学園都市セラエノ中心部、セラエノ学園に程近い閑静な住宅街。
ジパングからやってきた職人が凝りに凝って作り上げた木造建築、俗に言う六畳二間の安アパートの一室に、この物語の主人公は血の繋がらない姉と呼ぶ人と仲良く暮らしている。
「む〜〜〜〜〜、うまうま…。」
「ガーベラ…、前々から思っていたけど君って器用だよね?」
ピンクのパジャマ姿で朝食を食べているのは12歳のリザードマン、ガーベラ。
そしてテーブルの対面で彼女のトーストにマーガリンを塗りながら、呆れつつ感心しているのは、彼女の保護者で義理の姉、アルフォンスである。
アルフォンスが器用だと言うのは、半分夢の中にいながらガーベラは目玉焼きを白身と黄身に分けて、塩と胡椒を適量ずつかけながら食べているということ。
その動きは起きているのではないかと思われるのだが、彼女は間違いなく寝ている。
うつらうつらと首が船を漕ぎ、完全に閉じた瞼、時々動きが止まったかと思うと、
「す〜〜。」
という安らかな寝息が聞こえてくる。
そんなガーベラをアルフォンスは困った笑いを浮かべながら眺めていた。
しかし、困ったと笑ってばかりもいられない。
アルフォンスはもう少ししたら自警団の仕事に出なければならないし、ガーベラも学校があるからこのままという訳にはいかないのである。
ちなみにガーベラの方は、あまり時間の余裕がない。
「ほら、ガーベラ。早く起きないと遅刻してしまうよ。」
「あ〜い〜……、くー。」
アルフォンスの言葉に、ガーベラは眠ったままで、もそもそと食事を続ける。
「先に顔を洗っておいで。冷たい水で顔を洗えば目が覚めるよ。」
「ん〜〜〜〜〜。」
わかったのか、わかっていないのか、よくわからない返事をして、ナマケモノのようにゆっくりとした動作で、ガーベラは洗面所に顔を洗いに席を立った。
「………うわぁ!?つ、冷たっ!!え、何で私洗面所にいるの!?」
冷たい水でやっと目を覚ました彼女は、身に覚えのない状況に素っ頓狂な声を出して、驚き狼狽していた。
そんないつもと変わらないやり取りに幸せを感じながら、アルフォンスは冷めてしまったトーストを温め直し、ガーベラの驚く声に耳を傾けていた。
こうして、ガーベラの一日が始まるのであった。
ちなみに、
「セ、セトォーーー!!何で起こしてくれなかったのよー!!遅刻、完全に遅刻じゃないのぉー!!!」
「お嬢様、着替えはこちらです!それはお嬢様のネグリジェです!!!」
彼女たちの家の隣は、アヌビスことネフェルティータの家だったりする。
――――――――――――――――――
(画面の前のお友達も一緒に歌ってみよう)
『たゆん、たゆん♪』(ガーベラ、愛のテーマ)
たわわに実る二つの
果実が揺れるナイスバディ
憧れのあの人に抱き付いたとこで目が覚めた
劇場のヒロインとか
おとぎ話のお姫様
綺麗な心とかやさしさが売りだけど
心は目に見えないし
何故かみんな巨乳でナイスバディ
所詮第一印象がすべてだってことですね…
「でかけりゃ良いってものでもないんだよ」
ってマイア先輩、力説するけど
私先輩みたいなまな板、嫌なの♪
たゆん、たゆん♪
たゆん、たゆん♪
夢を乗せて揺らそう
目指せ『馬鹿ね、当ててるのよ』
ぷるん、ぷるん♪
ぷるん、ぷるん♪
育ち盛りのエブリデイ
あの人、大きいのが好きかしら?
君を誘惑しちゃうから
「おはよー♪」
セラエノ学園初等科2組、それが私のクラス。
人間の子供や色んな種類の子供の魔物がごちゃ混ぜにいるクラス。
何だか学園長の気分次第でコロコロとクラス替えされちゃうけど、それはそれで楽しいです。
あ、そうだ。
私はガーベラ。
お芝居大好き。
鶏肉大好き。
お姉ちゃん大好き。
天使様大好き。
それで剣士さん…、その…、ド、ドライグさんは…、も〜っと好きな12歳。
「おはよー!あ、それ新しいリボン♪」
「うん、お姉ちゃんが買ってくれたんだよ。」
この子は私の友達で、ホルスタウロスのアモン。
アモンのお姉さんは、学園のアスク先生。
私と同い年のはずなのに確実に自己主張している…、胸。
自分の成長しているはずの胸を押さえてみて、あまりのボリュームのなさに悲しくなる。
………ちょっとだけ、朝からアモンに嫉妬の炎がメラメラと。
「あれ?どうしたの、ガーベラ?」
「え、あ、ううん!何でもないよ。うん、ほんとに。」
アモンの頭の上に『?』マークが浮かんでいるのが見えるけど、うまく誤魔化せたみたい。
アモンは勉強の成績は良いんだけど、疑うことを知らないから、こういう時は助かるよ。
それにしても……、胸かぁ…。
アモンって体育の時間に走ってたら、ぶるんぶるんって上下左右に圧倒的な破壊力を撒き散らして、クラスの男子を前屈みに
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