少年と優しい雪女

俺の名前はスズエ。
ジパング生まれの十代後半。
勉強は中の上、運動はまったく。
彼女歴=年齢が成立している、普通の男子だ。
「ウホッ、いい男」という体験もなく、
「べ、べつにあんたなんかのためじゃないからね!」
という幼馴染もいない。
ましてや幽霊なんかも見えず、普通の生活を続けていた。

その生活が終わったのは、昨日のことだ。
自慢じゃ無いが、自分の父はジパングでも剣の腕前は十の中に入る剣豪である。
そんな父に、「お前は弱い。」
と突然言われた。
子供のころから父は俺に運動をしろと言われ、運動をしてきた。
しかし、どの運動も自分はまったくできず、そのたびに父には怒られた。
「俺は勉強ができればいいんだよ!」と言えば、
「お前は俺のような強い剣豪になればいい!」と返されるのがオチだった。
ちなみに母は俺が生まれてから数日で亡くなったらしい。
なので、そのような言い争いを止めるものもいなく、それはいつものことのように起きていた。

だが、いきなり「お前は弱い。」なんて言われたのは初めてだ。
いつもなら運動しろ!とか、動け!なんて言われるはずだが、今回は違った。

「お前は弱い。」
「?いったいそれがどうしたんだよ。稽古か?俺は嫌だからな。」
「いいや、それ以上のことをしてもらう。山に登れ。」
…は?今なんて言った?
俺がなんて言っているんだ、という顔している間にも父は話を続ける。
「今は冬だ。だから雪山だな。雪山には魔物もいるが…」
そんなことはどうでもいいだろう、と言う顔で続ける父。

「まあお前には強くなってもらわんと困る。俺のような剣豪になるのだから。」
「いやいや、待て待て。まだ死にたくねえよ。」
え、いや何これ、死ぬの?俺。
「なに、死にはしない。まあ今から行け。何も持たず。」
そう父は言い、俺の体を摘み挙げた。
おお、さすが剣豪。片手で持ち上げんのか。
「…て、そうじゃねえ!いや、まって、お父さん?俺まだ死にたくないですよ?いや、mgd。こんな寒かったら軽く死ねるから?」
「大丈夫だ。とりあえず山頂に分かりやすく何か印をつけて来い。明日見に行ってやるから。」
あーすげえな^^一日でこの山登るのか^^さすが十に入る剣豪^^
だがこの人のことだ。mgd登るだろう。で、印がなかったら…
軽くそこら辺の低い山を十は積み上げてもまだ届かないぐらいの山を一日だ。
無理^^
「行って来い^^」
そういって投げ出される俺だった…

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で、今に至る。
雪山で軽く十分ほど。さっきまでの暖かい部屋ではなく、たぶん体感温度マイナス10℃以下なんじゃね?と思えてくるほどだ。
何だろう、ヤヴァィ…
「はは^^眠いくなってたたし体だるいゐ^^」
吹雪の中歩く俺はもう…無理です^^
ドサッ、と俺の体が倒れる。
ああ、こんなにも寒く、眠いのなんてたぶん一生のうちに一回しかないだろうな…なんて思っているが、それももう終わりか…

なんで目の前が真っ白なのか。
(雪の中で倒れているから…)
なんで体がこんなに冷たいのか。
(もう俺の体に限界が来てるから…)
なんでこんな雪山で倒れているんだ…?
(あの親父に投げ飛ばされたから…)

もう怒る気力もない。
ああ、俺の人生って…こんな終わり方か…


「あら…人…ですね。生きているのでしょうか…?」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

体が温かい…
何かに寝かされている…?
ここは…どこだ?

目を開ける…そこは…家?

「おや、起きましたか。」
どこからか女の人の声。
「だ、誰ですか?」
顔を横に向けると、そこにはえらく美しい女性がいた。
まるで人じゃないような、そんな美しさ。
年はおそらく俺よりも上、といっても二十歳にいっているかどうかぐらいだ。
彼女はいったい誰なんだろう…?



「おや、申し遅れました。私は雪女のカエデ、というものです。」
…え?
頭の中ポンポンポン…ピーン!という音とともにその意味を知った。
「雪女…ですか…」
「はい。」にっこり
その笑顔はとても美しく…同時に…
(あ、やべぇ…)
魔物特有の妖しさがあった。

「…おや、驚かないのですか?」と雪女さん。
「いえ、めっちゃ驚いてます。」と俺。
「そうですか。」と雪女さん。
「そうですよ。」と俺。
「「…」」
「^^」「^^」
ど、どうしよう…

「まあ、何ですか。まずは食事をとってください。」
立ってください、という動作をしながらそう言った。
「え、あ、はい…」
今気づいたが、俺はベットの上にいた。
聞きたいことは多いが、確かに今は腹が減っている。
…そういえば夕飯食ってなかったなぁ。

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