むにむに

 触手付き不定形混沌メイド魔物娘……ショゴス。

 属性てんこもり萌えっ萌えの彼女は、常に穏やか微笑を浮かべて、献身的に僕に尽くしてくれる。

 健やかなる時も、病める時も。喜びの時も、悲しみの時も。

 僕がタンスに脚の小指をぶつけて悶絶してる時も、ベッド下に隠していた秘蔵のメイドさん本が見つかった時も。

 どんな時でも僕を敬い、僕を慰め、僕を助け……真心を尽くしてくれる、最愛の女性である。 

 そんな素敵でワンダフルで、いつもニコニコなメイドさんなものだから。

 僕は内からムラムラと沸いてくる欲望を抑えきれなくなり。


「ね、こっちに来てもらって良い?」

「ハイ、ご主人サマ。いかがしましたカ?」


 ちょいちょいと、彼女を自室のベッドに手招きして。


「失礼……えいっ」


 心の衝動に任せるまま、メイドさんの柔らかなソレに手を伸ばした。


「……ご主人サマ?」


 両手の指先に伝わっていく、温かで弾力のある感触。
 
 想像した通り、実に素晴らしい、幸せなむにむに感。

 そう、メイドさんのほっぺ。


「ご主人サマ、ナニをされているんですカ?」

「いや、どうしても君のほっぺを触りたくて」


 だって、彼女はいつもニコニコしているのだもの。

 張り付いたような不自然なものでなく、本当に心の底から穏やかで、嬉しそうで、そんな感じ。

 いつも僕の隣で、行儀良くニコニコニコニコ。

 だから僕は、メイドさんが怒ったところなんて見たことがなくて。

 かと言って、彼女を無理に怒らせようなんてことは思わない。怒ったらそれはそれで可愛いだろうけど。

 だけどちょっと、彼女の表情に変化が加わるのも目にしてみたいとは思うわけで。

 なので僕は、こうやって物理的手段に頼ったわけである。


「……ダメぇ?」

「いえ。ご主人サマのなさることでしたら、ワタシはどんなコトでも喜んで受け入れマス」

「わぁい」


 変わらず微笑む彼女から許可も得たので、遠慮なく僕は彼女のほっぺを弄くりまわず。


「たてー」


 まず、縦にメイドさんのほっぺを引っぱり上げてみて、スマイルばっちり。


「よこー」


 今度は横にビローンと長く広げてみたりして、妙ちきりんなお顔に。


「よせてー、あげてー、みせつけろー」


 流石はショゴスな彼女。ほっぺはどこまでも面白いように伸びていく。

 これは癖になりそうだなと、僕は夢中で彼女のほっぺをむにむにむにむに。

 普段は絶対に見られないであろう表情を、次々に作っていく。


「きーどーあーいーらーぶーゆー」


 そして一通りのお顔拝見をしたところで、僕がぱっと手を離すと。

 ポヨン、と弾むようにメイドさんのほっぺは元通り。そこには見慣れた彼女の微笑が。


「アハハ、すごいすごい!」

「………………」


 思わず拍手をしながら、僕の目の前で微笑む彼女を笑っていると。


「アハハハハ……ハハ……?」

「………………………………」


 ……彼女、ニコニコしているのだけれど。

 何か不穏な雰囲気が、そのニコニコから立ち上っている気が。


「えっと……あの、メイドさん?」

「ハイ?」

「怒ってらっしゃいます?」

「いえ、ワタシは怒ってなんていませんヨ?」


 サラリと笑顔で答えてくれるメイドさん。

 だけどその笑顔の裏から、僕は強烈なプレッシャーを感じてしまい。


「………………………………………………………………」

「………………………………………………………………」


 少しの間、二人で沈黙。その後。


「あ、僕ちょっと用事を思い出して……」

「ご主人サマ?」

「……はい」

「ワタシもご主人サマのほっぺを触ってよろしいですカ?」

「え……えっ?」


 ちゃんとした答えを返す間もなく、メイドさんの足元から伸びる複数の触手が僕の手足を拘束して。


「それでは……失礼しますネ、ご主人サマ」

「ちょっとまって――ふみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅっ!」


 彼女の細くしなやか指が、ほっぺを縦横無尽に蹂躙しはじめた。


「ふみゅっ、ふみゅみゅっ、ふみゅーっ!? ふみゅみゅみゅみゅみゅみゅっ!」


 必死になって手足をバタつかせて抵抗を試みても、身体ごと抱え上げられてしまってはむなしく宙を切るばかり。

 むにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむにむに。


「フゥ……ステキでした、ご主人サマ」

「およよ……もうお嫁にいけない……」

 
 散々に弄ばれた後、僕はようやくメイドさんの魔の手から解放してもらえ。

 彼女はなんだかツヤツヤと満足気な微笑み……悔しい。でも可愛い。


「さて、ワ
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