Halloween masquerade night

 俺は白川咲夜、どこにでもいるただの大学2年生だ。まぁ親がどっちも蒸発して一人暮らしをしてる点を見ればただの大学生とは言えないかもな。
 閑話休題、今日ポストを開けたらハロウィンパーティーの招待状が入ってた。正直意味が解らないし気味が悪い。そもそも会場の場所も集合時刻もわからないんじゃどうしようもないだろ。

「って、やべ。もうこんな時間じゃん」

 ちらりと時計を見る。まずい、バスの時間が近づいている。俺は意味不明の招待状をポケットに突っ込んで走り出す。

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「…って事があったんだよ」
「変な話もあったもんだな、こうして実物が無きゃ信じてなかったぜ」

 午前の講義が終わり昼休み、人で混む食堂にて俺の唯一の友人である向井悠馬に朝の事を話す。

「んな事よりさぁ、今日いっしょに飲まね?せっかくのハロウィンを一人で過ごすのも味気ねぇしさぁ」
「お前は酒飲みたいだけだろ。まぁいいぜ、今日はパッーと飲もう。店に行く?それとも宅飲み?」
「咲夜の作ったつまみが食いてぇなぁ」

 悠馬は気色悪い上目遣いでこっちを見る。20の大人の上目遣いとかどこに需要があるんだ

「はいはい。その代わり手伝ってもらうし、材料費と酒代は割り勘だぞ」
「へいへい。あっ、俺レンコンのはさみ揚げが食いてぇな」
「はいはい、わかったよ」

その頃には招待状の事など頭からすっぽ抜けていた。

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 午後5時、いつもより遅い時間に帰宅を始める。もう冬になりかけてることもあり辺りはもう真っ暗だ。

「ふぅ〜やっと終わったぁ〜」
「あんのクソ教授め…」

 本来4時に終わるっはずだったのに…あんのクソ教授、暇そうだかって書類整理押し付けやがって…

「うぅ〜さっむ、まだギリ10月なのに寒み〜。早く家帰って飲もうぜ」
「そうだな」

 俺らは手早く食材と酒を調達。速足で帰路に立つ。食材を買った商店街はカボチャやお化けの装飾があったり、子供たちがおばけやドラキュラの仮装をし、お馴染みのセリフでお菓子をねだっている。

「にしても皆浮かれてますねぁ」
「ハロウィンに便乗して酒飲もうとしてる奴がよく言うぜ」

 軽く談笑をして暫くすると俺のアパートが見えてきた。親戚の叔父さんが好意で住まわしてくれているアパートだ。

「あ〜寒寒、早く入ろうぜ」
「ちょいまって鍵を挿すから」

俺は慣れた手つきでドアに鍵を挿しドアを開ける

ドアの向こうは朝まで俺が過ごした部屋とは全く違う空間だった。たとえるならおとぎ話のお城のエントランス。しかもそこにはメイド服を着た女性も居たと来た。

「お待ちしていました、白川咲夜様。案内を仰せつかっておりますアメリア…」

 俺は反射的にドアを閉めた。そりゃそうだ、誰だってそうするだろう。あまりにも現実離れしすぎている。

「な…ここは正真正銘俺の部屋のはず…だよな」
「おいどうしたんだよ、寒いんだから早く入れろよ」
「あっ、オイちょっと待て」

悠馬は俺の制止を聞かずにドアを開ける。

「なぜドアを閉めたのですか?パーティーの時間は刻一刻と…ってあなたは白川様のご友人様でしょうか?殿方の参加は大歓迎でございます。ささ、こちらへ。衣装とヘアセットをしますので…って大丈夫ですか?」
「え…あ、はい。あ、貴方は誰でしょうか?」
「私はこれから開かれるパーティの主催者であるミッシェルさまに使えておりますアメリアです。今日は案内などを仰せつかっております」

パーティー?聞けば聞くほど謎が増える。一体どうしたらいいんだ。

「もしかして招待状をまだご覧になっておりませんか?確かにポストへ投函したはずなのですが」
「招待状?ってこれの事ですか?」

俺はアメリアと名乗る女性にすっかり忘れていた招待状を見せる。

「なんだ、ご覧になっているじゃないですか。ではもう時間もありませんしこちらへ。勿論ご友人様も」

 俺らはアメリアに無理矢理手を引かれドアの向こう側へ連れてこられる。俺と悠馬が向こう側に来るとドアがいつの間にか無くなっていた。

「ドアが無くなった?」
「魔法で繋げただけですし、用が無くなったら自動で無くなるんですよ。お帰りの際はまた自動で繋がりますのでご安心を」
「はぁ、よくわからないが」

 暫く歩いてるうちにある部屋に案内される。部屋の中には2着のタキシードと仮装のためだろうか、顔が隠れる仮面が用意されていた。

「それではこれからこのタキシードに着替えてもらいます、脱いだお召し物はこちらへ。そうそう、今宵のパーティーでは紳士淑女問わず仮面を取ることは禁止となっております」
「わかりました」
「ささ
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