戦ううしさん

緑の丘の上にちょこんと立つ、チョコレート色の小さな小屋。私とご主人様の物語は、ここから始まります。

牧畜を営むご主人様の朝は早く、西の山からお日様の光で目を覚まします。
もちろん、妻である私はそれより少しばかり早く起きて朝ごはんの準備。
ご主人様が一日を豊かに過ごせるよう、まだ暗いうちから昨日買ったパンを焼き、昨日収穫した畑のお野菜で簡単な料理を作り、
そして、昨日たっぷり絞って頂いた新鮮な私のミルク…
hearts;
…こほん。ミルクをコップになみなみと注ぎ、朝ごはんの準備が出来ると、そろそろご主人様の起床時間。

台所から寝室に向かい、ご主人様をお迎えします。
寝顔を見ていたいのに、規則正しいご主人様はもう起きていてちょっぴり残念。

「ミウ、おはよう」
「はい、おはようございますご主人様
hearts;」

ご主人様は寝台から身を起こすと、そのまま私のおっぱいに顔を埋めました。
もちろん私も抱き返し、少し痛くなるくらいに締め付けます。
…あんまりやり過ぎるとご主人様が窒息してしまうので、十分堪能したら離してあげるのですが。

さて、朝食を食べたら朝のお仕事の時間です。
ご主人様は畑を回り、私は家畜の牛さんや羊さんのお世話。
お仕事はこの二つくらいしかないのですが、これらが終わるともう日は高く登っています。
皆さんのご飯を提供する農家のお仕事は、簡単なようで色々と大変なのです。

柔らかな日差しの下、ご主人様と一緒にお外でお昼を食べた後。
倉庫の小麦と、いくつかの雑貨を切らしていたことを思い出し、私は町へ出かけることにしました。

「ご主人様、買い物に行ってきます」
「ああ、いってらっしゃい」

よそいきのお洋服に着替え、身だしなみを整えて出発。
お気に入りの編み籠を片手に街道を十五分ほど歩けば、足元の景色は赤土から石畳に変わります。
おうちからほど近いドナウの町。決して大きな町ではないけれど、生活に必要なものは一通り揃うのどかな町です。

賑やかな表通りを歩き、小麦屋さんへ向かいます。
ご主人様が小さなころから面倒を見ていただいている、リッカおばさまのパン屋さん。
大きな看板が目立つそのお店のドアを開けると、カウンターにいた男の子がこちらへ顔を向けました。

「こんにちは、ラル君」
「あ……ミウ姉ちゃん」

ラル君はリッカおばさまのお孫さん。
おばさまももう高齢で、最近は息子やラル君にお店を任せてどこかへ出掛けることも多くなりました。
代替わりの時期を迎えているのでしょう。私はなんとなく寂しさと新鮮さを感じながら、カウンターに向かいます。

「小麦、お願いできますか?」
「あ、うん……」

言いながら、ラル君はどこかたどたどしい手つきで注文票にペンを走らせます。
ちらり、ちらりと、私のおっぱいに視線を向けながら。

年頃の男の子らしい可愛い視線に、なんだか背筋がむず痒くなります。
でも、あくまで視線には気づかないふり。それが大人の優しさなのです。

「で、出来たよ。明後日には配達するから」
「はぁい、ありがとうございます、ラル君
hearts;」

ちょっぴり甘えたようなエッチな声で、ラル君に意地悪をしちゃいます。
案の定ラル君はふいとそっぽを向いて、真っ赤なほっぺたをよく見せてくれました。
わざとらしく足を組んでいるところを見ると、もしかして勃起しちゃったのかもしれません。

……もっと悪戯したくなっちゃう気持ちもありますが、ぐっと抑えてお別れです。
ラル君にも、近いうちにきっと素敵なパートナーが出来るでしょうから。
大切なご主人様がいる私がラル君食べちゃうのは、マナー違反というものです。

「それじゃあ、さようなら」
「あ……うん、また」

名残惜しげに言うラル君。
なんというか、私たち魔物娘からすると「襲ってください」と言わんばかりの子です。
目の毒、目の毒。幼馴染のハーピーちゃんとでも早くくっついてほしいものです。

さて、帰りに広場のあたりを通ると、地主さんのもとへ商人さんたちが行列を作っていました。
何事かと思いましたが、すぐに思い当ります。そういえば今日は三つ目の土曜日。
毎月三つ目の日曜日に行われる小さなお祭り、その出店を出す許可を貰っているのでしょう。

ふと振り返ると、町の中心に建てられた大きなコロッセオが目に入ります。
明日、あそこで行われる健闘祭。魔物と戦う勇ましい人間の姿を見るために、この町にはたくさんの人が訪れるのです。

まあ、とある事情から今ではその催しを見られるのは、
魔物娘か、魔物娘と人間のカップルしかいないわけなんですが。

コロッセオを眺めるうちに、ぞくり、と背中に悪寒が走ります。
性感帯をなめくじが這うような、じわじわとした快感。
先月の出来事を思い出し、私の秘所は僅かに水気を
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