
「何でもオトモレベルが、お前と違って高いらしい。色々教えてもらえ。」
「………了解ニャ。」
教えてもらえ?
ふっふっふ、旦那さん、それは大きな間違いニャ。
フルフルとギギネブラくらいの大きな間違いだニャ。
教えてもらうんじゃニャいよ。
どこの猫の骨だか知らニャいけど、ここが『ウチの縄張り』だって教え込んでやるニャー!!
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「あ……あの…初めまして…ミャ。」
狼牙とガチャがユクモ村に帰参すると、自宅の前で村長と一人のネコマタが待っていた。
このネコマタは村長の知り合いの娘らしく、まるで初めて狼牙と顔を合わせたガチャを彷彿とさせるように、オドオドとした様子で、俯きながらチラチラと上目遣いに狼牙を見詰めていた。
人見知りが激しいらしく、頬を真っ赤に染めている。
年の頃は、人間で言えば14歳くらいであろうか。
「村長、あんた、わかってて紹介しに来てるだろ?」
「おほほ、手を出しちゃ駄目ですよ♪」
ガチャに続き、またしても幼い少女がオトモとして雇われた。
本来、狼牙の性格上はガチャですら、オトモを雇いたくはないところではあるが、自分で作った莫大な借金の利子をなしにしてくれることを条件に、彼は村長であるこの稲荷に逆らうことが出来ないのである。
(感じるニャ。この女は旦那さんをウチから奪おうとする雌猫ニャ。)
狼牙の足下に隠れるようにして見ていたガチャは、ハンターに人気の月刊誌『月刊・狩りに生きる』の奥様向けのコーナーを読んで身に付けた余計な知識と、本人も意味はよくわかっていない表現で、新しくやってきたネコマタのことを睨んでいた。
その様子は、さながら新しく生まれてきた弟(もしくは妹)に母親を取られて嫉妬する子供のようである。
「クソ、また借金で俺の人生は縛られるのか…!」
「あら、良いじゃないですか。このままオトモを雇い続けていれば、いずれはあなた好みのハーレ
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