パラフェリア〜壊し愛

とある国のとある戦場
今ここでは戦争の真っ最中
聖国と名乗る国が、魔物と共存しようとしている、および共存している国へ次から次へと攻撃を仕掛けてきたのです
この戦場もまた、その聖国によって襲われたとある国の荒野でした

ガン!ギン!ドゴォォン!

鳴り響く金属の擦れる重低音
精霊により奏でられた大地の呻き
そして歌声のごとく鳴りやむことのない兵士たちの怒号と断末魔
それらは幾重にも重なり、さもオーケストラのごとくその場に存在するものに響き渡りました

生と死の飛び交う戦場、そこに立つ一人の男と人間の戦場には明らかに似つかわしくない、白銀の翼をもつ乙女

男は剣を、乙女は戦斧を手に戦場を駆ける
男の名をエルフィ
乙女の名はエネスといいました
彼は勇者、いえ、元勇者と言った方が良いでしょうか

「はぁぁぁぁッ!!!」

魔物を狩り、魔王を滅ぼす、ただそれだけを考え、鍛練を積み、15の誕生日、神の祝福を受け、生まれ育った村を出たのは数年前
魔物を滅ぼすための勇者の誕生に合わせやってきたヴァルキリーの彼女とも最初に会ったころと比べ随分打ち解け、幾度か肌を重ねるほどの仲となりました

「ぅわぁぁ!!」
「ギギぃ!」

しかし彼は世界中を旅して、見たのです
魔物が悪ではない事を
魔物を愛し、魔物と家庭を気付き、幸せを得ている者達を
彼は途端に、バカらしくなりました

「ぅおおおお!!」

何のために剣を取るのか
悪とはなんなのか
何を嫌い、何を愛せばいいのか
そんな迷いの時、そばにいてくれたのは、他でもない彼女、エネスでした

「イグニス!」
「遅い!!」

そしてエルフィは気付きました
人と人でない者が交わるのがなんだ
自分はこんなにも彼女が好きなのだ
人間である自分が、天使であるエネスを愛するのと、人間である者が魔物を愛すこと、そこに何の違いがあるというのか

「ぁ、ぁぁ・・・」
「・・・すまない」

エルフィはそんな幸せを守るために戦う事を決意しました
国単位で魔物との共存を図り始めたところも出てきたのです、いつか魔物と共に住める平和で幸せな日常が来るのもきっと遠くない未来の話
人と人でなければ幸せにはなれないというそんな偏見が消える、いつかその日まで、そんな未来が来るまで闘い続けると、エルフィは誓いました

「エルフィ!よそ見するな!!」
「・・・ああ!いくぞエネス!」

そして今日もエルフィは戦い続けました
いつ来るともしれない終りの時まで

「でぁぁぁぁ!!」

ガッギーン



「ってて・・・」
「ちょっと!じっとしててください!」

とある魔物と共存している国の宿
一端聖国を追い返した戦士たちは一度街に戻り休息を取っていました
この街の人間ではないエルフィでしたが、戦争に参加してくれた代償として宿代は気にしなくてもいいと言う事
そんな宿の女将は半人半獣の魔物
やはり、魔物の全てが悪いわけではないと実感し、部屋に入ったエルフィはエネスに傷の手当てをされていました

「無理しすぎですよ、まったく」
「仕方ねぇだろ、闘っている時は無自覚なんだから」
「そう言われると仕方ありませんが、こんなかすり傷も放っておいたら大変なんですから、気を付けてくださいね」
「はいはい」

ぶつくさと言い合う二人でしたが、顔は今日の闘いを生き残る事が出来た喜びで彩られています
エルフィはそんなエネスの表情が何よりの薬だと感じていました
エネスも、そんなエルフィの安堵した表情が大好きでした

「はい、手当終わりです」
「いつもありがとうな」
「ええ、私の・・・主人の、怪我ですから」

少しエルフィ以外は気付かない程に頬を赤らめるエネス

「エネス・・・」

男としては、そんなエネスの姿に、色々と感じてしまうのも無理ありません
知らず知らずのうちにエルフィはエネスの肩をがっちりと掴んでいました

「エルフィ、今は、ダメです・・・」
「え、どうして?」

困ったようにエネスは顔をそむけます

「今は戦の真っ最中、更にはいつ敵が来てもおかしくない時、そんなときに淫らな行為に勤しんでいることなどできません」
「はぁ・・・エネスはまじめだな」

エネスはそう言いながらも、ぷるぷると体を震わせ、我慢しているのは明らかでした
ですがその言葉も、彼女の本心でしょう
そこでエルフィは少し考え、さっとエネスの唇を奪いました

ちゅっ・・・

ほんの触れるだけのようなキス
でもエネスには十分すぎたようでした

「な・・・な・・・」

頬を真っ赤に染め目を回しだします

「も、もう!エルフィはバカなんですか!?今そういうのはだめと!!」
「ちょっとぶつかっただけだって、そんな怒んなよ?」
「ぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

恨めしそうにエネスはエルフィを見つめます

「じゅ・・・じゅ・
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