とあるジパングの山岳地帯。
ここには、男が通るとその男が行方不明になるという噂が流れている。
そのときにはいつも、ギチギチという音と、何かを引こづる音が聞こえると
いう。
「ぅぅぅ・・・こ、怖くない・・・怖くないぞ・・・」
ん? 向こうから男、の子?が震えながら歩いているな。
天気の悪い上にもう夕方だ。明かりも無しによくここまで来たもんだな。
「な、何が噂だ・・・そ、そんなの・・・ただのでまかせだ・・・」
強がってる割に、かなり震えているな。怖いんだろうな。
「たしか、こ、このあたりだよな・・・」
そして少年は、その奇妙な噂が流れている場所にたどり着いた。
「・・・・・・・・・」
耳を澄ましても、何も聞こえない。
「な、なーんだ! やっぱり皆の気のせいだったんだね! はははは!!」
・・・なんていってる合間に、後ろから影が・・・
「・・・・・・クルシイ・・・」
「ひええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
いきなり後ろから陰湿な声を出されて少年は大絶叫!その場にうずくまって
しまった。
「助けてください助けてください!!!命だけは勘弁してくださいぃ!!!」
「・・・ダイジョウブ・・・イイオトコ・・・コロサナイ・・・」
「ひいぃぃぃ・・・・・・ん?」
そう言われ、少年が恐る恐る声の主に目を合わせると、そこには、
暗く悲しくも、その奥に美しくも儚い印象の女性が立っていた。が、
その女性の下半身は、巨大なムカデになっていた。
彼女は『大百足』。このジパングに生息している魔物だ。
「イイオトコ・・・タスケテ・・・ムネガ・・・クルシイ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・? ドウシタノ?」
「・・・・・・・・・きゅ〜〜〜・・・」バタンッ!
「・・・・・・・・・?」
その姿を見た瞬間、少年は気絶した。
----------------------------------------------------------------------
日が沈み、辺りには鈴虫が鳴くようになり、
「ん、うん?」
男はようやく目を覚ました。
「あ、あれ、ここは・・・?」
「・・・キガツイタ?」
今の状態、男が仰向けで気絶。大百足は下半身の百足の足で男を包むように
している。
頭は、ちょうど胸の辺りに。
「え? と、その・・・」
「・・・ゴメンナサイ・・・オドロカセテ・・・」
「あ、いえ! すごくびっくりしたんですけど、もう大丈夫です!!」
「・・・ヨカッタ。」にこっ。
「っ、」
その笑顔は、陰湿そうな雰囲気を吹き飛ばすように妖艶で美しかった。
少年の青春は、ここから走り出した。
で、仰向けの膝枕(百足枕?)から開放され、正面に向き合い、
「・・・アノ・・・」
「(ほけ〜)・・・っは! あ、はい! なんですか!」
「・・・オネガイガ・・・アルンデス・・・」
「お願い? い、いいですよ! なんでも言ってください!」
もう既に少年は上機嫌。ちょろいね、男って。
「・・・・・・・・・///」
「あ、あの・・・?(うわぁ・・・すごく可愛い・・・)」
彼女が言おうか言わまいか悩んでいるのを、こっそり観察する少年。
「・・・アノ・・・ソノ・・・///」
「は、はい・・・」
そして、彼女は意を決し、
「・・・ワタシノ・・・ムネ・・・シボッテ・・・クダサイ・・・//////」
「・・・・・・・・・は?」
「・・・デスカラ・・・ワタシノ・・・」
「いやいやいや!!聞こえてますから!!一瞬考えが追いつかなかったん
です!!」
一瞬の思考停止に陥った少年。まぁ、そうなるでしょうねぇ。
「な、何で僕に?」
「・・・ココニクルオトコ・・・ミンナオトナ・・・ワタシ・・・
コドモ・・・スキ・・・///」
「・・・こ、子供・・・か・・・」
まあこの少年、まだ10歳にも満たない、『男の子』だからな・・・
「じゃ、じゃあ! ここで男が次々と行方不明になるっていうのは!?」
「・・・ソレ・・・タブンウシオニ・・・アノコ・・・タクサンノ
オトコ・・・スニモッテイル・・・」
「う、ウシオ二・・・」
少年は、村でウシオニの恐ろしさを叩き込まれていたらしく、その名前を出された瞬間、震え上がっていた。
「・・・・・・」ガクガクブルブル
「・・・ダイジョウブ・・・」すっ
「あ・・・・・・」
「アノコ・・・ランボウ・・・ワタシ・・・アノコキライ・・・」
震え上がっていたが、彼女は優しく少年を包み込んだ。
「デモ・・・ランボウサレルノ・・・スキ・・・///」
「・・・・・・・・・(ごくり)」
「ダカラ・・・ネ?」
そして彼女は
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録