二大悪魔!ネビロスとサルガタナス!!

俺は焦っていた。

この俺、笹凪良平(ささなぎ りょうへい)は現在非常に危機的状況下に置かれているのだ。
…そう、金欠という名の危機に!!
いつまでも結果を出せない俺に、ついに本家からの最後通告が来てしまったのだ!!

『あと3日。それまでにそれ相応の実績を上げなければ援助は打ち切りとする。尚、打ち切られた後には貴方を本家に連れ戻します!ていうか、早く帰っておいでよ弟く〜ん!!』

という手紙が…ポストに入っていたんだぁぁぁぁ!!!!



魔術師家系の嫡男でありながら、一般的な魔術の才に恵まれなかった俺は、幼い頃より召喚術に傾倒した鍛錬を続けてきた。もっとも、鍛錬と言っても召喚士にはその才さえあれば鍛錬すべきところは基本理念のみである。よって、基本理念確立後はもっぱら召喚の実践となった。

最初は黒猫くらいの使い魔しか呼べなかった俺も、年月を重ねる毎に徐々に腕を上げていき、今となっては下級の悪魔を呼び出せるまでには成長した。これは日々の努力が実を結んだと考えて良いだろう。
だから俺は油断していたのだ。いや、緩みきっていたのだ。俺は。

ある日、いつものように悪魔研究を行っていた俺の元に同業者兼友人の日野本浩平が訪ねてきた。
いつものように扉を開け放った俺に衝撃が走った。だってそこには、青肌の角とか尻尾とか生えたいかにも強そうな女の悪魔が一緒に居たからだ。
しかも、話を聞いてみるとかの有名な『地の王アマイモン』だというではないか!

俺は落胆したぜ。ああ、落胆したとも。軽い挫折に近いな、あれは。

だって、浩平は俺よりも遥かに魔術の腕があったものの、召喚術に関しては俺の足元にも及ばない奴だったからだ。
召喚術に関しては上を行っていると自負していた俺の心は粉々に打ち砕かれた。…それに彼奴ら、事あるごとにイチャイチャしやがって。童貞の身にもなれってんだい!!

…話がそれたが、とにかく、俺は今夜!アマイモンを超える悪魔を呼び出さなくてはならない!!

理由は簡単だ。“あいつに負けるのがなんとなくムカつくから”。

そう、それだけでいい。理由などは最早必要ないのだ。…ついでに本家への報告素材とかにしちゃったりね。うん、おまけだよ。おまけ、おまけ。

俺は書物の散乱した部屋の中央、魔法陣の描かれた場所の前まで歩いて止まる。
そして大きく両腕を広げて天を仰ぎ見る!…いや、まあ天井なんだけどね。

大きく息を吸う。すると、古びた魔導書から漂う黴臭い匂いを一気に吸い込んでしまいちょっと咽せる。

「げっほ!げほぉ!!おえぇぇぇ!!!!…はぁ、はぁ、はぁ!よし!もう大丈夫。そいじゃあ、ちゃっちゃと召喚しちまうか!!」

再び、大きく息を吸うー

「げほ、げほっ!!ゴハッ!!…いや、もう深呼吸はやめよう。命に関わる気がする。」

なんというか…俺の部屋って存外、汚かったのだな。


気を取り直して俺は両手を天に掲げて詠唱を開始した。

魔方陣は俺が研究の中で編み出した独自の改良を施したものを描いた。魔力も十分に蓄えてきた。触媒には、海外のマジックショップから取り寄せた超高級、一級品を使用。この大判振る舞いに、平時の俺なら卒倒していただろう。しかし、俺は今ちゃんと立っている!!当然だ、これから呼び出すのは、かの名高き6精霊のうちのどれかなんだからな!!金をケチったりなんかしたら、それこそ八つ裂きにされちまいそうだぜ!

ちなみに詠唱も俺独自の改良を加えておいた。
さあ!詠唱が終わり、俺は魔力を一気に魔法陣に注ぎ込む。

「ふはははは!!10年間、ペンダントの中に溜めに溜めた膨大な魔力。その全てを魔法陣へと注ぐ!!」

確かにこれは勿体無い。もう数年したらより召喚を確実なものとできただろうに。

だが、後悔はしていない。だって、俺にはあいつを超えるという大事な目標があるのだから!

「おや?魔法陣が光り出したぞ。…この魔力、質、量共に凄まじい!!」

魔法陣の輝きは次第に強まっていく。

眩い黄金の輝きに俺は思わず目を閉じたくなる。
しかし、俺はそれを無理やりこじ開ける。

「そうだよ…こんな貴重な体験、滅多に出来るもんじゃないしな。見ないのは損ってもんだぜ!!」

やがて、光は中央に凝縮されていく…。

球体となった光は未だ光の強さを上げている。そこには確かに何かの存在が確認できた。
いや、確認せざるを得なかった。と言うべきか。
それほどまでに凄まじい量と質の魔力が魔法陣の中から感じ取れたのだ。

「おお…!!おおっ!?おおぉぉぉ!!!?」

ぼふん。

アレ?なんかえらくコミカルな爆発音。なんか規模も小さいし。

でも、煙の量だけはやけに多い。なんだか、拍子抜けな登場の仕方だ。…もっとこう、ピカーン!みたいな感じで出てきて、『問おう、貴方が私
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