さて、そんな訳でお楽しみの時間である。
刹那は草で作られた寝床の上へと優しく寝かせられた。
百代(はくたい)はこれから始まる情事が楽しみで仕方ないようだ。尻尾の先も、二本の触角も、妖しくゆらゆらと漂わせていて、その機嫌の良さをうかがわせる。
一方の刹那は緊張した面持ちで、興奮の高められた胸をどうにかしようと小さく息を吐くのであった。
(あふぅ……やっぱり百代さんも妖怪だぁ……)
どうにもこうにも“喰われる(性的な意味で)”といった印象の強い状況であり、いたしかたのない話ではあるのだが、その刹那の不安げな顔も、発情しきった百代にとっては興奮をそそるものでしかないらしい。
喜色の浮かんだ顔は熱っぽく染まった人のものだが、立ち上っているのはご馳走を前にした肉食動物の気配そのものである。自分が捕食対象である事実を突きつけられ、刹那はまた少し胸に溜まったものを吐く。
「あ、あふぅ……」
「いけませんよ、刹那さん。そのような可愛らしい顔をされていては、百代の子宮がキュンと疼いてしまいます」
「お、お手柔らかにね……」
「ふふ、お任せくださいませ。まずは服を脱いでしまいましょうね……」
「あふぅ……」
百代は蟲の脚を使って刹那を転がしながら、器用に服を一枚ずつ剥いでいく。
脱がせられた着物は丁寧に折りたたまれ小脇に寄せられていく。まるで赤ん坊にでも戻った気分で眺めている他、何も刹那にできることはない。大百足の淫毒に侵された身体はそう簡単に動くようにはならないのだ。
「素敵です、刹那さん……立派で、大きくて、精の美味しそうな匂いがします……」
「そんなこと言わないで……恥ずかしいから……」
着物を剥ぎ取られて姿を現した肉棒は立派な大人のそれであった。淫毒に侵され怒張したモノは雄々しくそそり立ち、先からは既に先走りをとめどなくあふれさせている。
刹那の羞恥に呼応してビクビクと震える様子を見て、百代はうっとりと小さく息を吐いた。その呼気が棹に触れるだけで、むず痒いような快感が身体に伝わっていき、特に咬まれた首筋に甘い痺れを残す。
「恥ずかしがることはございませんよ。刹那さんの全てを、百代はお受け止めしますから……」
「あふぅ……嬉しいけど、やっぱり恥ずかしいものは……恥ずかしいって……」
イヤイヤと首を横に振る刹那。嗜虐の微笑はますます深まっていく。
蟲の脚でしっかりと刹那の体を抱きとめ、白い肌を密着させるようにして覆いかぶさる百代。白くしなやかな両手を刹那の頬に伸ばし、もはや涙目になりつつある瞳をまっすぐに固定させると、チロリと舌を出してみせた。
「本当なら最初に、こちらでご奉仕をさせていただくところなんですが……」
「うぅ……あッ……!」
指差した先は、赤い肉のぬらめく口の中。さらに百代は柔らかな胸やしこり立った乳首を、円を描いて刹那の身体に揉みこむように擦り合わせていく。触れられるだけで身体が快楽に灼かれ、刹那は堪えきれずに小さなうめき声を口から漏らした。
「申し訳ありません。はしたない百代は……もう我慢ができなくなってしまいました」
上気した刹那の頬から首筋、腹を撫でるように指が滑っていき、最後に肉棒の先をなぞり上げていく。先端に触れられると一際大きく跳ねた肉棹を、百代の細くしなやかな指は小指からそっと捕らえていき、そして最後に残った親指が先走りを亀頭へと万遍なく塗りたくる。痛いほどに張り詰めたモノへの優しい愛撫。しかし穏やかなはずの愛撫も、今の刹那にとって脳を灼ききる強い刺激に他ならない。
――パサリ――
百代の羽織っていた着物が背後の蟲体の上に落ちる。至高の芸術品のような艶かしい肉体が背筋を伸ばして晒された。
潤んだ瞳の中は完全に情欲の炎に燃え盛り、白くキメ細やかだった肌はほんのりと赤く色づいている。控えめながらも刹那を快感で焦がした胸、そして首筋から刺青のように刻まれた毒腺が、乱れた呼吸に合わせて波を打っていく。男を虜にする淫毒を蓄えた文様は、左右対称にわき腹を通ってへその下に向かい、そしてある一箇所に収束していた。
最後の一線。人と蟲の狭間に張り付いた札のようなものが、百代の一撫でによって取り払われる。
「刹那さぁん……百代のここを、刹那さんのモノでお慰めください……」
刹那を眼下に見下ろしながら、百代が自分の秘所を押し広げた。
「ここも寂しくて泣いているんです……刹那さんにお慰めいただかないと、泣き止むことができません……」
白い指によって左右に開かれた陰唇。ぱっくりと開いた秘裂の中には鮮やかな桃色をした肉の丘が覗いており、百代の呼吸に合わせて妖しくヒクつくたびに、粘性の高い液体がこぷりこぷりと湧いていた。愛液でしとどに濡れた陰部を見せ付けられ、刹那はごく
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