オトシブタ〜True self

とある国の山間にある村
ここの付近では最近、野盗が出て村の人たちを悩ませていた

というのもこの土地は山に囲まれており、そこに出入りするためには必ず通らなければならない渓谷がある
野盗たちはその渓谷を通る人たちを狙いその付近に陣取っているのだ

山間の村は自給自足だけで賄うほどの力はなく食糧等は定期的にやってくる商人に頼っていたが、その商人もそこを通れず、かといって村から外に出るのにもその渓谷を通らねばならず、完全に閉じ込められてしまっていた

命運ここにつきたか・・・だれもがそう思った
その時、真紅の鎧に身を包んだ女剣士がどこからともなく現れたのだ
彼女は鎧と同じ真紅の剣を振るい、賊たちをなぎ倒し、村に立ち寄ることも無く、名前も告げずに去っていったという

偶然それを見ていた者はすぐさま村にそのことを伝えた
村の者達は喜び、ある者は踊りある者は涙を流した
そしてその美しい真紅の女剣士のことをルビーの剣士と呼び村で称えたそうだ
その村をすくったルビーの剣士の噂は風に乗って国を駆け巡った

そしてその村だけではなくその国の各地でその剣士の姿は目撃された
時には砂漠
時には森
時には海

さまざまな場所で賊を退治する姿からそれはもはや噂とは呼べない程の信憑性を伴っていった
人々は一言礼が言いたくて、あるいは剣を教わりたくて、ルビーの剣士を探し出そうとしたが見つからない

どこかに居を構えているわけではない彼女はなかなか会う事ができなかったのだ
何人かはあって礼を言ったともいうがその場所は国の東端から西端までにおよび、それも事実か怪しい所だ

だが確実に賊の被害が減っていたことから、国も黙ってはおらずルビーの剣士に国に仕官しないかとコンタクトを取ったこともあった、だがそれもルビーの剣士は蹴ったそうだ

あくまでも自分の意思で、誰に使えることも無く、見返りも求めず孤高を貫く英雄のような彼女を国は信頼し国民は心で感謝していた

だがその裏で彼女の事を面白くないと思う輩もいた
女の身でありながら名を上げ国の仕官を断ったことから、仕官をめざし腕を上げていた騎士見習いたちや、襲われても彼女が来てくれると怠惰に出歩くようになった住民を良しとしない聖職者たち

そしてなにより彼女を煙たがるのは言うまでも無く賊そのものだ
彼らからして見れば職を下ろされたようなもの
彼女を無視し盗賊稼業を続けた者の中にはもう刃物を握れない身体にされたものや、走ることのできなくなった者、その姿を見た他の盗賊たちも次々に足を洗っていった
何よりあの高慢な態度がそういう人間達は気に入らなかった
自分たちが悪事を働いている自覚があるからああいう人間は高慢な英雄気取りに見えるのだ

そして部下も仲間も仕事も奪われたとある盗賊一団の生き残りは考えた
どうやったらあの女を貶める事が出来るか、殺してしまってはあっけない、もっと辱めてやりたい、あのお高くとまった眼をどうしようもなく歪ましてやりたい

だが国の仕官なんて一生遊んで暮らせるチャンスを無下にする女の事だ
たとえめちゃめちゃに犯したとしても、屈することはないだろう
身内も早くに亡くし、男も家族もいないため、大切な人を目の前でいたぶって殺すところを見せつけることもできない
家も無いため居を奪う事も出来ない
街の人間を皆殺しにしてやっても、結局真正面から戦うことになり自分たちがやられるだけ
毒を盛ったりすることはできるだろうがそれでは殺してしまう
睡眠薬を盛り寝てる間に縛り上げたとして、快楽にも痛みにも屈しないであろう彼女にいったい何ができようか

いくら思考を巡らしてもいい考えは一向に浮かばない
金は昔からため込んだ分が大量にあった
これだけ金があれば、盗みの世界から足を洗って次の仕事で安定するまで持たせてもおつりがくるだろう
だがプライドがそれを許さなかった
なんとかしてあの女を堕としてやるという復讐心だけが彼らを動かしていた

だがやはり考えても出ない物は出ないのだ
盗賊たちはもんもんと唸るだけの生活を続けていた
だがそんなある日だった
街のはずれの廃墟を勝手に占拠し隠れ住んでいた盗賊の一団に転機が訪れる

「か、頭!!てぇへんでさ!」
「なんだ騒々しい、敵でも来たのか?」

奥の部屋でルビーの剣士を堕とす方法を考えていた盗賊頭の下へ慌てた様子でその手下の一人が駆け込んでくる

「ち、ちげぇやす、なんでも頭に直々にあいてぇって輩がきやがりやして!」
「それがどうした、おいかえせ!」
「そ、それがそいつ、めちゃめちゃつえぇんでさ!なんだか長い鞭のようなもの振り回して襲い掛かった他の連中をはねのけやがりまして・・・」
「なに!?ならそいつはもうすぐここに来るんじゃねぇのか!?」
「い・・・いえ、あいつは、私は入り口に居ますから
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