赤い絨毯の下に

目が覚めた時、目の先には大きなシャンデリアがあった。私、アントーニア・バッツドルフには馴染みのない、豪勢かつ高貴な屋根。感覚が戻ってきた手に触れたのは柔らかい絨毯。

「ん、んん……」

私はゆっくりと体を起こす。何だか体が重たい。長いこと眠っていたせいかしら?頭もうまく働いてくれない。

「私……何してたんだっけ?」

周りをぐるりと見渡し、自分の記憶とつなぎ合わせる。白く清潔な壁。赤く高貴な絨毯。
……だめね、思い出せないわ。
少なくとも、このような上品な空間にいたという記憶はない。もっと…こう……

「うう、だめだわ……」

考えようとすると頭がズキズキしてくる。脳が記憶が戻るのを拒否しているようにさえ思えてくるわね。
しっかりしなさいよ!!私の体でしょ!?

「まったくもう!!」

「あらあら、起き上がったばかりなのにずいぶん元気なことねぇ」

「誰!?」

突然、声がした。落ち着いた、しかしどこか甘ったるい艶を含んだ声。

「こっちよ、こっち」

「……っ!!」

後ろから!?
急いで振り返ると……

「やあねぇ、そんなに睨まないでよぉ
hearts;」

さっきまでは何もない、ただの壁だったところに一つの玉座が現れていた。そしてそこには髪の長い女性。漆黒のドレスをまとい、優雅に玉座に腰を下ろしている。

「すご……美人……」

「面と向かって言われると……ゾクゾクくるわぁ……
hearts;」

女である私でさえ息をのむような美女。
……しかも随分と大きい脂肪を蓄えているのね……うらやましいわ

「あらぁ、小さいものには小さいものなりの利点があるのよぉ?」

「え!?いま私……言葉に……?」

「ふふっ」

まだ混乱してるのかしら?考えがそのまま口に出るなんて……

「ようこそぉ、我が城へ、アントーニアちゃん」

「!?」

なんで……名前を…?

「そんなことはどうでもいいのぉ、それよりも本題に入りたいんだけど、いいかしらぁ?」

「本題?」

そうよぉ、と頷いてその女性は私に特大サイズの爆弾を落としてきた。

「あなた、死んじゃったのよぉ」

………………

「し、死んだってどういうことよ!」

「そのまんまの意味よぉ」

「そ……そのまんまって……」

「それはもう完璧に、ってことよぉ」

「な、なんで……?」

「さあ、そこまでは分からないわぁ」

わけが分からないわ!もう頭がいっぱい!!
起きる前の記憶はないし!起きたら起きたで変な爆乳美女に死んだ宣言されるし!!

「ああっ
hearts;……脳内での罵倒……クるわぁ………
hearts;」

その爆乳は何か身体ビクつかせてるし……どうなってんのよ……
……あれ?だったら少しおかしくない?

「えぇ?何がおかしいのぉ?」

ま、また口に出してたかしら?

「いや、じゃあここにいる私は何なの?」

「私が治療した体よぉ?」

え?

「一度死んだあなたの体を治して、あなたの魂を入れなおしたのよぉ」

「そ、そんなことできるわけないでしょ!」

「できるわぁ。なんて言ったってワタシですものぉ」

そう言って彼女は得意げにバサバサと翼を動かした。
…………なんですって?

「あらぁ、気づいてなかったのねぇ」

彼女の背中からは大きな翼が一対。優雅に折りたたまれていた。

「ほらぁ、こっちもよぉ」

そういう彼女の手には太いしっぽ。その根元は彼女のドレスの中に消えて行っていた。………つまりはそういうことなのかしら。

「……そういうことよぉ」

さっきから私がしゃべっていると勘違いしていたのももしかして?

「私が読んだからねぇ」

ふふっ、と彼女は笑う。その笑みは高貴な女性というより、種明かしを自慢する手品師といった風に見えた。

「……で、その魔物が私をどうして生き返らせたの?」

「あらぁ?以外に呑み込みがはやいのねぇ」

女性は少し驚いていたみたいだった。まあ普通の人間相手ならそれで会っているでしょうけど。魔物なら何をしてもおかしくはないと思ったのよ。記憶がないのもどうせ治しきれなかったからなんでしょ?

「……ほんとに呑み込みが早いわぁ」

感心したようにうんうんと頷き、彼女は私に向き直った。

「じゃ、話を続けるわねぇ。といっても、さっきあなたが言ったので半分は終っちゃったのよねぇ」

じゃあその半分を早く言いなさいよ。

「ああっ……せかされるのもイイわねぇ
hearts;……」

さっさとしゃべる!!

「ああん、乱暴はいやよぉ
hearts;」

くねくねとさっきから……

「あなたの体ねぇ、半分くらい魔物になっちゃったのよぉ」

「はあっ!?」

いきなり何を言い出すの!?半分魔物?その半分はどっから持ってきたのよ!!
………あっ

「まさか
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