結婚式と言うのはやはり華やかなものだ。
式場に入場する新婦、それを心待ちにする新郎、進行を務める牧師にそれを見届ける招待客。
沢山の方々が訪れる。
そう。沢山の方々が訪れる。私達を祝う為に……。
「……………………………………」
まずい。体の震えが止まらない。
「リリィ、余り緊張してたら折角のお嫁さん衣装が台無しよ?」
「お、奥様ぁ、わ、私やっぱり無理ですぅ……!」
鏡の前で涙目になる私に奥様が優しく微笑み掛ける。
「そうそう。式をあげるんだから、緊張で倒れたら示しがつかないよ?」
ニヒヒと笑って肩に手を置くアンジェラお嬢様。
「そう言って宣誓句を度忘れしたのは誰だったかしら?」
「なんの事かな〜?」
「……フフ」
お嬢様のやりとりを視て思わず口元が綻ぶ。
すると、後ろからもう一人鏡を覗き込む女性が現れる。
「良いね〜。私達も結婚式あげたかったよリリィ〜」
「ひゃああ!」
ミラお嬢様は項垂れる様に私に抱き付き胸を揉む。
「それにしても相変わらず良いおっぱいだね〜。揉んで良い?」
「もう揉んでるじゃないですかー
#8252;」
さらに揉み方が凄くやらしい。
「ちょっとミラ、ウェディングドレスがダメになるかも知れないんだから止めなさい」
「はーい」
奥様の注意でミラお嬢様はすっと離れる。
「それにしても、本当に綺麗よね」
「ホント羨ましいね。今度アヤカに頼もうかな?」
「似合ってるよ、リリィ」
「そ、そうですか?」
三者それぞれの感想に私は鏡に映る自分の姿を見る。
純白の艶やかなシルクに、フリルなどの装飾品の付いたドレス。
それが今私の着ている格好。
自分でも見とれる程綺麗で、こんな姿に自分がなるとは思いもよらなかった。
でも、こんな格好を色んな人に見られるんですか……。
「…………………………………」
ああ、こんな時に地震でも起きているのだろうか。
「リリィ、だから緊張しないでって!」
「なんか振動がこっちにまで伝わってるよ!」
「リリィ、深呼吸、深呼吸!」
どうやら私が震えていただけらしい。深呼吸を二、三度繰り返す。
「スー、ハー……」
深呼吸が終わると、奥様から声が掛かる。
「リリィ、もうすぐルディが来る筈だから、もう少し待ってましょう?」
「はい」
もうすぐルドガー様が来る。その時にお互いの晴れ姿がお披露目される。
「なんだか恥ずかしいです」
紅葉する顔を気持ち隠す様に頬に手を添える。
「裸を見せあった仲なんだから大丈夫でしょう?」
「ふぇ!?」
だが、奥様から不意に言葉の打撃を受ける。
「その上お互いのを舐めあったって聴いてるし」
「はひ!?」
続いてアンジェラお嬢様。
「どうせフェラして出たのを飲んで『美味しい』とか言ったんだろう?リリィみたいなのは吹っ切れると大胆になりそうだし」
「ふぃぁああ!」
そしてミラお嬢様の的を射た止め。
「ご主人様、ご奉仕させて頂きます」
ニヤニヤ
「ああ、たっぷり出してやるからな。全部飲み込めよ?」
ケラケラ
「は、はい!」
ワラワラ
「そ、それ以上は止めて下さいぃ
#8252;」
更なるお嬢様達による追い討ちが私を襲い、心が折れそうになった。
「二人とも、それくらいになさい。リリィが泣きそうじゃない」
「「だって可愛いんだもん!」」
「何で皆そう言って私を苛めるんですかぁああ!」
もはや「可愛い」と言えば何でも許されると思っているのだろうか。
騒がしい空気の中、コンコン、と扉が叩かれる。
「リリィ、良いか?」
「あら、愛しの花婿様が来たみたいよ」
「ど、どうぞ!」
「入るぞ」
扉が開き、奥からグレーのスーツを身に纏った銀髪の青年が現れる。
「……ぁ……」
「………………」
目線が合った途端、まるでそこに自分達しか居ないかのように見つめあっていた。
「……熱いね〜、この部屋暖房利きすぎてないかい?」
「僕らが居ること絶対忘れてるよね」
「う〜ん、初々しいわ〜」
三人は二人を式間近まで眺めた後、正気に戻し式場に向かわせた。
その後、入場の際に極度の緊張で気絶したことは言わずもがなである。
それから数ヶ月。
結婚してからの私達はと言うと、余り変わった所はない。
だが徐々に変わりつつあった。
「随分大きくなったな」
ルドガー様が私のお腹を擦る。
そのお腹は頭一つ分大きく膨らんでいた。
そう。妊娠したのだ。
「そうですね」
「……こうなるともうリリィ一人じゃ無理があるな」
妊娠してここまで大きくなると、仕事にも支障をきたす。
「悔しいですけど、そうですね」
「と言う訳でナイル夫人からもう一人メイドを借りて来ました」
「ふぇ、もうですか!?」
ルドガー様からの突然の報告。私は当然驚いた。
「コレットって言う人なんだが、知ってるか?」
「コレットさん!?」
その名前を聴いて
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