最近、よく夢を見る。
ものすごい美人さんに抱かれながら死ぬ夢。
今日もその夢を見た。近くの電子時計を見ると午前3時を指している。
起きるにはだいぶん早い時間。もうひと眠り…と思ったのだが散歩に行こう。
いや、行かなければいけない。なぜ行かなきゃいけないのかはわからないが。
さすがにこの季節の夜は寒い。最近買った真新しい上着に袖を通し外に出る。
行先は…わからない。でもなぜかこっちだと思う。とりあえずその方向にある公園まで行った後この後どこに行くか考えよう。
歩いている間もあの夢がフラッシュバックしてくる。前から思っていた、あの夢が他人事やただの夢だとは思えないことを。
次第に近くなる公園。不意にふわりと香る匂い。懐かしくて…いつも嗅いでいた匂い。
でも今まで生きていて一回も嗅いでいない匂い…
公園に着くとブランコに1人の女の子。
俺は…あの子を知っている。でも知らない。
なんだ…この感じ。何か忘れてちゃいけない事を忘れているような…
頭がズキンズキンと痛む。あの夢の光景。
あ…約束…俺たちは…
「えぇ…やっと思い出したのね」
「マリー…」
そうだ、そうだ。俺はあの時死んで…
「えぇ、あなたのお嫁さんのマリーよ。寝坊助さん」
「ごめん…こんなになるまで待たせちゃって…」
記憶の中のマリーの髪はもっと艶々していた。頬もこんなにやつれて…
「貴方以外の精なんかいらないなんて意固地になってたらこんなになっちゃた…もう私に魅力なんてないかしら?」
「そんな事ない!!昔も今もマリーは魅力的で美して僕の自慢のお嫁さんだよ」
「うれしいぞ…ではお主の家まで連れて行ってくれないか?さすがに精が足りなくて…実は死ぬ寸前なんだ…」
「勿論」
彼女をおぶりアパートに戻る。とりあえず彼女をベッドに横たわらせる。
俺は何か食べさせようと即製スープを作る。
彼女達魔物娘が精。いわゆる精子が一番のご馳走なのは思い出しているがまずは冷えた体を温めてもらわないと。
「とりあえずスープ。エッチはこれ飲んでお風呂入ってからね」
「あぁ…ありがとう…」
「熱いから気を付けてね」
ちびちびとスープを飲みながら彼女は俺が死んでからの事を話し出した。
詳細は省くがどうやらずいぶん探すのに苦労したそうだ。
「飲み終わったならお風呂入ろうか」
「また髪を梳かしてくれるか?」
「あぁ」
お風呂でお互いさっぱりし。服を着替える。彼女用の服は勿論無いので今日だけは俺の服で我慢してもらう。
「お主の匂いで包まれていると安心する」
どうやら高評価なようでよかった。
今日は遅いし寝る事にしよう。勿論添い寝だ。
「のぉ」
「なに?」
「また1つ約束してくれないか?」
「いいよ」
「今度はもう…離れないでくれ…」
僕は優しく彼女を抱きしめる。もう二度と彼女と離れないように。
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