今日、一つの命が散った。その人は聡明で、いくつもの賞をもらうほどの学者だった。だが彼女は恐ろしく変人だった。しかし彼女は誰とでも平等に接し、この世のすべての生命を尊ぶ聖人のような人でもあった。
ベットで横たわる彼女を見ていると生前彼女と作った忘れもしない思い出の数々が止めどなく浮かんでくる。
「なんで君なんだ。なんで僕のような役立たずが残り、君のような人が逝ってしまうんだ」
気づけば僕は泣きながら叫んでしまった。どれだけの時間が過ぎたのだろうか、とっくに太陽は顔を出していた。その後の記憶はよく覚えていない、恐らく誰かに家まで送ってもらったのだろう。気が付けば先日まで彼女と蜜月を過ごした自宅にいた。
僕はその後簡単にシャワーを浴びるとかすかに彼女の匂いが残るベットに寝転がると、すぐに意識を手放した。
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彼女と出会ったのは大学に入ったばかりの頃だった。苦学生だった私は比較的家との距離が離れていないことも相まって、大学まで歩いて通学していた。半分ほど散った桜を横目に通学していると、一段と異様な人がいた。ぼさぼさの髪にくたびれた白衣を着ていた。その人は枯れかけた木を心配そうに見ていると思ったらおもむろにポケットから何かを取り出すと地面に差し込んだ。彼女はその後ルンルンと音符マークが見えそうなくらい大きな鼻歌を歌いながら大学の方向へ消えていった。
私はその時はどこかで見たことある思ってはいたが今日の講義の事を考えているうちにどうでもよくなってきた。
昼頃になり友人と食堂で昼ご飯を食べている時、ふと朝の事を思い出し話してみることにした。
「そういえばさぁ」
「ん、どした?」
「朝歩いてたら変な人がいたんだよね」
私は友人に朝見た変人について話した、友人はその話を聞くと。
「あー、その人は…
友人の声は最後まで私の耳に入ることはなかった、食堂に「あー、居た」という声が響き渡ったからだ。恐らく食堂にいたすべての人が彼女を見ていたであろう、あのぼさぼさの髪とくたびれた白衣の女性。朝見つけた人だった。
女性はこちらへ近づいてくる、それを察知するなり友人は、
「じゃ、じゃあ俺はこの後用事だからー」
と、どこかへ行ってしまった。一人残された私に彼女は
「朝見てた子だよね、興味あるんでしょ?さ、こっちだよ」
「え、ちょ、あの」
彼女は僕の腕を掴むとグイグイ引っ張って歩いていく、引きずられるのもごめんなので仕方なくついていくことにした。
しばらく歩いていると彼女は急に立ち止まった、どうやら目的地に着いたようだ。視界を彼女から扉に移すとそこには植物研究会と書かれた張り紙が黄ばんだセロハンテープで張り付けられていた。
「ささ、新人クン、入って入って」
彼女が扉を開けるとそこには…特にこれといった特徴もなく普通のサークルの部室だった。汚れた部屋を想像していた僕はいい意味で期待を裏切られたこのサークルが少し興味が出てきたがすぐ冷静になった
「あの〜、僕は興味ないので〜」
そうだ、やっと念願のキャンパスライフなんだぞ。こんな変人と一緒に居る暇はない。
しかし彼女は何かを確信したような顔で
「君は帰らないよ、だってねぇ」
彼女はズボンのポケットから何かを取り出した、それは僕の食費やら何やらがすべて入っているお財布だった。確かこれだけはおいていっちゃまと思い尻 今日、一つの命が散った。その人は聡明で、いくつもの勲章をもらうほどの植物学者だった。だが彼女は恐ろしく変人だった。しかし彼女は誰とでも平等に接し、この世のすべての生命を尊ぶ聖人のような人でもあった。
「私の頑張りでこの子たちが元気になるなら私は幸せだよ」
ベットで横たわる彼女を見ていると生前彼女が口癖のように言っていた言葉が浮かんでくる。いや、言葉だけじゃなかった。あの時の笑顔が、交わした約束が、忘れもしない思い出が。止めどなく浮かんでくる。
「なぜ君なんだ。なぜ私のような役立たずが残り、君のような人が逝ってしまうんだ」
気づけば私は泣きながら叫んでしまった。どれだけの時間が過ぎたのだろうか、とっくに太陽は顔を隠していた。その後の記憶はよく覚えていない、恐らく誰かに家まで送ってもらったのだろう。気が付けば先日まで彼女と蜜月を過ごした自宅にいた。
私はその後簡単にシャワーを浴びるとかすかに彼女の匂いが残るベットに寝転がると、すぐに意識を手放した。
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彼女と出会ったのは大学に入ったばかりの頃だった。苦学生だった私は比較的家との距離が離れていないことも相まっ
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