光を放った場所。
そこへ向かうと、二人の男女が立っていた。
「ねぇねぇお兄さん、あたしとセックスしようにゃ〜」
一方はスフィンクス。彼女は男に這い寄る。
「な、馬鹿かお前は!こんな見ず知らずの男にそんな事言うもんじゃない!」
一方の男はスフィンクスから離れようと身を引く。
「……珍しい」
珍しい、と言うより有り得なかった。
ここは暗黒魔界。こんな所で誰の匂いも付けていないなど、おかしなものだった。
「そんなのこれから知っていけば良いにゃ〜」
「駄目だ!だいたい淑女がなんて格好を、海外でみるコスプレか何かか!?」
明らかに、この場の人間と何かが違った。
私は個人的に興味を持った。
「コスプレ?なんにゃそれは?取り敢えずあたしとセックスにゃ〜!」
「来るなあああ
#8252;」
だから私は、スフィンクスを止めた。
「そこの者、身を引け!」
「にゃっ!国王様ッ!?」
スフィンクスは私を見るなり咄嗟にひれ伏した。
『国王様』と言う響きに私は苛立ちを覚える。
「誰もひれ伏せとは言っていない。身を引けと言った。この場から去れ」
「にゃ、しかし、ここはあたしの寝床……それと男……」
スフィンクスの喉が震える。
「なら小一時間で良い。この場から去れ」
私はスフィンクスを睨む。
「にゃ、分かりましたにゃ!」
スフィンクスは早々と走って行った。
「……さて、ではそこの…………」
一方の男はと言うと、
「…………へ、蛇……」
固まっていた。
「……大丈夫か?」
「ははは、これは夢だ。女性の姿をした蛇……など……」
男は倒れた。
「おい
#8252;」
私が駆け付けると、男は気絶していた。
「……んん、……ここは」
「目覚めたか」
「!」
男が目を覚ますと、私に気付き身を起こす。
「……ゆ、夢ではなかったのか?蛇女など」
『蛇女』と呼ばれると些か腹が立つ。
「…………蛇女ではない。アポピスと言う種族だ」
「アポピス?あのエジプト神話のか?」
「は?エジプト?」
「は?」
この男とは根本的に話が噛み合わなかった。
暫くして、私はこの『世界』について話をした。
男の話だとどうも根本的な歴史、地理、世界状勢等全てが異なっていたからだ。
彼は恐らく、異世界の住人である。
まず服装が私の知っているどの土地のどの衣服とも違う。
そして、魔物と言う存在に関しては「本当に居たのか」と、その存在すら認知していなかった程だ。
「ははは、魔物が存在する事は認めよう。だが、それがまさか皆美女で淫乱だとは……さっきの猫娘で何となく納得したが」
男は苦笑いを浮かべる。
「まぁそう言う事だ。所で、お前は何故あそこに?」
「知らない。勤務帰りに車を運転していたら急にハンドルが効かなくなって、衝突したと思ったら気付けばあそこで強制猥褻にあっていた」
「クルマ?」
「……向こうの乗り物だ。馬よりも速く走れる」
「ほう」
異世界には便利な物があるものだ。
「所で」
「何だ?」
私は男に問いかける。
「何故そんなに離れる」
現在の私と彼の距離、寝室の端から端である。
「も、申し訳ないが、幼少の頃に、その、蛇に噛まれてな。……苦手なんだ。……蛇が」
「別に訳もなく噛んだりしない。もう少し近付け」
と私は近付くが彼は移動し距離を置く。
「……」
前に進めば後ろに進み、右に進めば左に。
「……」
前に進むと後ろに。そのまま進み続けると壁に当たり、もっと近付けば横に跳んで直ぐ様部屋の反対側に逃げて行く。
その様子は人から逃げる猫の様だ。
「……プッ!」
その様子が凄く可笑しかった。
「アハハハハハ!」
「何だ急に?」
「いや、いくら下半身が蛇でも恐れすぎだろう!」
「うるさい!」
男は顔を赤くする。
「ははは、面白い奴だ」
「……ック!」
男は羞恥にさらに顔を赤らめた。
「さて、お前、……そう言えばお互い名前を言っていなかったな。名前は?」
「ジュードだ。ジュード・ジャービス。政治家……の見習いだ」
『政治家』、と言う職業にピクリと眉が反応するが、取り敢えず笑顔を浮かべる。
「ジュードか。取り敢えずようこそ異世界へ。私はネテプシェリティだ。呼びにくければネテプで構わない」
「ああ。よろしくネテプ」
二人は改めて自己紹介の挨拶を行った。
……だが、二人の距離は五、六メートル離れたままだった。
「……で、この国は……国としてどうなんだ?」
宮殿のベランダで街を眺めるジュード。政治家と聴いて予想は着いていたが、やはり指摘されると痛い。
「さすがにこんな……、街中で堂々と…………、卑猥な事……!」
彼の顔は、物凄く赤かった。
「…………こんなものだぞ」
そう。国が滅んでから喘ぎ声が飛び交っている。
「だからと言ってこれは……無法地帯も良いところだぞ」
「それは……一度滅んだからな。この国
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