あれから約1か月。アリアさんはコンテストに向けて練習を重ねている。
勿論俺もその練習に付き合っている
「今の所はどうかしら?」
「おおむねいいと思いますよ」
「あなたの耳は確かだし助かるわ」
コンテストまで残り13日。ここから仕上げの段階に入るべきなんだが…
「やっぱりまだアルバス君事が気になりますか?」
「勿論よ、やっと彼と相思相愛になれたんですもの」
そうは言っているがまだ付き合ってはいない。どうも彼女がこのコンテストで優勝したら告白すると言ったらしい。
「アルバス様の横に立つ女にふさわしい歌を歌うためにも。拓斗さん、もっとビシバシ指摘してくださいまし」
「勿論です」
その日は下校時間ギリギリまで練習した。彼女はもう既に完璧に近い仕上がりになっている、油断しなければコンテストは取れるだろう。
「それでは私はここで」
「それじゃあまた明日ね。体調に気を付けて」
「ありがとうございます」
俺も今日は帰るかな…五線譜が無くなってきたし次の休日に買いに行かなきゃな…
「ただいま〜」
「おかえりなさい拓斗様。お客様が来ております」
「おう、お邪魔してるぜ」
そこにはアルバス君がいる。わざわざ来て何か用があるのだろうか
「アリアに渡してほしい物があるんだ」
「いいよ、明日届けるね」
「おう、食品だから冷蔵庫にしまっておいてくれ」
そう言うと彼はタッパーを取り出し僕に手渡してくれる
「それじゃ、俺は帰るわ」
「うん、気をつけて帰ってね」
彼の帰りを見送りタッパーを冷蔵庫に入れる。
「彼いいですね、彼女さんへの一途な思いがひしひしと伝わってきました」
「僕の親友だもん。当たり前だよ」
「拓斗様絡みで苦労しそうですけどね」
フィロップさんはフフッ、と笑う。確かに学校で迷ったら彼に救出してもらうほかない。
「それじゃあご飯にしましょう。今日はカレーにしてみました」
「おっ、カレー大好き」
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翌日
「アリアさん、これ」
「これは…? アルバス様からでしょうか」
「うん、そうだよ」
タッパーの中身は蜂蜜レモン。彼女の喉を気遣ってのチョイスだろう
「嬉しいです…まさか覚えていただなんて」
「思い出があるの?」
「はい。昔私が歌いすぎで喉を枯らしてしまった時に彼が作ってくれたのがこれなんです、はあっ…嬉しいです
#9825;」
アルバス君らしい優しさあふれるエピソードだ
「アルバス様の応援もありましたし今日からもっとビシバシ行きましょう」
「頑張りすぎは注意ですよ」
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そこからの時間は早く今日が本番。勿論会場にアルバス君と一緒に来ている
「俺たちが歌う訳じゃないのにドキドキするね」
「そうだな、でも楽しみでもある」
「うん」
ブザーとともに緞帳が上がる、遂にコンテストが始まる。このコンテストは課題曲+自由曲を50点50点の計100点満点で採点方式だ。彼女なら勿論100点満点すら狙える実力を持っているだろう。
他の参加者の歌唱を聴き遂に彼女の番が来た。
「エントリーナンバー17番 アリア。シュミット」
カツカツと舞台袖から現れるアリアさん。部隊の真ん中に立つと一度お辞儀をし。歌い始める。
はじめは課題曲。リヒャルト・ワーグナー作曲の「結婚行進曲」。いかにも魔物娘らしいチョイスだ。
歌い始めるアリアさん。彼女の歌声は前音楽室で聞いた時よりも洗練され、深みが増していた。
ミスなく課題曲を歌いきるアリアさん。続いて自由曲を歌い始める。モーツァルト作曲の「恋とはどんなものかしら」。アリアさんのアルバス君への思いを乗せて歌っている歌声はアルバス君だけでなく会場の皆をも魅了しているだろう
こちらもミスなく歌いきりお辞儀をするアリアさん。その彼女を祝福するかのように盛大な拍手が舞台袖に歩いていく彼女を送った。
その後、コンクールは着々と進むが結果は誰もが見えているだろう。
「結果発表をします。コンクール優勝は…」
「17番 アリア・シュミット」
予選のコンクールとは思えないほどの拍手が彼女を祝福する。勿論俺もアルバス君も目いっぱい拍手を送った。
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「アリアさん優勝おめでとー」
夜になり彼女の打ち上げに参加する。本当は彼女とアルバス君だけでいいと言ったが押し切られ参加することになった。
「おめでとう、アリアちゃん」
「ありがとうございます。アルバス様
#9825;」
「その…なんだ。様付けはやめてくんないか?」
お互い顔を真っ赤にしてモジモジしている
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