文化祭が終わり、期末テストも乗り切った。その先にあるものはそう、
「夏休みだ〜」
「あんまり浮かれるんじゃないぞ、タクト」
「はーい」
それでも俺の気持ちは浮かれまくっていた。そりゃ久しぶりにじいちゃんに合えるからなぁ。
ウッキウキで寮に帰る。
「ただいまー、フィロップさん」
「おかえりなさい、拓斗さま。おじいさまでしょうか?お手紙が来ております」
「おっ、じいちゃんから?どれどれっと」
テーブルの上に置かれた手紙をウキウキで見た俺は。その後しばらく硬直した。
『タクトへ、じいちゃんちょっと旅行へ行くから夏休みは帰ってこれんよ
じいちゃんより』
「うっそだろ…」
「どうかなさいました?」
フィロップさんが心配そうにこっちを見てくる。
「フィロップさんって確か夏は…」
「休暇を頂く予定ですが…」
「その休暇…キャンセルできますかね?」
「えぇ!?どうしてそんな急に」
俺はフィロップさんに事情を話す。
「そうですか…それならうちに来ますか?」
「いいんですか?」
「はい、お父様もお母様も優しい人なのできっと歓迎してくれますよ」
それならいいんだが…なにせ急に決まった事だからなぁ…
「あっ、もしもしお母様?次の休暇なんだけど連れていきたい人が居るの」
もう既に連絡とってるし…しかもその言い方誤解されないか?
「あっ、お母様。男の人だけど私の恋人じゃないって。違います、照れてるわけじゃ…切れてしまった…」
「言わんこっちゃない、その言い方じゃ誤解されますって」
「そうでしたか…」
まぁとにかく、迎え入れてくれるならいいか
数日後
「準備出来ましたか?拓人さま」
「はい、ばっちりです。と言ってもほとんどフィロップさんがやってくれたものですけどね」
出発の準備を終え、バスに乗り駅へ向かう。
何分かバスに揺られ駅へ。その後電車でまた揺られること数時間、フィロップさんの実家のある田舎へ向かうポータルがある場所に着く。
「ここをくぐればお父様が迎えに来てくれるらしいです」
「まだ結構かかる感じですか?」
「そんなにかからないですよ?」
それならいいかとポータルをくぐるとそこは写真集でみたロシアの田舎風景に近い光景が広がっていた。
「どうですか?私の故郷は。冬は雪も降るんですよ〜」
「そうなんですね、今はクソあっついですけどね」
「盆地ですからねぇ…ここ。あっ、お父様がいました」
フィロップさんが指さした先には背が高くスラッとしている明かに20代の男性が立っている。この若さも魔物娘がなせる業だろう。
「おぉ、フィロップ。そこの子が例の」
「あっ、音街拓斗って言います。これから一か月間よろしくお願いします」
俺は丁寧にぺこりとお辞儀をする。
「礼儀がなっているいい子だね。私はミハイルという。一か月間よろしくね、拓斗くん」
俺とフィロップさんはお父様の車に乗り込む、今まで乗った車の中で一番の乗り心地でびっくりした。お金持ちなのだろうか。
そんな下世話な話を振れる訳もなく車に揺られ30分。町の郊外に出る。
「もうすぐだよ、て行ってももう見えてるね。あそこだよ」
ミハイルさんが目で指した場所には大きな豪邸。先ほどの疑問が革新に変わる。
「随分と大きなお家なんですね」
「あぁ、自慢ではないがここら一体の地主…みたいなものでね」
そんな事を喋っている内に家の前に着く。近くから見ると大きさが際立つなぁ。
「私は車庫に車を止めに行ってくる、先に入ってなさい」
「はーい、お父様。さ、行きましょう拓人さま」
「うん」
正直気後れする体をフィロップさんが引っ張てくれる。
「おかー様ー、ただいま里帰りしましたー」
「あらまぁおかえりなさいフィロップ。そしてようこそ」
「こんにちは、音街拓斗と言います」
「こんにちは拓斗くん。私ソフィアって言うの」
「ソフィアさん、これから一ヶ月よろしくお願いします」
今日から一ヶ月とちょっと、どうにか頑張れるかな…
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