「それはまだ秘密です。さぁ、ここでずっと立ち話していると幸子さまが心配してしまいます、そろそろ行きませんか?」
「あぁ、はいぃ…」
近い近い近い、うわぁまつ毛すっごい長いし甘くていいにおいする…ヤバい、息子がもう臨戦態勢になってしまった…
「あっ、ちょ…あの、トイレいってきます」
これ以上ここに居たら息子が暴発しかねない…僕は駅の近くにあったトイレに逃げるように駆け込んでいった、エアリスさんが何か言っていた気がするがそんな事気にしている場合ではなった。
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「あっ幸人さま…行ってしまった」
少し距離感を読み違えてしまいました…おかしいですね、詩織お姉さまの言う通りに『男の子?それなら一気にいっちゃっえばイチコロよイ、チ、コ、ロ』とおっしゃっていたのですが…それよりも…
「凄く逞しく、かっこよかった…」
あの日助けてもらった時から成長しているのは十分理解していたつもりですが…何ですかあんなに大きく逞しい男の体つきになっていましたし…近づいたらフェロモンも沢山出ていて…少し濡れてしまいました…
少しくらいなら…幸人さまもトイレに行ってしまったことですし…いえいえダメです耐えるのですエアリス、ここでそんなはしたない真似を幸人さまに見られたらこの先生きていけません。これからのためにも、我慢です我慢。
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つい勢いでトイレまで逃げてきちゃった…トイレならバレないし少しくらいなら…ダメダメ。声とかでバレるかもだし、何よりバレたときのリスクが大きすぎる、ここはほんとにトイレに行ったように見せかけて戻った方がいいな。
それにしても…
すっごい可愛かった…まつ毛長かったし…すっごいいい匂いしてくらくらするくらいだった…ヤバい少し収まってきた息子がまた元気に…
もうちょっと待つか…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜10分後〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「遅くなってごめんなさい」『不審がられてないよな…』
「いえいえ、大丈夫ですので」『気づかれてはないですよね…』
不審がられてはなさそうだな、よかった。あって初日から変態扱いされる最悪のシナリオは回避できた、けど。ここからどうしよう…
「どうかなされました?」
「あっ、大丈夫です。心配いりません」
「そうですか、あの」
「なんですか?」
「そろそろ行きませんか?あんまり遅いと幸子さまが心配してしまいます」
「あっ、そうですよね。行きましょう行きましょう」
そこからよくある田んぼとか畑が見える田舎の道を歩いてばあちゃん家まで行く、ばあちゃん家に着くまでまだ暫くかかけど今まで会話はなかった、いや。出来なかった。時々「天気いいですね」とか話しかけてくれたのに。「あっ、そうですね」とかいって話を切ってしまった…学校でも別にボッチでも陰キャでもないし、むしろ割と話してたはずなんだけどなぁ…
「あの、少しいいですか?」
「どうかしました?」
ちらりと見たエアリスさんの顔はやけに真剣だった。
「幸人さまは学校に通っていらっしゃるんですよね?」
「えぇ、勿論」
彼女につられて俺もつい敬語になってしまう、それよりも。学校に通ってるかなんて当たり前の事なんで聞くんだろう?
「なんでそんな事を」
そう聞くと彼女は
「その…あの…幸人さまのご学友に…その…思い人…などはいるのでしょうか…」
「へ?」
自分も全く予想していなかった問いに不意を突かれ変な声が出てしまった
「え、あの思い人って好きなh…「あああああ、ダメですそれ以上言わないでください。」
そこまで言いかけたとき、彼女の大声にかき消され最後まで言えなかった。よく見ると彼女の顔は真っ赤だった。
「私、幸子さまに買い物を頼まれているんでした。申し訳ないのですがお先に幸子さまの所へ行ってください。それではまた」
「え、ちょ、あのー」
彼女は俺が言葉を言い切る前に走って行ってしまった。俺の記憶だとあっちにはお寺位しかないはずなのだが…俺がいないうちにお店でもできたのだろうか?
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