「どうしてこんなことに…」
橙色の照明に照らされたほの暗いホテルの一室。高級感溢れる広いベッドの端っこに座り、緊張のあまりぷるぷると子犬のように震えていた。
明りのついたバスルームの向こうから聞こえてくるシャワー音に全意識が集中する。
あのすりガラスのドアの向こう側で、メグが生まれたままの姿で身を清めている。そう考えるだけでも、いっそう緊張が増してきた。
ぐちゃぐちゃにかき混ぜられたセメントのような頭の中を整理し、冷静に現状の把握を試みる。
とにかく彼女は『言うことを何でも聞く』権利を使い、何らかの『意図』をもって半ば強引に俺とホテルに入った。
その意図とは、まず一つ目『ホテルの中身を見学してみたかったという単純な好奇心』。
天然気味な彼女ならそのような奇天烈な思考回路ありえなくもない気もする。しかし、わざわざこのタイミングで、しかも男女で入ろうとする理由が分からない。そもそも俺に無理矢理襲われるというリスクを犯してまでそんなことをするメリットが無い。
二つ目『美人局』。
考えたくないが、理由としては割りとしっくり来る。
とはいえ、売れっ子の彼女がわざわざ自分より所得の低そうな俺を狙って金を巻き上げようとする発想に違和感を憶える。
三つ目『ドッキリ企画』。
これも考えたくないが、ホテルに何も知らない男を連れ込んでその気にさせたところでネタばらし。というのはイタズラにしては度が過ぎているし、むしろ彼女自身の評判を貶しかねない悪手だ。
となると、やはり…。
「メグは、俺と…え、エッチ…なことを…」
たしかに、ここに至るまで一緒にデートをしてそれなりに意気投合して、彼女を窮地から助けたりして。好感度はある程度稼いだのかもしれない。
だが今日初めて会ったばかりの人間といきなりセックスしようとするのは、あまりに突拍子のない話だ。
やはり何か裏があるのではなかろうか。そうやって考えを巡らせていると。
「おまたせ〜」
陽気な声とともにメグがバスルームから戻ってくる。その格好を見て俺は瞠目した。
「じゃーん!どう?」
彼女が着ていたのは白いYシャツ一枚。それ以外の衣類は一切見当たらず、牛柄の毛皮に覆われた生足が太腿まで露呈している。
「そ、その格好って、このあいだの写真集の…!」
「当たり!ホテルのサービスで借りたコスプレ衣装を着てみたの」
メグとのお忍びデートが実現したきっかけである最新作の写真集『渚のホトハル』。その表題通り海辺での水着姿がメインなのだが、中にはベッドの上に裸にYシャツ1枚というあられもない姿のセクシーショットがあるのだ。
「どうかな、そそる?」
濡れた艶やかな髪をいじくりながら問う彼女に、俺は頭をブンブンと縦に振った。
今日のメグが着ていたゆとりのあるブラウスは『大きい胸を極力目立たせないコーデ』ということを思い知る。
男物のYシャツに彼女の爆乳を無理矢理収めてるせいか、胸元がはちきれんばかりに張り詰めている。また前立てのボタンとボタンの間隔がたわんでいて、その隙間から肌色がちらりと覗いた。
写真集ではおそらくヌーブラか何かをつけて目立たなくしていたのだろうが、女性の象徴たる膨らみの先がうっすら浮かび上がっており、生まれたままの姿を覆い隠しているのはこの頼りないぐらいに薄く白い布のみであるということを物語っていた。
あのメグの裸Yシャツ姿を見てムラムラとしたことを想起する。
俺を悶々とさせたものが今こうして目の前にある。
もしかしたら自分は今、長い夢の中にいるのかもしれない。
「ふふ、じゃあ早速」
そう言うとメグはしゃがみながら、不慣れな手つきでズボンのベルトをカチャカチャと音を立てて外しはじめる。
俺の内股にうずくまる彼女を見たとき、これから情事が始まるという夢想じみた現実を頭が受け入れていく。
もうどうにでもなってしまえ。
突拍子のない彼女の行動も、その行動に至った意図も。具体的な理由を追求するのはとにかく今は後回しだ。
据え膳食わぬは男の恥。
それにきわどい格好をしてまで迫っているのに拒むのは、かえって女性に大恥をかかせることになってしまうだろう。
そうこうしているうちにベルトが外され、あれよあれよという間に俺は下半身を露出させられてしまう。
半勃ちの俺の息子がボロンと露呈し、彼女の目の前に晒し上げられる。
あのメグが俺の恥部をまじまじと見つめている。顔から火が吹き出してしまいそうだ。
「これが…ハッスンくんのおちんちん…」
「あまり、じろじろ見られると、恥ずかしいよ…」
俺は堪らなくなって恥ずかしさを吐露するが、当のメグは目の前の陰茎に夢中になっていてまるで意に介さない。
そうして、愛でるように両手を竿にち
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