とある国のとある街・・・のはずれの山
ここには一組の夫婦が住んでいました
夫のレクト・オルケスタと妻のリーネ・オルケスタです
レクトは山のふもとにある街で酒場のウェイターをしていました
それだけでなく楽器も得意としていて、ウェイターの方の仕事が足りてくると今度はステージで、様々な楽器を仲間たちと弾き、酒場を盛り上げるいわばミュージシャンのようなこともしていました
顔もよく、なによりその音が、酒場にいる人たちを虜にし、そんな彼目当てに酒場に通う者も少なくはありません
ですがレクトがすでに妻を持つ既婚者であるのを知る者は、酒場の店主やレクトが心から信用する友人など実に一握りだけ
なぜそんなに人気のあるレクトが結婚しているのを知っている者が少ないか、理由は簡単、なぜなら妻のリーネは人間ではなかったから
リーネはガンダルヴァというハーピーの一種だったのです
二人は数年前、街はずれの山で出会いました
レクトは非番の日、たびたびこの山に赴き、弦楽器や管楽器の練習をしていました
この山は豊かな山と言うわけではなく、自然より岩場や崖が多い山でした
そこまで厳しいというわけではありませんがごつごつとした山道を楽器を抱えて登るのは非常に体力を使う事です
それにこの山には山頂付近に時々魔物が出る、なんて噂もありました
ですがレクトは、そんな噂は気にも留めず、管楽器に使う肺活量を鍛えることにつながるからといって山頂までは無理でもなるべく高い所まで登って、練習をすることにしています
二人が初めて出会ったのはレクトが普段よりもう少し高い所に向かったそんなある日の事でした
普段とは気分を変えいつもよりもう少しだけ高い所まで向かったレクトは楽器を弾くのに適した場所を探していました
普段は景色のよい崖のそばの岩の上で弾いていましたが、いつもは来ない場所まで来たため、まずは場所を探すところから始めたのです
あまり大きくはない山のためそのような場所はすぐにみつかりました
「うわぁ・・・良い景色だなぁ・・・」
思わず息が漏れてしまうほどの景色
そんな絶景を見ながら好きな楽器で好きな音楽を奏でる
レクトはその瞬間がたまらなく好きでいた
さっそくレクトは手ごろな岩の上に腰を下ろし、持ってきた管楽器を構えます
彼は特に決まった曲を奏でると言う事はしません
その場で景色を見て浮かんだ旋律をそのまま奏でるのです
ゆえに彼の曲は、時に晴れ晴れとした青空のような時もあればどんよりとした曇り空のような時もあり、また静かな水面のようなときも、荒々しい風のような時もあり、それはさながら自然と一体となったような形を持たない不思議な美しさを持っていました
「今日はいい天気だ・・・今日はこの空に捧げる・・・」
彼は静かに目を閉じ、演奏を開始します
それは静かで、それでいて壮大なそんな曲でした
「〜〜〜〜♪」
彼は自らがその自然と溶け込んでいくかのような、この感覚を感じるためにこの自然の中で音楽を奏でていました
風の音も、雲が流れる情景もそのさますべてが彼の音楽そのものでした
観客は、鳥や虫、それで十分でした
ですがどうやらその日はまた別の特別な観客がいたようです
「〜〜〜〜〜〜
#9835;」
(ぱさぱさぱさぱさ)
一通り思い描かれた曲を奏できった時、背後から翼をはためかせるような音が聞こえてきました
レクトが後ろを振り向くと、そこには腕の代わりに生えた金色の翼使って拍手をしてくれる、少女のような鳥のような、生き物が座っていました
「なんだかいい音楽が聞こえてくると思ったら、人間が引いていたとはね、でも人間の割になかなかいい曲だったよ、素敵だった」
そういい笑顔を見せる、その生き物を見て、レクトももた頬が緩みます
「それはどうも、でもまさか観客がいたなんて気づきもしなかった、失礼したね」
「それはいいけど、アンタ、アタシを見ても怖がらないのかい?」
少しきょとんとして彼女は問い返します
「俺の曲を黙って最後まで聴いてくれた子を怖がる道理はないんじゃないかな」
それを聞いて彼女は笑い出します
「アハハ、そうかい、アタシはリーネって言うんだ、アンタ、名前は?」
「僕はレクト、レクト・オルケスタだ」
「そうか、レクトって言うんだ、アタシは音楽が好きでね、他にも何か聞かせてくれないかい?」
「お安い御用、じゃあ、今度はここから見える大地に捧げる」
そういってまた今度は違う曲を奏で始めます
その間リーネは黙ってレクトの演奏を聴いていました
レクトもまたリーネからほんのり漂ういい香りを感じ、普段よりいい気分で演奏をすることができました
そしてその曲が終わったら感想を言って違う曲を奏でる
そんなことを日暮れまで繰り返していました
「アンタ、気
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