第1919次 ー魔王夫婦喧嘩ー

●王魔界、とあるサキュバス夫婦の家●


リビングの映像投影水晶(テレビみたいなの)が唐突にけたたましい音を鳴らし
夫婦のティータイムは中断させられる

「びっくりした!うるっさいわねぇ...」
「噴火か地震かな?まぁ結構な天災みたいだけど王魔界の警報にしては大げさだなぁ」
「こんなに大きい音をずっと鳴らされちゃエッチ中も落ち着かないじゃないー」


文句をよそに大画面のテロップと何やら深刻そうな音楽が流れる
冷や汗を流すMHK(魔物娘放送協会)アナウンサーのセイレーンが開口した

ウゥゥーン ウゥゥーン
「魔王様ご夫妻の夫婦喧嘩警報。魔王様ご夫妻の夫婦喧嘩警報。本日16時15分ごろ魔王様が晩御飯の献立を決める際に1919回目の夫婦喧嘩が勃発しました」

「原因はクリームシチューは白米のおかずになるか否かという論争の模様
ご喧嘩の規模は1122回目のくしゃみの声がデカい云々のモノと同レベルです」

「該当する地域の方々は性行為、デート等を中止し魔王軍の誘導に従って
速やかに万魔殿、不思議の国に避難して続報をお待ち下さい」

「えっ...?」「夫婦喧嘩...?」

この二人はお互い元人間の兵士で数年前に結婚し城下町に引っ越したばかりで
魔王夫婦の歴史は全く知らなかったのだ

数百年、もしくは数十年。不定期に魔王夫婦は痴話喧嘩をする
くだらない痴話喧嘩でも魔物と人類最強の二人がぶつかりあえば世界がどうなるか
想像するに容易い

状況を飲み込めずポカンとしていた二人だがすぐに現実に引き戻される事になる
突如外が明緑魔界の如く眩しく光る、次の瞬間

紫色の彗星のような光線と巨大な稲光が魔王城から地平線の彼方に走り
数秒後、轟音と共に大地が揺さぶられた

2分はたっただろうか、地響きがようやく鳴りを潜め二人の意識は回帰する
気がつくと身を寄せ合って震えていた。青ざめながら事の重大さを理解してゆく

近所から聞こえる人魔の騒乱、皆慌てて魔王軍と共に避難している

手をつなぎ逃げる夫婦、15人の娘達を抱えるデビルバグ夫婦、何故か駅弁スタイルで避難する夫婦、呆れ顔の独身魔物娘、どうでも良さげなアントアラクネ

二人も周りの恐怖に煽られ水晶を持ち一目散に異界へと逃れるのだった。



●万魔殿、緊急避難所●



二人は時の止まった万魔殿避難所の仮設異空間に無事避難していた
一安心したところで再び水晶のアラートと共に映像が投影される


「魔王様ご夫妻の夫婦喧嘩の続報が入りました...なっ?!
ゴホン、失礼しました。口喧嘩はなおもヒートアップしている模様」

「その規模は72回目のハッピーバースデーを一緒に歌ってくれなかった云々
さらには666回目の私(俺)の方がもっとアナタ(君)を愛してる論争に匹敵するやもしれません。ひぃーん!私も今すぐ逃げたいよぉ〜」

「...えーただいま新しい情報が入ってきました!第3リリム様と第4リリム様が
こっそり寝室を覗いてみると旦那様が『でも君の作る料理ならきっとおいしいのだろう、それよりお腹すいたね』とおっしゃられたそうです!!!」

「えー何々?おお!魔王さまも『私もムキになりすぎちゃった、アナタのために腕によりをかけて今日の晩御飯作っちゃうわよ〜
#9829;今日はチャーハンよ!』と
和解されたようです!!!クリームシチューのくだりはどこへ行ったのでしょうか!しかし皆さん!大げさですが我々の世界は救われましたぁー!」


アナウンサーセイレーンの歓喜の声と共に他の避難者も夫婦で喜びを分かちあっていた。中には舌打ちする独身魔物娘、日常の様に眠るワーシープ、ドーマウス夫婦も居た

二人は苦笑いしながら家路を辿っていった。



●後日のニュース●

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☆メロウのちょっぴりトピックス☆

・魔王さま夫婦の夫婦喧嘩、その後はイチャラブ対面座位で沈静化
・名家のドラゴン夫婦が首吊りセックス中に死亡、ゾンビとして蘇る赤っ恥
・たぬき商会会長、夫のプリンを勝手に食べておしおきセックスで調教される
・若い夫婦の間でセックスの映像放映が流行
・6回連続武道大会覇者のヘルハウンド、タケリダケを食べた夫に歴史的334連敗


以下、地方ローカルニュースです

魔王さま夫婦喧嘩の2次被害により2つの反魔物国家滅亡、
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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33